軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

340.ヤリ投げ選手権

地竜は大きくくぼんだ盆地の底に寝そべっていた。俺たちは断崖絶壁から見下ろしている。【鑑定】すると、――ターゲットマークがいくつも現れる。

『当てるところでポイントが変わりそうだよ』

『お、どこどこ?』

『頭部が高そう。あと、尻尾の根元もだな』

『反対に背中はまったくないねッ! 当たっても貫けないんじゃないッ?』

『喉のところもターゲットマークがある』

頭部、喉、尻尾の付け根を狙うといいようだ。

「ヤリを投げる者はこちらからだ!」

兵士たちに促され俺たちは順番にお行儀良く整列して投げる場所へ。

「君はこっちへ」

そう言ってソーダが連れ去られる。と思ったら俺も連行された。

どうやら納品100本以下とそれ以上で投げる場所が違うらしい。

さらに言えば、針10本納品で1本のヤリを投げられるそうだ。

えー、俺は……リアルなら肩壊すな。そんなにソロ狩りしてたかなぁ。でも確かに、 細剣(レイピア) 楽しくてちょっとやんちゃした覚えはあるし、みんなに置いていかれないようレベル上げも含めて頑張ってはいた。……ミュスもそうだけど黙々ソロ狩り結構好きなんだよね。

アースドラゴンは、盆地の底で寝そべっている。どのくらい遠いかというと……蔵王のお釜の一番高い縁から水面くらいまで。

俺たちの前には金属の柵があって、それがところどころ崩れていた。

「アースドラゴンが身を震わせると大地が揺れるんだよ」

俺の視線に兵士の一人が答えてくれる。

飛行型の騎獣に乗った騎士たちが空の上からドラゴンめがけてヤリを投げていた。

俺に渡されたのは、100本近く。我ながらよく狩りした。

『【鑑定】で変化現れたら教えて』

『了解ッ!』

『わかった』

「【投擲】」

せっかくならね。スキル使って狙いにいきますよ。

『【投擲】があると結構ヒットするのじゃ』

『これで【投擲】出した人も多いらしいわよ』

『そんなに本数投げたでござるか』

『まとめて納品しちゃった人とか多いみたい』

『それは初歩的なミスだねッ!』

イェーメールの鍛冶屋にまとめてはわかるけど、ここのNPCにはみんなで分けたよ。

【投擲】のおかげで結構届くし当たる。

1本目を投げたところでドラゴンの頭にステータスバーが出た。あれを減らして行けばOKらしい。

『みんな同時にガンガン投げてるから、その急所に当てたのがいいのかどうかわからんな……』

ソーダの言葉にピロリが笑う。

『私の面白いほど当たらない』

ピロリは投げることがないからだ。

『まあ、【鑑定】は急所も教えるくらいだし、従っていて間違いはないだろう」

とは八海山。八海山のヤリも当たりません。そりゃヒーラーだからな。

ただ、ヤリの譲渡はできないようだ。

『豆はできたんだがなあ……』

『あー、金色の? 懐かしいね』

『ミュスが生み出した豆で拙者1番取らせていただいたでござるよ。あのときの衣装セツナ殿にお礼にあげてもいいでござるよ?』

『あー、鬼のパンツ? もうもらってる』

ピロリがくれた。

『だってー、クローゼット圧迫するんですもの~絶対着ないし』

もらって戸惑ったけど、イベントものだからと言われ受け取った。

あの頃は、すべてが善意に見えたものだ。

そんな無駄口を叩きながらヤリを投げ続ける。柵からえいやっとするんだが、すぐ隣の筒に追加がされている。終わらない。終わらないよ……100本近くってかなりヤバイ!!

『セツナ殿がなかなか出てこないでござるwww』

『助けてーエンドレスヤリ!!』

『外に出てもイベントのところをクリックしたらアースドラゴンの今の体力が表示されるな』

八海山が一生懸命調べていた。

『ある程度傷付けたらだから、HPバー全部じゃないでしょうけど、半分くらいまで削れたら、かしら?』

『にしてもかなりHP高いな』

『イベント期間1週間だろ。だいたいみんなスタートダッシュは頑張るから……うーん、目標数値わからないのが困るな。まあ頑張れる分は頑張ろうか。これでファンルーアが一時的に不通になったら困る。つうか、イェーメールで納品分でもいいってことじゃね?』

パーティーチャットがみんなはっ!! ってなった。

ソーダの数字が明らかだ。

『一応渡す前にドワーフたちに聞いてみてからにするか~』

『少しだけ渡して確認してからってのもいいと思うわよ』

『こっちでもお金もらえたけど、ちょっと減額されてたじゃない? ソーダ、いくらもらった?』

よくよく聞いてみるとみんなの方が高い。たぶんだが、イェーメールで納品した個数分の金が引かれている。

『でもまあ、イェーメールで渡した方がそこの鍛冶の好感度上がりそうだよな』

『一応スレでも言うが、もしかしたらもらえるヤリの本数が変わるかもしれない。値段なんかも調べてはいないと言っておこうか。誰か検証するだろう』

検証は人任せ。

とりあえず追加で狩りをするかということに。

ビッグキラービーにするかどうするかで、もう少しキツい場所と言うことになった。

お久しぶりです。火ネズミの皮衣よ……。火ミュス。倒すべし!!

『そうそう、セツナ殿。拙者水の付与触媒ゲットしたでござるよ。よろしくでござる~』

『ずるいっ!! 私まだなのにぃ~』

『セツナ殿の付与楽しみでござる』

俺も楽しみでござるーとおもったら効果がとんでもないことになっておりました。

しかも専用スキルも覚えているらしい。すごいな、どうやって見つけたんだろう。

『何度も水付与しているうちに自然と覚えたものでござる』

「行け、【青龍】」

竜巻のような水の龍が刀から飛び出して火ヤマアラシを襲う。

まさかの傘の出番なしに倒してしまった。

『こ、効率キター!!』

自他とも認める効率厨のソーダが打ち震えている。

『セツナ、【気配察知】からの、トレイン、ヨロ!』

あれ、俺いきなり厳しい状況に追い込まれてない?

1人傘を差しながら少し先まで行って、火ヤマアラシを連れて帰ってくる。それでもさすがに2匹。柚子と俺の【フロストダイス】が当たって、半蔵門線の【青龍】だった。

針の雨が降るまでの手順が結局手間だったし、そのおかげで1匹しか相手をしないようにして安全策を取っていたが、青龍で1発ノックアウトがわかったソーダはとことん限界を求めた。

『いやー、いいね、たくさん針も採れたし』

イェーメールでちゃんとそれぞれが針を渡してヤリを投げ。なんとか期間内に倒すことができた。アースドラゴンは再び深い眠りと回復に地中に埋まっていった。

ということで貢献ポイントたくさんもらった! ダントツ1021ptだ。

『『女神の僕』って、セツナだろって、みんなから問い合わせ来てるぞ』

『なんでっ!?』

また3ヶ月替えられないのに!!