軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

247.陸海空

その後は結局海の生物の本などを読みあさり、空の国や地上との繋がりを探してみるが、アンジェリーナさんが持って来てくれた以上の話は手に入らなかった。ログアウトして再び時間まで本を読む。

驕っているってのがちょっと気になるんだよなぁ~。

今回のはまあゲーム的には新しいフィールドの開放一助なんだろうけど、物語的にはどういった意図が含まれているのだろう?

乙姫様は、ステゴロイズベストの戦闘やろ……乙女だったわけだが。乙姫様はあくまで姫様だよな。

海と言えばポセイドン。星座にも多く関わっている。

七夕がわりと中国日本寄りの話だったし、星座とギリシャ神話と昔からの伝承をごちゃまぜにしてる感があるから、乙姫のバックに海の支配者ポセイドンいてもおかしくなさそうだ。

うーんと唸りながら読み続けていると、珍しく人がやってきた。カウンターまで真っ直ぐ向かうと、あら、とか、もちろん、とか何やら笑顔でお話中。やがて、カウンターから出たアンジェリーナさんがこちらへやってくる。

「セツナくん、修復のお仕事入っちゃった。緊急なんだけど一緒に来られるかしら」

ハイ喜んで!!

そんな、NOなんて言葉は俺の辞書にはありませんよ。

借りていた本をいそいそと返却している間に、奥に行ったアンジェリーナさんが仕事道具を持って帰ってきた。

「ちょっと時間掛かってしまいそうなんだけど、大丈夫?」

「俺はしばらく眠くならないんで大丈夫ですけど、アンジェリーナさんは大丈夫ですか?」

「まだまだ1日徹夜するくらい平気よ。順調にいけば朝には終わるでしょう」

「申し訳ない。こんな急な話はあまりないのですが……」

話を持ってきた男が汗をふきふき謝っている。

朝?

確かにもう19時近く。普段は17時には退店するよう心がけてるけど海の話気になって読み漁ってるうちにこんな時間になってしまった。

朝、朝かぁ……。

明け方突撃なんだけど……。

ま、アンジェリーナさんの方が優先だよね!!!!!!

柚子:

ぴええええーーー!!

お貴族様から緊急発注超急ぎごり押し来たのじゃぁあああ!!!

案山子:

ええッ!?

俺のところにもファンルーアの師匠からヘルプコールきたんだよッ!

案山子は各街に師匠がいるらしい。料理人は師匠が多いという。

ソーダ:

げっ……俺もファンルーアの騎士からお誘い来てるんだよなぁ……。

八海山:

俺は連絡先教えてないローレンガの領主から呼ばれた。

これはちょっと???

半蔵門線:

妨害入ってるでござるか? 拙者も忍者マスターから呼ばれたでござる。

ソーダ:

あらゆる伝手を使っている気がする!!

八海山:

裏切り側とのバランス調整とか?

ソーダ:

うんんんん……ちょっとイベントスレ立てるわ。で、同じ受注してるヤツ集めて一気に終わらせるようにしようぜ。フレンドバレていいやつ限定だけど。

セツナ:

あ、俺参加できないからよろしくー♪

ソーダ:

アンジェリーナさんからも来てるのかよおお!!!

断れないのか!?

セツナ:

断るという選択肢がないですね。終わったら行くよ。終わったらね。

柚子:

せっちゃんはそーじゃろうな。

それじゃあ、とクランチャットを切り上げてアンジェリーナさんに集中する。

師弟チャットだよ~♪

『うちで本をよく手配する貴族さんなんだけど、なんでもお子さんが水魔法を使い始めたところで、家庭教師が指導しているところでやるように言ってたんだけど、ね』

『新しいことってどんどん試したくなりますよね』

『最近忙しそうだったけど大丈夫?』

『はい! 修復師以上に優先することはないです』

アンジェリーナさん以上に、だけどね。

そんなわけで大幅に遅れてやってきています、島Eへ。

ソーダたちはやはりフレンドが被っている人が同じ案件を受注していたとかで、みんなでこぞって集まってゴリゴリに押し押ししたり、断れる人は断ったそうだ。

柚子みたいに特殊ルート1人で進んでいる人が1番大変だった。

全体の8割に何かしら無理やり依頼が入り、5割がクリアしてなんとか集合したという。

案山子:

無限クッキー作りエグかったぁ……!!

セツナ:

そろそろEに着きます~。

案山子はEから中央へ島渡しをする役を請け負っているようだ。修繕師のお仕事が終わったと連絡したら、島Eへ来るよう言われた。

ソーダ:

中央正面は大混戦みたいだ。まあ、NPCさんにそこは頑張っていただこうぜ。

八海山:

宮殿内部組が潜り込んだようだが内部では攻撃ができない仕様とのこと。

半蔵門線:

補助魔法とかはいけるでござるけどねー。噂の琴を回収しないと無理でござるね。

ソーダ:

あー、セツナ、ヴァージル中央にいるぞ。

セツナ:

はぁ!? 何してんのあいつ!!

ソーダ:

ごりごりに強い。

何してんのあいつー!! 参加しないって言ったじゃーん!!

え、何? 誘って欲しかったの? それで思いあまって来ちゃったの!?

セツナ:

んああああ、しかたねーから行く。

俺も王宮内に入って竪琴探したかったのに~!

俺よりも忍びの者たちが探しているし、いいかぁ。

ちょっと大規模戦に参戦してみよっかな!!

案山子の姿を見つけて手を振ると、あちらも応える。その周りには何人か、頭の上が赤い人がいた。今回、名前を出している人はそのまま名前が赤くなるし、普段名前を伏せている人は地上側なら『テラエトゥーラ』と赤い文字で、空側なら『ケルムケルサ』と青い文字で表記される。

NPCであろうが変わらない。

「セツナっちおつーッ! さあ、俺たちも行っちゃおうか」

どうやら案山子は島渡しの役目の決められた時間を過ぎても待っていてくれたようだ。

そりゃ、誰だって中央に参加したいよね。感謝である。

「いいよ、私タンクだし1番最後に行くよ。セツナさんお先にどうぞ」

どこかの誰かさんが譲ってくれるので、ここでいやいや我が我が、とやっているのも時間の無駄だと、お言葉に甘えることにした。

「それじゃあお先に失礼します」

風の波にぽんと乗る。何度も皆が試して、この風の道を走ると早めに着けることが証明されている。

ただ、道を外れると落ちるので危ない。

最後のひと走りをジャンプで対岸に着地する。

後ろを振り返ると先ほど案山子の周りにいた3人も追いついてきていた。

と、【気配察知】。

俺は反射的に横に飛び退る。俺のいた場所に短剣が刺さっていた。

「何やつっ!?」

と思わず叫んだら、そばの茂みから頭の上が青い面々が現れた。5人だ。

基本、問答無用で始末していいと言われてるので、後ろのタンクさんたちがきちんと来られるように頑張るしかない。

「【シードウィップ】【雷付与】【フロストダイス】」

俺の出せるもん全部出しちゃうもんね!!