軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

210.花を探して

久しぶりにヴァージルから狩りのお誘いが来た。

例のカジノ以来である。ちょっと追加怒られしないかビクビクしてしまう。いい年した大人は怒られたくないのだ。

まあ、今日のヴァージル・アスターの材料も欲しいし快諾して、イェーメールの聖騎士団までお迎えに上がることに。親衛隊からの更新はまだかコールに耐えられなくなってきた。でも、怒られたヤツ上げるわけにいかないしなぁ……。静止画だけならと、そちらはアリンさんにすでに渡し済み。

今日はかなり早くログインできたので、まだ日が高い。

「どこか行きたいところはあるかい?」

ヴァージルの執務室だ。

「うーん、今、 細剣(レイピア) 専用の触媒を探しているところ」

「おっ、専用触媒の素わかったのか?」

なぜかアランもいた。

「はい。枝の代わりになるようなすべての素材に混ぜるのが、クティス貝で、その貝殻を粉々にして使っていました。こっちはまだまだ残っているんですよね」

貝柱は案山子の物になった。

貝殻大きいから、そちらはもう当分採りに行かなくてよさそうだ。

クティス貝採るのは大変だから、助かる。

「クティス貝というと、あの狂暴なやつか……」

「あれ、やっばいよな。同じ場所にでっかい虫も出るし、そうだね、セツナ君のクランメンバーが勢揃いしてないと狩るの難しそうだよね。聖騎士団で行くとしたら、いちにいさん……」

「勢揃いしていても1体ずつでしたね。大変でした」

「あとは属性の触媒か」

「一応、水、地、毒、氷、火の5種は手に入れてる。残りは風、雷、聖。闇と時魔法はもともと持っていないし、無属性と、木属性は教えてもらえなかった。無属性は本当にわからないとか」

「弓矢でも無属性はないな……木は俺が元々持っていないから興味がなかったし」

「 細剣(レイピア) の付与専用スキルを教えてもらったのが、火と風と雷なので、風と雷の素材は欲しいなぁと」

「専用スキルを教えてもらえたのか」

「アランブレの貴族に少し伝手があって、ラッキーだった」

「聖騎士だと、第9の副騎士団長だったんだよ。少し遠くてね」

まだ街が見つかっていないから出てこないやつだー。

「普通に 細剣(レイピア) 専用スキルも少し教えてもらったから、そこから属性を使っていたら派生するかもしれないし、気長にやる」

ヴァージルに言うと、彼は頷いて俺に尋ねる。

「風と雷と聖属性の素材は?」

「 細剣(レイピア) の触媒素材は花なんだ。アネモネ、ヒガンバナ、シロユリ」

「シロユリは……」

ヴァージルとアランが顔を見合わせる。

「敷地内に咲いてるな」

「えーっ!?」

【鑑定】で確認すると、しっかり触媒だった。許可が出たらくれるそうだ。一応聖騎士団だけど、神殿の敷地内ということで花の管理をしているところに聞いてみないとわからないという。

「あとはアネモネとヒガンバナか。花は詳しくないなぁ……」

「その顔で花にまで精通してたら嫌味どころの話じゃないぞ」

アランの言葉に俺は首振り人形と化す。モテ要素、どれだけ備えるつもりだ。ヤメロ。

「でもほら、街の花屋で聞いてみたら? さすがに花屋の花が素材になるとは思わないけど」

根から取るように言われてるんだよね。だから、シロユリもちょっと悩んでしまう。あれ、種から育てると咲くまでかなり掛かる。普通は分球するんだよなぁ……。球根で咲く花なのだ。毒だけは別。花びらでOK。

野生の百合を見つけたらそちらを採りたい所存。

「花屋に行ってみるか」

ということになった。

今日は2人とも休暇を取ったそう。団長と副団長2人とも休んで問題ないの??

「補佐が有能なんだ~」

「あいつがいればイェーメールの騎士団はどうにでもなるだろう」

トップ2人がそれでいいのか?

俺は曖昧に笑っておいた。

「というか、セツナ君、俺に敬語でヴァージルに普通に話すの切り替えめんどくない?」

ぐっと詰まる。だってヴァージルに敬語で話すと眉間にしわがよるんだよ。きゅって。

「俺にも普通に話していいよ~」

いやいや、アランも貴族だからな。間違いなく。

「これに敬語を使う意味は確かにないな」

「そうそう」

冒険者と変わらない格好をしていても、エフェクトの掛かるヴァージルの隣に立っていてかすまないアラン。あれか! お貴族様には顔面エフェクトが……違うな、トラヴィスくたびれてしかなかったもん。

行き交う女性がチラチラ振り返る。NPCもプレイヤーも、彼の顔が気になって仕方ない様子。

そして一定間隔を置いてついてくる団体。

控えなさいって……。

街の花屋さんは入り口近くの大通りにあった。なんでも冒険者が愛する人の元に無事を告げるときの土産に買っていくらしい。

へー、お熱いですね。

「好きな相手とはいわずともお世話になっている方や気になる方に、普段やらないことをすると印象深いですよ」

ふふふと、花屋のお姉さんはヴァージルから目線を外すことなくのたまった。

「アネモネやヒガンバナはあるかな?」

そんな視線をものともしないヴァージル。

「アネモネはありますが、ヒガンバナは……ないですね」

「アネモネはどの辺りで採れるのだろうか……、実は根の部分が必要でね」

「あら、素材としてですの? ううん……アネモネは風の村の方の名産ですね。ヒガンバナは申し訳ないけれど、聞いたことがないの」

「風の村なら知っている……ありがとう」

笑顔の暴力に、花屋さんノックアウト。ふらふらと壁にもたれた。

しかし、ヒガンバナ知らないのかぁ~どうしよう。

「ともかく、風の村に行ってみようか?」

「そうだねー休みとっちゃったから暇だし。外出申請して行こうぜー」

アランも一緒に出掛ける気満々のようだった。

「近いの?」

「そうだな。日が暮れる前にはつくよ」

騎獣に乗って進む。

街を出た時点でパーティーチャットは組んである。彼らにとってパーティーチャットはどんな風に考えられているのだろう。

謎だ。

『風の村はイェーメールの領地内にあるんだが、少し変わった風習のある村で、とにかく俺が交渉するからセツナとアランは控えていてくれ』

『了解』

騎獣が早いのか、わりと近い場所だったのか、日が落ちきる前についた。