作品タイトル不明
第169話最難関ミッション
精霊の住む64階層の森の中には綺麗な泉が存在している。
その泉はアイテムを放り込むと別のアイテムとして出てくるというとても夢のある素敵な泉なのです。
そんな話をした時、浦島先輩のウケは中々良かった。
「ほぉお! それは面白い! 斧とか放り込むのかな?」
「へっへっヘっ……実は何でもいいんですよ。ただ魔力を通せる容量が近いと、狙ったものが出やすいです」
「ちなみに何狙いなの?」
「そりゃあもちろん。精霊使いジョブ解放アイテムですね。そして確率を上げるために使うのは―――これです!」
対価として差し出すのは、予備に手に入れていたネクロマンサーの魔導書。
同じ用途のものだし、確率は高い……はず。
何かとこのダンジョンはガチャ要素が多いが、この古式ゆかしいスタイルはむしろ新鮮だった。
僕はもったいないと迷う前にボチャンと泉の中に放りこむ。
すると泉からキラキラ輝く人型の精霊が姿を現してにっこり微笑むので一応撮影しておいた。
そして……ポコンと煙を上げて僕らの前にでてきたのは銀色の指輪である。
「あぁー……ハズレですね」
「ハズレとかあるんだ。でも指輪じゃん?」
「ランダムですから。指輪にもいろいろあるんですよ……次々行きます」
ウーム流石に一回でとはいかないか。
とりあえず次はストックのある吸魂石辺りで攻めてみよう。
再びボチャンと投げ込むと、同じように泉の精霊が出て来てポコンとアイテムがドロップ―――銀の指輪である。
「……銀です」
「がんばれ!」
「も、もちろんですとも!」
本当にガチャでもやっている気分だ。
それから5回ほどアイテムを投入して、ようやく僕は目的の金のリングをゲットすることに成功して、胸を撫で下ろしていた。
「ヤター! やりましたよ先輩!」
「おめでとうー……いや、面白いなこの泉。指輪しか出てこないの?」
「他にもありますけど、アクセサリーが多いですね。探索でアイテムが余ったら来てみると楽しいです。まぁそう考えると運がいい方ですよね。そしてこの金色の指輪がエレメントリング。精霊使いのジョブを解放するジョブ解放アイテムになります」
シンプルな造形だが、強い力を持った指輪は強力な精霊の加護がある。
というか今回かなり指輪ばかり早めに出たのはたぶん……精霊共の手引きがあったような気がしないでもない。
「ほほー……」
だが目的の物がやっと出たっていうのに、浦島先輩は難しい表情で唸り僕と金の指輪を交互に見ている。
そしてなるほどと頷いて楽しそうにニヤリと笑うと、自分の口元を押さえて言った。
「てことは……今からワタヌキ後輩は―――同級生の女の子に特別な指輪を送るってことでダイジョブかい?」
「ええ、そういうことになりま……え?」
「え? そういうことだよね?」
「…………え?」
僕としては、最難関はこの泉ガチャの運の要素のはずだった。
だがしかし……どうやら本当に大変なのはここからなんじゃないかと、僕は今更気がついてしまった。