軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

294.修復のソロお仕事

「第9都市の騎士の子孫は特にそこら辺の話を聞いて育ってきているだろうからね、獣人を忌避するのは仕方ないことなのかもしれない。だけど、王が獣人族もこのラングドラシルの一員、テラエトゥーラの一員だと宣言したから表面上は獣人族も受け入れられたんだ。事実あちこちに獣人を浸透させていってる。ほら、イェーメールの聖騎士団にもいるだろう?」

「そうですね、お見かけしました」

彼はオオカミ系。つまりきっとローランド卿もオオカミ系! わんこーっ!!

「少しずつ人の中に入っていこうとはしているからね、こちらも受け入れてテラエトゥーラ王国の、ラングドラシルの民として接しているのさ。第9、第10都市から離れれば離れるほど、気にしている者は少ない。だからいっそう、第9、第10都市の者たちが拒否するようになっているともいえるけどね」

難しい気持ちのお話だった。

「と、そうだ。セツナ君、修復師だったよね。簡単な修復してほしいヤツがいくつかあるんだけど依頼してもいい?」

「えっ!? いいですけど、実は道具が揃ってないんです。まだ弟子なので」

「あー、修復用道具は一応あるよ。俺の先代のが。ふむ……なら、依頼を受けてくれたら、この修復道具が報酬ってのはどうかな?」

欲しい!! 欲しいけど……ちょっとアンジェリーナさんから、一人前になったわねってプレゼントされることを期待していたのでつらいけど欲しいけどつらいけど欲しい……くっ……!!

「一応師匠に確認します、仕事を受けていいかも」

ということでアンジェリーナさんに師弟メールです。

即答でOK出ちゃった。プレゼントもらえなかった。

「……OKです」

「なんで、なんでOKなのにそんなに暗いの!?」

店の奥に通されて、赤と青のミニゲームをこなし本を3冊修復する。

「【 修復(リペア) 】、よし、できました」

「ありがとう。助かったよ。どうしても少しずつ本も傷がつくからね。ただお飾りの本は好きじゃないから」

「お役に立てて良かったです。道具、ありがとうございます!」

道具は赤と青の瓶、そして刷毛。修復用粉(赤)と修復用粉(青)と、刷毛は刷毛だった。

一人前に1歩近づいたぜ。

「ロンさんは修復師ではないんですね」

「うん、俺は写本師。なんかさーケルムケルサの図書館の話聞いたんだけど~ウォルトが独占契約してるんだってー?」

「あーまあ、そうですね」

「あいつ上手くやったよなぁ。やっぱりエルフは金の匂いに敏感だなぁ」

「ウォルトさん、やっぱりエルフですよね?」

「そうだね。ただあいつ、時魔法で幻影かけてるだろ」

と耳を触る。

「エルフって金銭関係警戒されるからな。まあ腕は確かだよ」

ほー、そんなのがあるんだ。

「エルフと商談するときはよくよく気をつけろよ~普通にカモだと思われたら尻の毛まで抜かれるぜ!」

恐ろしい。

ファマルソアンさんがやり手なのはわかるけど。絶対損するようなことはしないだろうな。

夕方になってきたのでお暇する。

夕飯をどこで食べるか相談中だった。

柚子:

昨日はドワーフと酒盛りじゃったし~、余所でも。

八海山:

俺は今10にいる。

ピロリ:

私は11! ソーダと一緒。

半蔵門線:

拙者も11でござるね~

案山子:

全然……エルフのクエスト見つからない……、第7です。

柚子:

当然11なのじゃ~

セツナ:

俺は9だね。

都市じゃないけど都市に繋がる門があるということで数字で呼び合うことになった。

ソーダ:

案山子が1番遅そうだしな。9集合にしようか。セツナ、飯屋探しておいてくれよ。

柚子:

飲み屋なのじゃ!

セツナ:

了解。

例のごとく店舗は円の中心の方にあるので、この辺りをうろうろしてりゃ見つかるだろう。 基本的に看板が出ているのだ。そしてよく見ればそれが武器や防具の店だったり、飲食店だったりはわかる。マークが現れる。

街の穴場的なものはそのうち探すとして、今日は比較的大きな酒場でわいわいがやがやするのもいいだろう。たまにNPCの話が漏れ聞こえてくるのも面白いと思う。

俺が三軒ほどあたりをつけたところで八海山が現れ、二軒に絞り、最後は柚子が決めた。酒飲みの勘が働いたそうです。

酒飲みの勘は全然まったくダメでした。

「お店に迷惑が掛かるから話す気はない」

「獣が酒を飲むなど生意気な」

そういや第9だよね。

聖騎士団に通報すんぞゴルァ……。

『えーやだぁ、困ったわね。私も聖地追放、この段階でされたくないから大人しくしてたいんだけど~』

『この前散々煽ってたのピロリっちだしッwww』

『周りのお客さんに迷惑が過ぎる……』

「俺ら来訪者だし、君が目の敵にしてる獣人族とは別種だから放置しておいてもらえません?」

『ん? 別種なの?』

『あー今日貸本屋見つけてさ、色々新事実発覚ですっ! 俺ら幻影族って呼ばれるらしいよ、来訪者じゃなかったら』

『なんなのじゃそれは~!!』

酒場でまさかのお隣さんがリチャードさん御一行でしたよ。さすがに聖騎士の鎧は脱いでるけど、金の掛かった冒険者スタイル。

『でもでもー、ここで逃げるのも嫌ぁ~』

『むしろ何か発展しそうだから逃げる気ないしwww 八海山がよければ』

とはソーダ。

どうも俺と、八海山に標的が決まったらしい。

『俺は構わない。ただ、手は出さないように。手を出したら負けだぞ』

『はーい! ほどよくいなしてパーティーチャットでいいわよね~』

パーティーチャットをしている間はだんまりなのだ、我々。

それを勝っていると判断したのか、なんかまたガーガー言ってる。

「あ、お酒のお代わりお願いするのじゃ~」

柚子がマイペースに飲んでいる。その態度にカチンときたようで口を開いた。

誰か記者が言ってた。相手が口を開いて発言のために息を吸い込んだところが発言のし時だと。

「あ、お代わりこっちもお願いします。この季節のフルーツ酢のソーダ割」

『俺割だ~』

『黙れwww』

「私も今日はお酒飲んじゃうのよーお代わりお願いします」

「このおつまみもう一回お願いしますッ!」

「今宵もたらふく飲むのじゃ~」

俺に続いてみんなも注文の声を上げる。

お店の人がはいはーいと答えた。

店からすればよく飲んでよく食べる客はいい客だろうよ。

「貴様ら出て行けと言っているのに!!」

リチャードさん、そんなに怒ったら血管切れちゃいますよ~。