軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

29.新しいメンバーと、第四都市の謎解き

その後は案山子の作った料理堪能会になった。

「悔しいことに、クラーケンのレシピがございません……単なる焼きになっちゃうッ!」

なんでも、新しい料理の開発にはそれなりの過程が必要らしい。

1.NPCからレシピを聞く。

これが一番シンプルで確実。調味料を変えたり、入れる食材を多少増やしたり変えたりは可

2.すでにある調理方法から、選んでその通りに作る。

例えば煮る、焼く、蒸すなど。

生産で料理を選ぶ者はだいたいここらへんを生産施設での基本レシピで学ぶそうだ。スキルを生やす。

3.レシピ本から学ぶ。

しかし、料理の本はなかなか見かけないという。

「やっぱりどこかレストランとかで、修行するべきかなッ!」

「でも、クラーケンはシンプルバター醤油が美味しいです」

船上でも食べたけど、間違いなく美味しい。

「うーん、でもせっかくのだしなぁ。ストレージ入れておけば腐らないし、研究のために置いておいてもいい?」

「EP用に勝手にいただいてますし、食材は好きに使ってください」

「セツナっちありがとッ! 魚もたくさん入ってたし。煮付けは作れるから、作ったよッ! たくさん食べてね〜」

とっても美味しくいただいている。

「酒がぁ、酒が欲しいのじゃ〜」

「醸造スキルは今育て中。まだ単なるアルコールしかできないからッ! もう少し待って」

「それまでに私も美しい酒瓶を造る!! 道のりはまだまだ遠いんじゃがな。しかたねーから硝子の香水瓶を作ってNPCのお貴族様御用達店に売りつける日々じゃ……」

「香水瓶高く売れてるの?」

「ガッポガッポじゃー! でも本当に作りたいのは酒瓶だから、研鑽あるのみ」

瓶職人か。

「ガラスは人気だって聞いたけど、ポーション瓶作ってる、て」

「ああ、初期はポーション瓶。そこからアクセサリーガラス細工師が多いかな? 私は酒瓶目指してるけど、たまたま香水瓶造りの職人NPCに行きあってな」

「柚子ちゃんもレアルートを開拓したラッキーガールよ」

「鉱物があったら買い取るぞ! 色ガラス作るのに使うから!」

見つけたら拾っておこう。

「柚子シリーズを作るのが夢じゃぁ……案山子よ、ウィスキーかブランデーあたりを頑張れ。ワインはボトルの形がほぼほぼ決まってるから……エチケットくらいじゃからなぁ。硝子の工夫は言うほどできぬ」

「醸造だけじゃできないし。蒸留もいるじゃん、そこッ」

「スウィングのような、愛される瓶を作るのじゃー」

なんでも、デザインまでできるらしい。そのデザイン通りに作れるかは熟練度次第だそうだが。

「このゲームは自由度が高い反面、自分の望む形を手に入れるためにはかなりの苦労を強いられるのじゃ」

柚子の言葉にはクランメンバーがうんうんと頷いていた。

「第4都市解放がまったく進まない。何だあれ……謎解きのヒントすらくれないんだから」

ソーダのぼやきにピロリもため息をつく。

「他の十一のサーバーでも全然手がかり見つからないらしいもんね。ずーっと雨だし。あのフィールドきらーい。生産やるしかないのかしら」

「第4都市?」

クラーケンバター醤油を頬張りながら俺が尋ねると、八海山が丁寧に説明してくれた。

都市は時期がくれば順次解放されるが、謎解きをこなせばそれよりも早くオープンされるという。第1はここ首都アランブレ。第2もリアル時間で1ヶ月後には普通にオープンされ、第3都市は二ヶ月前に自動で開いた。都市の門扉にはその都市で奉られている十二星座のうちの1つが彫られているという。

第1は獅子座、第2は双子座、第3は山羊座で、問題の第4都市は水瓶座ということだ。

ちなみに解けない場合、水瓶座のオープンは半年後。

「半年とかさー、待てないだろ……」

「その分生産に精を出してってのが運営の方向性なんだろうね。まあ、確かに先行することばっかりで、タウンクエスト、サブクエスト的なものはまったくできてないから、これを機にそこら辺に関わりつつ生産をするか……」

「都市解放されるごとにダンジョン解放されるし~、ダンジョン攻略が好きなのぉー」

ピロリは戦闘民族らしい。

「拙者も、忍者の情報が欲しいでござる。きっと、きっとこの先にある!!」

半蔵門線の望みは常に真っ直ぐだな。

「謎解きって、ヒントあってこそ、じゃないの?」

「そうなんだけど、俺らがたどり着ける門が1つしかなくて、そこの門兵が、『長雨で川が増水した。街は悲しみにあふれている』ってことを延々繰り返すことしかしないんだよ」

「へえ、水瓶座は豊穣の雨だけど、増水して悲しみってことは洪水の方に寄ってるってことかな?」

俺がそう言うと、みんながピタリと動きを止める。

「ん?」

「豊穣の雨って何? 洪水とか」

ソーダが真顔で聞いてくるので、俺はステータスウィンドを出して、知識の項目を確認する。

「んーと、ゲーム内の水瓶座、アクアリウスのキーワードが、『豊穣の雨、不死、酒、洪水、溺れる』だね。わりとリアルの星座の神話に基づいてる。天から降り注ぐ豊穣の雨は水瓶から流れ出る水がってのでわかりやすいだろ? 同時に多すぎると洪水なんだろうね。溺れるはそれに付随するのかな。酒とかはギリシャ神話そのものかなぁ~不死はこの水瓶に入ってるのが不死の酒って話だな。神話が何個もあるタイプなんだよ、この水瓶座」

「酒という素敵な単語が入っているのじゃ……ソーダ! 頑張れ! 第4都市攻略初鯖特典を駆使したい!!」

「特典?」

「ああ、運営から告知されているんだけど、都市解放をなしたパーティーは、リアル時間で1週間先行で都市に入ることができて、攻略もできる。他のサーバーも1ヶ月後には入ることができるというか、1ヶ月後にしか入れなくなるんだよ」

「だから、みんな謎のヒントがなさ過ぎて諦めモードなのに諦めきれずに第4都市前のフィールドをうろうろしているんだ」

「ちょっと真面目に考えよう。水瓶座のフィールドは本来は豊穣の雨。だけど、今は洪水より。何かでそうなってしまったんだろ?」

というソーダに続いて連想ゲーム。

「悲しみってのがね。溺れるって単語があるし、誰か溺れたのかしら?」

「川が増水して溺れた……喪中ってことでござるか?」

「喪中……みんな黒い服で行くべきか?」

「黒い服で、酒でも持って行くッ? アルコール臭しかしない酒なら作れるよッ!」

「必要なのは不死の酒じゃ」

「不死の酒なら桃の酒」

と、俺が漏らしてまたみんながバッとこっちを見る。

「いや、その不死の酒がネクタールっていう名前で」

「「「「「「「ネクター!!」」」」」」

「桃って元々魔を払うとかあるしね。桃太郎とか、黄泉比良坂とか」