軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

181.クエスト中でござる

その後2人は食事を摂るとかで、俺はまたテーブルだけある部屋に閉じ込められた。

牢屋みたいなところに繋がれないだけマシだけど、未だにチャットが解禁されないのだ。起床時間まであと7時間。いいところで起きるはめにならなければよいが。

「さーて、俺はここで何かを得なければならないんだろうな」

2人が食事している間に逃げ出す算段をしたり、切り札になりそうなものを探すとする。

テーブルはシンプルな四つ足のもの。椅子が1脚ついている。たぶんこれ、俺に、ここで延々読ませる予定なんだろう。

「【ライト】」

指先に光が点る。

生活魔法は使えるらしい。他の魔法はみんなグレー表示だというのに。

残念なことにこの部屋、窓がありません! 完全に閉じ込める部屋だ~。

それでも何かないのか、床や壁をドンドンとやってみる。天井は届かない。

壁に絵の1つすら掛かってないんだから困る。

出入り口は今のところ1つだけだ。

何か、ヒントが欲しいんだが。

と、【気配察知】に人影が。

「誰だ!?」

叫んでみるが反応はない。しかもこの気配、現れたり消えたり微妙。天井なんだが……。

何かないかと【生活魔法】をスクロールしていて、試してみる。

「【煙幕】」

天井へ向けて、白い煙が上っていく。

自分の身を隠したり、ダンジョンで、秘密の隠し部屋なんかを探るときに使うらしい。生活に関係ないじゃんねー。

すると、ゴホゴホと咳き込む声が聞こえたので、その辺りの天井に向かって唱える。

「【引き寄せ】」

ゴッと音がして、天井の板がずれる。

「【引き寄せ】【着火】」

狙いは、ずれた天井板。チラリと見えた人影に追撃。

「や、やめてくれでござる~」

ござ……る!?

「セツナ殿、容赦なさすぎでござるよ……」

「半蔵門線さん!?」

「やれやれでござる」

ずれた天井板からすっと人影が降り立った。

忍者に就職した半蔵門線が、完璧な忍者スタイルで現れた。

「助けに来てくれたんですか~!?」

「それは誤解でござるよ。拙者今独自クエストナウでござる」

「なんてことっ!!」

「まあ、閉じ込められてるから、助けてしんぜようかとも思ったでござるが……おしゃれな首輪が怪しげでござるね」

俺の首の黒い輪っか。チョーカーみたいになってる。

「奴隷の首輪ですね」

「セツナ殿……とうとう、アンジェリーナ殿の奴隷に……」

「ちがーう! ここのお貴族様に出入りしてる商人に捕まっちゃって、多分今ここのお貴族様に売られたところ」

愛の奴隷ならちょっと別にいいよって気もしたけど。

「ほほう……しかし、その首輪してるセツナ殿連れ回したら不利益が雨あられな気がするので、拙者が目的の物を手に入れたら匿名で通報して進ぜよう」

「うう……お願いします。できれば起床時間前に」

「あと7時間ほどでござるね~急がねば」

大急ぎで頼みたい。

「半蔵門線さんのクエストって?」

「秘密文書入手と、まあ、ちょっと必殺仕事人を……」

「暗殺ギルドじゃん……」

「お約束でござるね~」

そんな物騒なギルドがあるなんて初めて聞いた。

「俺聞いちゃってよかったの!?」

「話したらダメという念押しはなかったでござるし? 文書は手に入れたので後は奴隷商人をヤるだけでござるね」

あの商人じゃん。南無。やられてしまえっ!!

と、【気配察知】が働く。

「むむ、ちょっとまた後ででござるね、セツナ殿」

とんっ、と軽い音とともに、半蔵門線は天井の穴に消え、天井板が元の通りにはめられた。俺は椅子に座り、テーブルに突っ伏してみる。寝てました風。

扉が大きな音を立てて開けられた。

椅子に座ったまま振り返ると、モンターグ伯爵が鬼の形相だ。

部屋の中をブンブンと首を振り、忌々しそうに舌打ちする。後ろから商人、もといダゴールが追いかけてきた。

「伯爵様、ありましたか!?」

「いや、見つからぬ……お前たち、屋敷を封鎖しろ!! 盗人がいるぞっ!!」

気付かれちゃってる、半蔵門線。

「まさかこやつが……」

「いえ、伯爵様。奴隷の首輪で来訪者の【持ち物】や、アイテムポーチの使用を禁止しております」

そうだったなとつぶやいて、2人は出て行った。

そして慌てていたのだろう。さっきはしっかり閉めていた鍵が開けっぱなしになっている。奴隷の首輪がある限り、自由はなさそうだが、それでも暇だしお屋敷内巡りしてみよう! 俺はこっそり抜けだし、廊下へ飛び出した。

が、すぐ使用人の目に留まる。

「おい、何をしている!」

俺は慌てず騒がず、首輪を指さしながら答えた。

「なくなった物を探すよう言われております」

使用人は俺の奴隷の首輪を見て納得したようだった。いける。これはいける!!

かなり気になる話が出てきているし、このまま面白いこと探そう。

部屋は1階だったので、そのまま奥の方へ行ってみる。2階はそれこそ伯爵がうろついてそうだから避けよう。

食堂を見つけ。さらに厨房へ。厨房からの廊下。そして、外に出た。

「裏側かな?」

大きな倉庫が建っている。なんだろう? 王都の屋敷で、伯爵様と呼ばれていたが、伯爵クラスなら領地があるのではなかろうか? つまり、ここはタウンハウスというやつか。その屋敷の裏庭に、なぜこんな大きな倉庫が。しかも背の高い木々が並んでいて、周りからの目隠しになっている。

ぜーったいなんかある! という俺の勘を頼りに近づいて行った。

きっと重大な秘密があるぜ、へへっ!!

建物は都内一戸建て平均レベルな感じの大きさだった。庭がないくらいのやつ。20坪くらいに建てる家ね。

そこまで大きいわけじゃないけど、こうやって見上げると、わりと大きく見える。

もちろん鍵はがっちり掛かってる。解錠スキルとかないからなぁ。上の方に窓があるから、あそこから覗きたい。

窓の高さは2階の天井近くって感じでかなり高め。

あそこまでどうやって登るか。

そう、生活魔法である。

なんか【木登り】というスキルがあったんだが、木なんか登ってどうするんだって思っていた時期もありました。

これ、つまり、壁登りできるやつなんだよ!

「【木登り】」

手足がぴたりと建物の壁に吸い付いた。ヤモリみたいだ。

こまめに掛けていかないと落ちるんだが、生活は消費MP1だし、掛けまくってスイスイ登った。腕と足の力あればいけるやつです。

捕まるとこがない、ボルダリング!

そして到達した窓から中を覗くと……ああ!!! ハザック親方かもーーんん!!!