軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

344.返還の褒美

世間は第6都市フロディーシウの話題で持ちきりだったが、俺はその分をアンジェリーナさんとのハッピー空間で過ごすことにあてました。

へへ、心配してくれたんだよ。

嬉しすぎるだろう。

第6都市については色々とクランメンバーが頑張ってくれているので、問題なし。

ソーダたちも特に捕まるようなことはなかったそうだ。しかし、街中を跋扈するミュスたちに、住人は不安を垣間見せているという。

これはどのサーバーでもそうらしい。蔓延るミュスと、不安な住人、そして親衛隊。

領主の騎士とは別の部隊らしい。

オルロさんのところにもちょくちょく顔を出して、第6都市の情報ギルドから飛んでくる話を聞かせてもらった。お金は格安というか、俺が行ける各地の貸本屋へ本を届けるミッションをいただいたのだ。

そしてその先々で第6都市の不穏な様子を聞くはめになる。

正直第6都市でメインクエストこなすことなさそうだし、飛行船が通ってしまえば第7都市に行けるので問題ないと思ってしまっている。

俺はアンジェリーナさんと日々を楽しんで、ついでにちょっとクランメンバーと遊べたらOKなんです。

修復師の仕事もした。1人で任せてくれるのもだし、ファンルーアの貴族の元へ行って見学もした。素材採りもやったし、充実した毎日だ。

すっかり忘れていた案件が向こうからやってきたのだ。

「お疲れ~」

「お疲れ様です」

猫じゃらしと2人で城に呼び出されたのだ。

貴族門の前で待ち合わせ。貴族門の兵士に顔パス状態で招き入れられると、馬車が待っていた。扉が開かれると中にはウロブルのモーゼス様だ。

「少し距離があるからな。乗りなさい」

「お、お邪魔します」

「お貴族様を待たせてしまった……切腹だ……」

猫じゃらしが脇腹を押さえている。

先日ダンスパーティーに来たときは普通に歩かされたのだが、と思ったが、確かにかなりの距離がある。城のもっと奥に入っていった。

「先日の功績に対する報償だ。遠慮することなく、『過分なご配慮に感謝します。ありがたくちょうだいいたします』と受け取りなさい」

俺たちは神妙に頷いた。

玉座の間、とでも言おうか、ずいぶんと豪華な椅子が1つ。そこへ座る、ここのところちょいちょい見かける王様が座っている。

「そなたたちのおかげで長きに渡る重しを払拭することができた。礼を言う」

あ、これもう令嬢物語じゃなくて、王家を脅してきたセークティオ回収クエストになっちゃってるのか。

「功労者にはそれに見合った報償を与えねばならぬ。だが正直、来訪者であるそなたらは爵位や領地などといったものにとらわれるのを嫌うとも聞く。よってわかりやすくシェルで支払うことにした」

王の言葉とともに、左右に控えていた男2人が宝箱のようなものを持ってこちらへやってくる。

俺たちはモーゼス様に言われたとおり、今片膝ついてぷるぷる震えてます。

この体勢維持するの大変。下手に色々動けるVRだからこそ、なのかもしれない。

「さあ、受け取るがよい」

宝箱、ゲットだぜ。

《100,000,000シェルを手に入れました》

《クエスト:セークティオの返還 をクリアしました。貢献ポイントを山分けします》

山分け?

初めて出てきた言葉なんですけど!?

そして即解散。貴族門までまたモーゼス様が送ってくださった。

「何か困り事があったらまた連絡をするといい」

「もう、困った時に1回の権利つかっちゃいました」

俺が言うと眉をびしっと上げる。器用だな。

「私がそのような不義理な男に見えるか? 今回の働き、そなたらを見いだし連れてきたとヴィランウェバ伯爵家もたいそう褒められたのだ。娘の地位も上がった。もう1度くらいは話を聞いてもよいだろう。そちらの、そなたもな」

猫じゃらしを見やると、彼は軽く頭を下げた。

そうしてアランブレの城下町へ。

『セツナ君……』

『猫じゃらしさん』

会った瞬間作っていたパーティーチャットで名を呼び合う。

『いやっほおおおお金持ちぃぃ!!』

『ゼロ、ゼロ間違えてませんよね!?』

『いちおくシェルだよっ! セツナ君!』

『わあああいいいい』

『しかも、貢献度山分けシステム。貢献度7000ptてなにwww』

『いやー、初めて見る数字ですね』

『貢献度は何に使うかわからないって言われてるけどね。もらっておいて損はないよな~』

浮かれっぷりが半端ない。

そして結論。

『ぜってー表に出せねえ』

『ヤバいですね』

『貢献度山分けだから、これ関わる人が少なければ少ないほどもらえる量が増えるヤツだな』

『本当に……凄い』

『いやはや美味しい思いさせてもらいましたよ、セツナ君』

『こちらこそ猫じゃらしさん!』

『指名手配犯が王様にご褒美もらってるの笑えるんだけどwww』

『いやほんと、城に入ったら捕まる可能性もちょっと考えてました』

アンジェリーナさんが大丈夫とは言ってたけどね。

お互いほくほくでお別れ。

とはいえ、そこまでお金は必要ないんだよね。

まあ防具の修理なんかに使わせてもらおう。お金はいくらあってもいいって言ってた! 世の中の偉い人が!

そして、今日も今日とてミュス狩りだ。

夜はミュス狩りか、ハチ狩り。どっちか。たまにブルーブルを狩ってお肉を仕入れる。

「セツナっち~! 甘いけどスパイシーなチャイティーと、ジンジャーブレッド」

「あっ! スパイシーなお菓子!」

「第6都市に香辛料見つけてさッ! ゲットだぜーッ」

しかし、これは難題だ。

貸本屋は飲食禁止だ。基本的に案山子のご飯は全部その場で食べる用。出した瞬間嫌われたら立ち直れない。

「女性を……」

「ん?」

「女性を外へ誘う方法を教えてくださいっ……」

「ぐはぁッ!! それは俺っちも門外漢ッ!! ん? もしかして貸本屋さんでご飯食べられない?」

「試したことはないですけど試して嫌われるのが怖いです」

「おおッ……恋は人を臆病にさせるんだねッ! じゃあ、最終手段だッ。ちょっと待っててッ」

そう言って……クランハウスのストレージを漁る案山子。

出てきたのは大きな鞄。レトロな感じの旅行鞄。箱形のヤツ。俺はなんという名前なのか知らない。

「ちょっと前にドリームで買っちゃった、ピクニックバスケットです。ほら、みてッ」

鞄を開くと蓋側に皿やカトラリー、深い方にはカップやレジャーシート代わりの布が入っている。

「おおおお……!!」

「素材狩りがてら気分転換にお出かけしませんかッ! って誘ってみてッ!」

案山子大明神様。ありがとうございます。