軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

112.退魔の書

「口惜しや……まさか、まさか退魔師がいるとは!!」

すごい形相のにゃんこ又だが、うん、見たことあるんだよな、なんだっけ?

あ、某有名な猫のミュージカルだ……。

『八海山、とどめさせるようなスキルある?』

『ああ、ある。が、なんか世界観がちょっとアレだから言いたくない』

『なんなのよwww やっちゃいなさい!』

バンッ、とピロリに背中を叩かれた八海山。

うん、ダメージ判定出てたよ……。

『もう少しHP削らないと失敗しそうだ』

ということで、切り裂き攻撃は切れ味が鋭すぎたので、避ける一択。噛みつき攻撃の時に、ソーダがガッチリ捕まえたところをピロリと半蔵門線の【投擲】と柚子と案山子のアロー系をここぞとばかりに食らわせる。

あちらも素早さが売りのタイプらしく、天井からの攻撃まであり、避けるのも大忙し。

それでも、HPを確実に減らし、とうとう八海山の新スキルだ。

「我が 牡牛神(タウルス) よ、聖なるその気で悪しきものを退けよ! 【悪鬼退散】」

この呪文も作ってるのか……予想外のRP。

開いた本から魔法陣のようなものが現れ、同時におトヨの方の足元にもそれが現れた。

「ぐぬぅ……おのれっ、その顔忘れぬ。退魔師め、次会った時には必ず血祭りにあげようぞっ!!」

素早い動きで庭に飛び出すと、夜の闇の中へ消えていった。

《クエスト∶マシヴェニャの化け猫騒動 をクリアしました》

《全ワールドの図書館での退魔師に関する情報が解禁されます》

どちらもワールドアナウンスではなかった。

『おつかれさーん!』

『退魔師爆誕用回だったのかな? そこまで強くなかったね』

『どっかのダンジョンのボスになっていると睨むでござる』

『ありそうじゃ。また会おうって言われてたし』

一番強かったの半蔵門線だ。

『倒してないから、ワールドアナウンスない?』

『そうだな〜たぶん?』

『ドロップもなしだから、退魔師になるための戦闘なのかしらね。最悪1人でもいきなりさっきのスキル唱えたらあちらが逃げて終るやつとか?』

『まあそこら辺はまた、検証大好きっ子たちがやってくれるだろ』

『前提条件の三大幽霊を星に還すところと、【ダークストライク】がポイントになるのかな』

『たぶん?』

と、ドタドタと人の集まってくる音がした。

不法侵入やばい?

襖がスパーン! と開く。

あ、さっきの殿様だ。しかし、顔が憑き物が落ちたよう。

「そなたらが! そなたらがあの化け猫を退治してくれたのかっ!?」

殿様、ではなく、領主様はおトヨの方を喰らって化けた化け猫に憑かれていて、毎夜苦しんでいたそうです。

「恐ろしい強さでな……私にはあれを退ける力はなかった。助かった!」

「申し訳ないのですが退治するには至りませんでした」

とは八海山。

逃げられちゃったね。

「ふむ……退魔師としては申し分ないようだが……ああ、もしや退魔の書を得ていないのか! それでは、我が家門に伝わる退魔の書を譲ろう」

『お、退魔の書壱を貰った』

『私のとこには来なかったわ』

『俺のとこにもないから、やっぱり聖職者からの派生になるんだろうな。聖属性必要だろうし』

『つまり、転職クエストか』

『ステータスにプラスされるものは……本を装備したら命中プラス10、耐久プラス15、知力プラス15。まあ、知力と、耐久プラス5ずつは聖職者のボーナス分』

『ステータスプラス30てことか。いいな!』

「退魔師は数少ないゆえ、活躍を祈っている」

「ありがとうございます」

八海山が礼を言うと、領主はよいのだとにこやかに頷く。

「あの! 僭越ながら、庭にたくさんいた猫はどうするのでござろうか」

「ああ……あの化け猫が集めたとはいえ、猫に罪は無い。集めたものを放っては、他に迷惑がかかるだろう。これも私の罪の一部。このまま庭で面倒を見ようと思う」

にゃんパラ存続おめでとう!!

また今度遊びに行くぞ~。

空が段々と白んできたので、お屋敷を辞して、クランハウスに移動。

村正改は、他の面子がみんないらないということで半蔵門線が使うことになった。大喜びだ。

「というか、ローレンガに日本刀の店とかありそうだよね」

「鍛冶屋はあったらしい。ただ、置いてある品物はそう変わらないって話だった」

「拙者がこれの研ぎとかに持ち込めば店頭に並ぶパターンな気するでござるね」

「ありそうね~」

「カマキリ無限狩りでもしてスキル出すでござるよ」

レッドマンティスというカマキリ型のモンスターがいて、リンクが激しいのでレベル差があるとき、同じ行動を繰り返すことによって出るスキルを習得するために便利らしい。あくまでレベル差があって狩りが余裕なときは、だが。

話が一段落したところで、神妙な面持ちのソーダが俺を見た。

「セツナ、申し訳ないが、今回の戦闘動画はネットに上げることになる」

「ああ、別に構わない」

「良くも悪くも有名だから、お前に寄って来るヤツがいると思うんだよ。で、一応動画見てる奴らに牽制するために、お前の引いてる面白いルートの情報を流すことにする。それと引き換えに、必要以上に接触はしないでくれとするつもりだ。それでもどうしたってうろつく奴らがいるから、そのときはまた連絡くれ」

「もっと【隠密】レベル上げるよ」

街中で、アンジェリーナさんの店に行くときは【隠密】で行かねば。知られてはならない、あの楽園を。

「一応出す情報としては、今回の退魔師発見の話だが、さっき図書館で退魔師の情報が解禁されたってあったし、とっかかりはそこへ行けばいいから貸本屋の情報は流さないで済む。その後だな。お前が猫又を貸本屋で引っ張ってきてるんだよなぁ……」

「それも、図書館で調べればいいんじゃないの? 幽霊、妖怪、猫が多いから猫又も調べたってことにして」

「だなあ、閲覧情報とかが必要になると思うんだよ。図書館で猫又本閲覧できるか聞いてみようか」

「村正も半蔵門線のおかげで出るから、日本刀の話広まりそう」

「パーティーに聖職者いないと猫又は無理かもしれないわね~」

「まあもともと聖職者派生の退魔師になるためのミッションでござろう? 多分一人でチャレンジするならそれに合わせた難易度でござる」

「あんたのお仲間たちが日本刀目当てで来る未来の話よ」

「絶対たくさんいるでござる……」

「お前の面白いルートは、ミュスの大行進イベント関係だよな。どうする? チュートリアルのミュスルートばらす?」

「どこまでが条件かわからないけど」

「根付けもらわなければ一歩前進してると思うけどな。で、下水道と、さらにミュス王」

そう並べられると結構特殊ルートだなと改めて思う。

「そして最大の問題、ヴァージルさんとの絆だよ」

「あー、あれなぁ……アレこそ何が原因かわからない」

「ちょっとお前の辿った道を話し合おうか。まあ、そっちはリアルの方でいいや。休憩時間チャットしよ」

「あいよー」

ということで色々打ち合わせをして解散。

午前9時を過ぎたし、行く場所は1つだ!