作品タイトル不明
第221話 アリシアの新しい学年
「ハトリさん!付き合ってください!」
これで何回目だろうか?
新しい学年に上がって1週間。私、アリシアは連日告白を受けている。
「ごめんなさい、今はそういうのを考えてないんです」
以前運動会でお父様と共に走ってからはなりを潜めていたが、その効果も薄れたようで、この状態。
私を好いてくれたのはありがたいし、感謝もしている。だが、今はそういう相手を求めてない。それに私の理想は――、いやそれはどうでも良い。とにかく、相手にも申し訳なくなるので、告白を受けるのもそれなりに体力を使うのだ。
「じゃあさ、友達からは? 俺、待つからさ!」
正直この展開が一番頭を悩ませる。
友人なら良いというわけでもない。周りから見てみれば”良い人をキープしている”という風にもとらえることができるからだ。
かといってこれを断るのは相手には申し訳ない。
あの世界であれば、身分を笠にして対処することもできたが、この世界ではそうもいかない。
「……それでは友人としてお願いいたしますね?」
「やった、ありがとう!」
これの回答は未だに思いつかず、こうして首を縦に振ってしまう。
彼は私を置いてどこかに行ってしまった。
この後も授業があるので私も教室に戻らなければ。そう思い移動しようとすると、聞きなじみのある声が呼びかけてきた。
「アリシアちゃん!」
「楓さん……」
「ごめんね、盗み聞きするつもりはなかったんだけど……」
「いえ、学校である以上こうしたこともありえますから」
去年から仲良くしてくださっている友人の楓さん。
最近では学校にだけにとどまらず、休みの日も一緒に遊ぶ仲だ。
「それにしても大変だね? こうも連続して告白とか、男子たち何か企んでたりして」
「あまり疑い深いのも良くありませんよ?」
「だってさ、男子ばっか言いたい放題でさ、こっちのことなんて全然考えてないじゃん」
私の代わりに怒ってくれる楓さんを宥めつつ、私は言った。
「……そうですね、私には私なりの理想がありますので」
「そうなの! ちょっと気になる」
ずずいっと詰め寄る楓さん。
「アリシアちゃんの理想ってなに?」
「私にとっての理想の相手、それは――お父様です」
「アリシアちゃんのお父さん?」
「はい、お父様を超えるお相手でないと即決できませんわ」
「会ったことないけど、それを中学生に求めるのは厳しいんじゃない?」
「ふふっ、そうかもしれませんね」
そんな話をしていると、チャイムが鳴る。
「急がないと、授業に遅刻してしまいますよ」
「わわ、まってよアリシアちゃん!」