軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

204.氷の花

かなり山の上の方で木がほとんど見つからず、寒さもそれなりにある。この辺りをずっとうろついていたら寒さへの耐性も出そうだ。

【夜目】が育ってきているので周囲はよく見える。花がないかいつも以上に足下を見つつ、モンスターを避けながら進んだ。【気配察知】で気付くのがだいたい一緒で、ぴたっと止まって同時に方向を変えるのだ。

『セツナ殿の【気配察知】もしっかり育っているようでござるね』

『意識せずに使えるようになってきました……あ、花がある!』

もう少し近づかないと【鑑定】できない。が、近づけばその先のモンスターに気付かれそうだ。

『しかたないでござる。セツナ殿、戦闘準備。ここのモンスターは高山地帯に住むモンスターでござる。【火付与】が効く』

『 細剣(レイピア) 専用じゃないけど汎用の触媒ならあるのでそちらで付与します。半蔵門線さんもしますか?』

『いらないでござるよ~。相手は素早さがそれなりのヤギちゃんでござる。【突進】されたら我らは終了。華麗に避けるでござる』

「【火付与】」

近づいて見えてきた山羊と、花。花びらが透明に見える綺麗な花だった。『サンカヨウ 細剣(レイピア) 専用氷付与触媒材料』とある。ビンゴ!

ちなみにヤギはラッシュゴートとあった。

それが2体いる。

『1体ぎょろちゃんで封印します?』

『こやつら頭がよいでござる。ぎょろちゃんを狙いに行くかもしれぬ。ジャンプ力もかなりあるでござるよ』

それはダメですね。ぎょろちゃんいじめられちゃうのはヤダ。

『俺のなけなし幸運値でやってみようかなぁ』

『それはありよりのアリでござる』

「【フロストダイス】」

1匹が俺にもう突進してきた。そして2匹目が避けようと思っていた方向に!!

今日の運勢を1匹目にぶつける。

1×1。とんだゾロ目っ!!

だがまあ、一瞬でも止まってくれたら俺は逃げる方向を変えられる。

「【なで切り】」

いつの間にか【隠密歩行】で姿を消していた半蔵門線が、一瞬氷で止まった方へ斬りかかった。

一瞬でも止まれば無防備状態への攻撃力全のっかりだ。

ヤギが叫ぶ。わああああって聞こえた。人の声みたい。

1秒じゃ俺まで攻撃は難しい。再び【フロストダイス】を出して構える。向こうは同じ攻撃をしてきた。真っ直ぐ突っ込んでくるヤギAと、そこから逃げそうな方向へ突っ込み準備するヤギB。

またもや凍らせる俺。1×3。これなら俺も攻撃だ。

突き刺しからの、爆発!

「【業火】」

身体の中を焼かれるのはやはりダメージがかなり入る。1体始末できました。

『 細剣(レイピア) 、エグい攻撃するでござるね~』

『火のこのスキル、かなり使えるんですよ。【フロストダイス】からの連携で』

『ここは拙者も魅せなければならぬでござるねっ!』

おお!?

「忍法火遁の術【火祭り】」

口の前で人差し指と中指だけ立てて右手を握る。そしてふうっと頬を膨らませ息を吐き出したと思ったら火がメラメラとほとばしる。

まるで生き物かのようにヤギへと向かい、ヤギは大暴れだ。

危ない、こっちくんな!!

炎に巻かれたヤギはやがて息絶えた。

『忍者っぽい!!』

『そうでござろう!! 忍者マスター厳しくてなかなか遁術教えてくれないでござるよ~』

ヤギからはヤギの角とヤギ乳が手に入った。案山子への土産だな。チーズに化けそう。

さあ、本題の花だ。

サンカヨウは群生していた。ちょっと火の当たったところは枯れてしまっている。

『火も善し悪しでござるな』

『まあ、これだけあるし、きっと摘んでもすぐ生えてきますよ』

氷のスキルはまだ知らないけど、たぶんとても便利だからたくさん摘んでいくことにした。

『お付き合いありがとうございます』

『遁術試してみたかったしOKでござる。そういえば、ソロ狩り場を探していたでござるね。セツナ殿の職性能と、うまみ、立地を考えると、イェーメールからファンルーアよりのマップで、ビッグキラービーと戦うのはどうでござろう? ちょうどいいからちょろっと行ってみるでござるよ』

案内されたのは草原マップ。木がわりと生えているのだが、その木の根元に大きな……蜂の巣。

『ビッグキラービーはリンクモンスターでござる。小さいから【突き刺し】で始末するでござる』

『風を付与して【青嵐】とかでもよさそう』

『1匹がなかなか狂暴で、刺されると毒とダメージ。毒耐性もつくでござる』

『ポーション持ってかないとだぁ』

紙だからやられたら終わり的に思ってたけど、ソロ狩りだと違うよなぁ。

『経験値が結構うまうまでござる。突き刺せるならかなりよいでござるね。ビッグキラービーは攻撃を当てるのが大変でござるから。ドロップの針は武器の材料として市場でもわりと良い値で取引されているし、蜂蜜は案山子殿が喜ぶでござる。HP回復もできるでござるよ』

栄養満点なんだな。

とりあえず試してみることにした。

『付与なしでもいけると思うでござるよ。ようは、【突き刺し】したらビッグキラービーは無力化される。一発で死ぬなら例の【青嵐】はありでござるね。乱れ突きみたいなものでござろう? 死ななくても刀身が長いから、刺しまくればOKでござる』

よし、やるぞーっ!

ビッグキラービーはビッグといえども手のひらサイズ。いやまあ、手のひらサイズの蜂は怖い。巣に近づくと5匹ほど出てきた。

まずはスキルを使わずに刺そうとすると、躱される。難しいな。

「【突き刺し】」

スキルを使ったらすっと吸い込まれるように蜂さんが剣に刺さる。ぶぶぶぶって羽根をめちゃくちゃ震わせてた。一発じゃ死なないなぁ。これ、火を付与してたら死ぬやつだな。氷でも良いかもしれない。氷ならソロ狩りギリギリ行けそうなので、ソロで狩れるものを使うべきだな。あ、いや……毒がベストかもしれない。とはいえ貝はみんなに頼むしかないのだ。うーん、みんなに還元できるものがあればいいんだが。

とりま今は、花びら汎用触媒で行こう。

蜂の攻撃をひらりと躱しつつ付与する。

「【火付与】【突き刺し】」

付与した瞬間に刺さってたヤツは死亡。追加突き刺し蜂さんも一発死亡。

『付与強いでござるね~』

『経験値がすごい』

5匹で1%上がる!!

『攻撃が当たらないでござるよ。範囲魔法で倒さねばどうしようもない。HPもそれなりあるし、うまくかみ合ったようでよかったでござる』

500匹倒せばレベル上がるってすごくない!?

忍者サンには感謝感謝。