作品タイトル不明
第222話 渚沙の一日
朝、渚沙くんへのご飯も終わり、和也たちが学校に向かう。
私は渚沙くんを連れて玄関までお見送りをする。これが渚沙くんがやってきてからの我が家の日常だ。
「それじゃあ母さん、今日もお願いね」
「ケインは今日は午後からやってくるようなので、それまでお願いします」
「分かったわ、それじゃあ気を付けてね。ほら渚沙くんもママたちにばいばいって」
「あ~う、ば!」
和也たちはしばらくの別れを惜しんでから学校に出かけた。
扉が閉まる。すると、それがわかるのか、渚沙くんはちょっとだけ暗い顔をするのだ。
「大丈夫よ渚沙くん、私がいるわ」
そう言ってあやしても表情は変わらない。
母は偉大とよく示していると思う。
「……あう」
「ママたち帰るまで目一杯遊びましょう」
しばらく一緒に遊ぶ。
渚沙くんの最近のお気に入りはボール。
ボール遊びは1歳からかと思っていたが、なんでも触覚や音で楽しむものもあるそうで、試しに買ってみたら大ハマり。
一緒に転がして遊んだり、握ったりして遊ぶ。
しばらく遊んだら少し早いがお昼寝の時間。
大体一時間から二時間程度寝てもらう。
「……すぅ」
夜はどうかは知らないが、この子は途中で起きたりぐずることはあまりない。
唯の時なんて大変だったのに……。
行けない行けない、やることやらないと。
◇
お昼より少し前、今日は少しお散歩をする。
といっても、少し歩いて近所の公園で過ごす。それだけだ。
ベビーカーを準備して、渚沙くんを乗せる。
その時セレスさんのストールを一緒にするのを忘れない。
やはり少し外は不安なのか、安心できるものが必要なようだ。
「今日は桜を見に行きましょう。散り際も綺麗よ」
平日の昼間ということもあって人はいない。
思う存分のびのびと過ごしたら、家に帰りご飯。
時間的にそろそろだろうか。
そう思ったタイミングでインターホンが鳴る。
「チヒロさん、遅くなりました」
「全然大丈夫よ、ほら渚沙くん、ケインさんが来たわよ~」
ケインさんが呼びかけるとそちらの方に顔を向ける。
この子は本当に賢いようで、誰が呼びかけているか判別できるように反応を示すのだ。
「う!え!」
ケインさんが来た頃に離乳食。
またこの子良い子で、嫌がらず食べてくれる。
和也の時はこうはいかなかった。
離乳食を終えたら遊び相手をバトンタッチ。
ケインさんは魔術を使って渚沙くんと遊ぶ。
なんでも魔力量が凄まじいらしくて、小さい時から魔力と触れ合うことが良いのだとか。
「渚沙様、今日は風の魔術で遊びましょうか」
「あう、あ?」
「お空をちょっと飛んでみましょう」
そういってケインさんは渚沙くんを宙に浮かせる。
落ちないかの心配もそうだが、やはり魔術というのは不思議だ。
風や炎、宙に浮くなど様々な現象を引き起こす。
ケインさんは渚沙に色々な風を当てて遊んでいる。
それを後目に私も家事や仕事を片付ける。
そうこうしていると、太陽は傾き、カラスが鳴く。
今日は何も連絡がないからきっとまっすぐ帰ってくるだろう。
「ただいま」
「「ただいま帰りました」」
その声を聴いて渚沙くんは動きを止める。
声のする方へ顔を向け、声の主を待つ。
「渚沙」
「あうあ!」
「今日は何をしてたんですか?」
「あーう、ぶ!」
「そうですかそうですか、楽しかったですか?」
「うー!」
今日も色々な表情を見せてくれたえけど、やっぱり両親といるのが一番なんだなと思う一日でした。