軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

182.クエスト錯綜

倉庫の中には、そう、ゴーレム産石が山積みになっておりましたよおお!!

採掘場は国の管理って言ってた。もしかしたら、別の採掘場、国管理ではない場所からゲットしたものなのかもしれないが、それにしてはこの隠しっぷり、怪しい。

俺はゆっくり登ってきた距離を、【木登り】が切れたところですとんと降りる。

降りる方は余裕なんだよなぁ。

さて、これを情報として持ち帰りたい。つまり、どうにかこの奴隷の首輪を外してもらうしかない。

絶対向こうから外してくれることはないだろうけど!!

なんなら死んだらウロブルに返還されるだけなんだよなぁ。でもそれはクエスト失敗だ。ちょっと忘れかけてたけど、今クエスト中なのよ。

辺りをざっと見たあと、お屋敷に帰る。厨房、食堂と行ったところでまた使用人に見とがめられた。

「何をしている?」

「なくなった物を見つけるよう言われていて……」

「それなら先ほど見つかった。仕事に戻れ」

見つかった? ござるが盗ってったんじゃないのかな? しかし見つかったなら部屋に来るかもしれない。急いで戻ろう。

と思ったが、どれだ。たぶんこれ? あ、違う。を繰り返していたら、廊下をうろついているのをダゴールと伯爵様に見つかってしまいました。

「貴様何をしている!!」

首輪の力発動! ぴしっと動けなくなった。

「なぜ部屋の鍵が開いているんだ!!」

かけ忘れですよ……。

「おい、何をしていた!?」

ダゴールに詰め寄られ、俺は声を絞り出す。奴隷の首輪のせいか、発言しにくいんだよね。

「……お腹空いた」

EP回復できるものください。

ダゴールとモンターグ伯爵は顔を見合わせていた。

美味しい物がいいよ!! 無駄に舌が肥えてるんだ、案山子のせいで。

結局部屋に連れていかれ、椅子に座らされる。そして目の前に紙が置かれた。

「食事を持ってきてやるから、これを今すぐ【翻訳】しなさい」

紙は2枚あった。

無くなったはずだったのに出てきた暗号化された文書。

キナくせぇ~!!

「【翻訳】……あー」

俺が翻訳した途端、ドンっ! と何かが空に向かって打ち上げられた。

「何を!?」

「【翻訳】」

2枚目。うーん。

でかでかと、『この機密文書はいただいた!』とあった。こっちが半蔵門線かな?

1枚目の方には、『この機密文書を、暗号キー以外で解読しようとした者へ、観念せよ』と書いてある。俺ですね。オレオレ。

「今のは……」

「旦那様っ!! 騎士が、王宮騎士団が屋敷を取り囲んでおります!!」

「何っ!?」

同時に玄関の方が騒がしくなった。

「チッ、行くぞダゴール! お前もだ!」

商人が俺の腕を引っ張る。首輪の力で無理やり動かされた。

「やだー」

「お前は俺のこの腕輪から一定距離離れたら、首が飛ぶんだ! 来なさい!」

そんなの聞いてない!! 首が飛ぶのはノーサンキュー!!

仕方なしについていくが、後ろから声が掛かる。

「まてーっ!!」

聞いたことのある声。

「ソーダ助けて~~~」

「はっ!? セツナ!?」

ドタドタと追いかけっこなのだが、この伯爵も、ダゴールも、足はやっ! 追いつけないじゃん、ソーダたち!

「こっちだ。そこの隠し通路を内側から閉めてしまえば多少時間は稼げる」

いやー!

廊下の突き当たりの台の上に、獅子の像がある。伯爵がその像を掴むとぐるりと回した。台が大きな音を立てて横にずれる。

「早く入れ!」

「い、いやだーお助けぇー!!」

ここ入ったらアカンヤツやーん!!

「さっきの話を聞いてなかったのか、お前は私から離れたら首が――」

飛んだのはダゴールさんでした。

いや、飛ぶまでは行ってないけど、ぶっ倒れた。

「おお? おおう?」

ソーダたちの足音が迫って、モンターグ伯爵が舌打ちをした。隠し通路に片足突っ込んでいるダゴールを押し返し、自分だけ中へ消えていった。獅子の像が元通りになった。

「セツナ!!」

「ソーダ、この首輪外してくれ~」

ソーダと一緒に来たのは、あ、見たことある。

マジックストーンゴーレム一緒に採りに行ったフェリックスさんだ。

「セツナ!? なぜこんなところに」

「いやー、捕まっちゃって」

《クエスト:アランブレの奴隷商人 をエピソードBでクリアしました》

新しいパターン。

騎士たちが後ろからもやってきて、ダゴールの遺体を運ぼうとする。

「待って待って!! そいつの腕輪と俺のこの首輪連携してるらしいから連れてかないでー。死にたくないぃぃぃ」

死んだら俺もろともパターンじゃなくてよかった。

しかし、クナイみたいなのが首にぶっささってるんだよ。

半ちゃんだよね……。

その後騎士団の魔法使いが魔道具に詳しくて、俺の首輪も外してくれた。

「あ、こいつの雑貨屋の地下から行けるところに、もう1人一緒に捕まった子がいるんですよ」

キャロットさん。忘れてないぜ。

騎士たちは顔色を変えて救出に行った。店はもぬけの殻だったらしい。キャロットさんは無事救出。

俺は話を聞かれたあと解放。よかった。起床時間に間に合って。

さらにチャットも解禁されたので、半蔵門線にフレンドチャット。

『文書持って行きましたよね!?』

『さて? でござる』

『暗号キー使わないで【翻訳】したら花火が上がって騎士が突撃してきたから、そちらが仕掛けたものじゃないなら気をつけてくださいね』

『なぬ!? 了解したでござる』

一応命の恩人だからね。

観念せよ、の方は、騎士の方の仕込みらしい。そしてここが特定されてなだれ込んできたと。フェリックスさんがいるってことは、マジックストーンゴーレム関係だった。奴隷の方は巻き込んだ?

ソーダたちもクエストしていたらしく、騎士団に協力して色々調べに回っていたらしい。やってることはおつかいクエスト風。

「しかし、【翻訳】かあ。いいなそれ」

「【鑑定】のところに、普段から審美眼を鍛えろってあるけど、【翻訳】には何もないから、きっと使わなくても消えない系」

「良きなのじゃ~私も、攫われたいっ!!」

「EP回復用に与えられるパン、めっちゃ不味かったよ」

「それは、嫌だねッ!」

「貢献ポイントめちゃくちゃもらっていい感じだ」

「聞き込みの手間はあるが、悪くなかったな」

「クエストの性質上、【翻訳】もらうか、貢献ポイントか、って感じかしらね?」

「いや、どーだろ。俺がクエスト開始時にプレイヤーと合流した場合はって言われたから、しないことも多いんじゃないかな? 今回たまたま関わった感じで」

「別チャンネルでその雑貨屋は生き続けるんでしょうね」

「しかし、上手い具合に死んだよな、その商人。口封じに消されたんだろうって、使用人とか調べられてるよ」

犯人はクランメンバーです。

まあ、暗殺ギルドっぽいのに関わってるらしいし、内緒にしておこ。

動画もカットして渡します。

ショート動画作りでカットする技術は手に入れたぜっ!!