軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

346.お宝連盟

「改めて斥候の技術を学びたいと思いました」

「了解いたしました……手続き完了です」

取ってこいと言われて忘れ続けた【自動回避】を学ぶために斥候ギルドへお邪魔している。お久しぶりの青髪の青年だ。

「セツナさんはかなり素早く動けるようですし、ギルドでスキルを学んでいかれませんか?」

「はい、ぜひ!」

ということで以前は地下に通されたが今日はそのまま横の扉へ。ギルドの中庭とやらで【自動回避】の講習を受けた。

どんぐり投げつけられるんだぜ。それを避けるなと。

石じゃなくてどんぐりなのがちょっと可愛い。教えてくれるのは細身の男性ヒューマンタイプ。ひゅん、ってどんぐり投げてくるんだけど、ぺちぺちと当たります。微ダメージ。たぶんここで愛を叫んだら即時回復するレベルのダメージ量。

でもそのうちなぜか、俺は動こうとしていないのにどんぐりを避けるようになった。そして10個連続避けると、飛んでくるどんぐりが止まった。

「さすがだね、もうスキルを身につけたようだ」

で、ステータスを覗いてみると、【自動回避】ゲットだぜ!

よし、あとで【付与師】に変更しておこう。これは自分のステータスウィンドウでできること。

基本職以外はそんなシステムらしい。柚子や案山子が言っていた。

「お世話になりました~」

「いえいえ、またいらしてください。何か新しいスキルをお教えすることもできますから」

お、斥候で手に入れられるスキルがまだありそう。一時的に斥候職って手もある……が、付与師はしたいからなあ。

そんなことを考えながらギルドの外に出て少し歩くと、声を掛けられた。

「やあ、そこの青年! その足取り、なかなかの使い手とみた!」

振り返るとそこには茶色のインディ・ハット、レザージャケットにカーキーのカーゴパンツ、ブーツは茶色のショート丈。腰に鞭を装備したおじさまが立っていた。

鞭、あったのか。

いやいや、それよりも、顔よ。許可とったのかな? ってくらい、おじさまなのだ。

「フォードさん?」

「ん? 私とよく似たハンサムに会ったのかな? 私の名前はジョーンズ!」

そっちかっ!!

「君のような将来有望そうな青年をスカウトしている者さ。そう、我が、トレジャーハンター連盟に!!」

なんか怪しげなのが来たな。

「トレジャーハンター?」

「そう、有志が集ってお互い情報を交換し合うトレジャーハンター連盟に加入しないか? 定期的に広報が配られる。お得な情報盛りだくさんだ!」

連盟って初めて聞いた。なんだろう? でもうさんくさいのでパスです。トレジャーをハントするのはいいや。俺は読書に忙しい。

「すみませんが――」

「宝、それは誰もが追い求める浪漫! 山が呼ぶ、海が呼ぶ、ダンジョンが俺たちを呼ぶ!! ものは試しだ、我らトレジャーハンター連盟が管理しているお宝ダンジョンに1度トライしてみようじゃないか!」

「すみませんが――」

「誰しも幼い頃に夢見た宝の山。それは金銀財宝か、はたまた絵にも描けないほどの美姫か! ともに進んだ者との友情か!」

「すみませんがっ!」

「ああ、この世のすべての宝を望むか、それは君次第! トレジャーハンター連盟は初心者から玄人まで、あらゆるハンターたちをサポートするクリーンな団体なのさ!」

話を聞かねえタイプの輩だ。

これはさっさと退散するに限る。

「失礼しますね」

この敏捷の数値を活かしささっと退場しようとしたところに投げかけられる。

「愛する人に美しい指輪を、腕輪を、ネックレスを、イヤリングを送りたい。夢のためなら危険なダンジョンも何のその!! さあ、お宝を求めてレッツゴーだ!!」

愛する……人だと?

「見つけたお宝は自分のもの?」

「もちろんさ、オークションに出そうが、愛する恋人に渡そうが君の自由にしたらいい」

ジョーンズさんはウィンクをする。

「連盟って何するの?」

「君から情報を流すなら俺に連絡をくれたらいい。誰かからの情報は定期的に広報として仲間に送るのさ」

非営利団体?

「連盟に入るのにお金とか……」

「ノンノン! 夢を追い求める者に金を寄越せなどと無粋なことは言わないよ。ただそうだね、お宝が眠っていそうな場所やダンジョンなどを見つけたら是非共有はして欲しいかなと思う。既出の情報は追って新規メンバーには連絡を入れるし、最新情報もきちんと送るよ。トレジャーが我々を呼んでいるのさ!!」

特にこちらに不利益はなさそうだ。

「手始めにこんなダンジョンはどうかな?」

ジョーンズさんが地図を広げる。それは俺の地図にポインターが刺さるということ。アランブレから北へ少し行ったところだ。先日聖地に行くとき辿った道の途中で逸れる感じ。

「同志諸君に小手調べとして紹介しているダンジョンだよ。時間のあるときに是非挑戦してみるといい!」

「それじゃあ時間のあるときに」

フレンドになったジョーンズさんは笑顔で手を振りながら去っていった。

「この世の謎と宝を愛する我が新しき同士よ! また会おう!」

ちょっと人の話を聞かないところが困りものかな。

セツナ:

【自動回避】取りに行ったらトレジャーハンター連盟に加入することになりました……。

半蔵門線:

敏捷値が上がった状態で斥候職についているとお誘い来るでござるね。

セツナ:

半蔵門線さんも入っているんですか?

半蔵門線:

いや、拙者は忍びゆえお断りしたでござるよ。

セツナ殿も本屋に通うのに忙しいから断るかと思ったでござるが……

セツナ:

いや、そのつもりだったんですけど、なんか、恋人に宝をプレゼントしないかって言われちゃって。

半蔵門線:

www

柚子:

せっちゃんチョロいのじゃ。

ソーダ:

連盟は1つしか入れないから、気をつけろよ。次何かに誘われたときそっちを承諾したら自動的に前から入っている連盟から抜けちまう。

ちなみに俺はアランブレ自警団に入ってる。

セツナ:

連盟じゃない!

八海山:

つまり、NPCが作った非公式な団体が全部連盟、同盟、団とか名前がついて組織になってるんだよ。基本無料。広報が定期的に配られて、その中にクエストも多く含まれている。

セツナ:

へえ~。みんなも入ってる?

案山子:

俺は世界料理人連盟だよッ! この世界にいる6人の鉄人が連盟トップとして君臨してるよッ!

柚子:

のんべえ同盟を望んでおるが見ないのじゃ……。

いつか夢見るのでまだ全部お断りしているのじゃ!

八海山:

俺は『世界の癒やし手』という連盟なのか団なのかなんなのかわからんものに入っている。たまに人手が足りないときは招集がかかるな。

結構色々あるらしい。