軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

227.ファマルソアンのお願い

無理やり店の奥まで引っ張って連れていかれてソファに座らされた。カランさんが高級そうなカップに紅茶を淹れてくれる。お茶菓子が桃のタルトっ!! 美味しそうですよとても。

「本当にいいところにいらっしゃいました。連絡をしようと準備していたところなんですよ。私は幸運です。さすが私。そう思わない? カランちゃん」

無表情美人秘書爆発魔法使いのカランさんは完全無視である。

「実は、お願いしたいことが。セツナさん、無属性のレインボータートルエッグ!! しかもあの最大の大きさのものを、ぜひ、ぜひ譲っていただきたい。お金はもちろん出します!」

ファマルソアンはミュスの王の爪にハアハアしている時以外は基本、余裕の笑みを浮かべているタイプだ。それが結構かなり、真剣な顔をしている。むしろ焦っているくらいだ。

「どうしてそこまで必要か聞いてもいいですか?」

「実は、身内の恥でお恥ずかしいのですが、私の本拠地がミラエノランと言うのは前に話したと思います」

第7都市のことだ。

「話のついでに聞いた気がします」

「最近こちらでの商売が盛んで少し私が留守にしていたのですが、無属性のレインボータートルエッグですよ」

はああとファマルソアンが大きなため息をついた。

「常に在庫の数は管理しているのです。それだけ大事なものです。無属性は」

話の流れは見えてきたが、黙って聞き入る。

「管理していた、はずなんですよ。それが……」

「持ち逃げですねっ!!」

「バッティングですよっ!! 持ち逃げするような従業員は雇っておりませんっ!!」

ちぇーっ!

「本当にタイミング悪くバッティングしてしまったのですよ。また問い合わせの従業員がちょうど入れ替わる時間という、彼らを責めるのも少し違うというか、本当に稀なことなのですが、起こってしまいました」

そこから繋がる話は誰だってわかることだ。

「つまり、俺に無属性レインボータートルエッグを採ってきて欲しいと」

「そうなんですよおおお!! また相手がどちらも無下に出来ぬ貴族のもので、お二方とも成人にあたって息子へのプレゼントとしての武器用のものなんです」

「うわぁー譲れないヤツ」

「そーなんですよおお!! カランちゃん……慰めて」

「……」

見事にスルーされてる。これ、絶対気抜いてる姿だよなぁ。他の従業員には見せなさそう。

「1つは在庫があります。もう1つ、お願いできませんか?」

うーん。

実はすぐ渡せるものがある。

ピロリと半蔵門線にと思って、せっかくなら同時に一緒に渡そうとまだ渡していない。

「セツナさん、あるんですね!? お願いです。1200万シェルとは言いません、1700、いや、2000までなら出します!!」

爆上がりだ-!

「またなんかスキル使いましたねっ!?」

「私には、商売の上とても役に立つ大切なスキルがございます。相手のウソホントがほんのりとわかるという……」

両手を胸の前で組み、にっこり笑っている。

くぅ……。

「クランメンバーに渡す分だったんですよー」

「2000万シェル、よいと思いませんか? 今度来ても1200万シェルですよ? 私の商店を助けると思って!!」

「とんでもないお助けですよね。俺が渡さなかったら……貴族を怒らせることになる……」

「くぅ……セツナさんは商売上手ですっ!! よし、2500万シェル! これが、これが限界ですっ!」

ここらへんが潮時か。

「仕方ありませんね。ただここにはないのでクランハウスに取りに帰らないといけません」

もう夕方だ。今日はこれを渡してあとはミュス狩りで終わりくらいかな。

「助かりますっっ!!」

大急ぎでクランハウスに飛ぶとみんなが揃ってた。

「セツナ忙しそうだな」

「ごめん、どっか行く?」

「ログアウト時間まで金策するかって話になってる」

俺は今まさに金策してるナウ。

「ちょっとファマルソアンさんから無属性のレインボータートルエッグ無心されて、なんかどうしても必要だからって、倍以上払うらしいから渡してくる」

「いい商売だなぁ~んじゃ、それ渡したら起きるまで狩りしに行こうぜ」

「まあ、ミュス狩りかそっちと一緒かの選択肢しかないし。OK」

道中一応流れを説明。そのまま出かけようと一緒にお店に行くことになった。

入ったことのないソーダたちが行きたがったというのもある。

『というわけで、無属性の虹亀卵、渡すのが遅くなりそう。ごめんね』

『今残り1つなんでしょう? 先に半蔵門線に渡してもいいわよ~?』

『拙者、元妖刀あるでござるし? これかなりよい武器なのでまだまだ気長に待てるでござるよぉ』

2人ともお互いに遠慮してる。

『またヴァージルのお休みの日に付き合ってもらうつもりだから』

『じゃあ、今日のお魚採りで海鮮丼が出来上がることを祈ってて!!』

クランのみんなで行くのは海らしい。

『ヴァージルに海鮮丼食べさせてみたい』

『狩り終わった後クランハウスに連れてこいよ。海鮮パーティーしようぜ』

『喜びそうだ~』

なんだかんだと美味しいもの好きなんだよね。あんまり普段食べ慣れないものを楽しんでいる感じだ。これは、牛丼カツ丼親子丼豚丼海鮮丼、どれだショートか。

店まで行くと、ファマルソアンが入り口でうろうろしている。本当にかなりの困りごとだったようだ。俺の姿を見つけると笑顔になって、あの恐ろしい速さでそばに来る。

「セツナさぁ~ん!! 助かりますっ!」

ソーダたちもまとめてはやくはやくと店の奥へ通され、トレイの上にお金がどーんと積まれてる。

「ああ素晴らしい。最大のレインボータートルエッグ! ああ、助かりました。持つべき物は友ですねっ!」

友だちになった覚えはないのだが。商売相手かなって。

「これは借りだと思ってますから、何かお金関連で困りごとができましたら、ぜひぜひ声をかけてくださいね。クランのことでもかまいませんよ」

酒運びバイトで心証がいいんだろうな。

その後はファンルーアを少し行ったところの海でお魚を捕った。まさかの船で出て釣りをするパターンでした。ただやり方が、釣りをする、魚を追って大きな魚が来るの連鎖の末のホンマグロとの戦闘。

そう、マグロ!! わーい。

『バッチリ料理するよ~!』

マグロと貝、自分でサーモンは捕まえているらしく、あとはブリなんかが欲しいねという話だった。