軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第207話 アリシアと子供たち

「この公園にも桜が咲いているのですね」

あれから一度家に戻り、アリシアを連れて公園にやってきた。

公園は少し大きめで、遊具だけではなく、芝生の所や運動できる広場のような場所がある。

春休みだからだろう。遊具の方を見てみれば、子供たちが遊んでいる。

「アリシアも遊んできたどうだ?」

「私は……」

「行ってきたらどうですか?」

「……遊び方がわかりません」

考えてみれば、アリシアは遊具とは無縁の生活を送っていた。遊び方がわからないのも無理もない。

「じゃあ一緒に行くか」

「え、お母様たちは……」

「近くで見てますよ〜」

「ほら」

そう言って手を差し出すと、アリシアは弱々しく掴む。

「まずはブランコだな。椅子に座って振り子みたいに動くんだ」

お手本に動いて見せると、すぐにコツを掴んだアリシア。簡単に高くまで上がる。

「中々面白いですね! 自分で飛ぶのとは訳が違って……わ!」

「怪我しないようにね〜」

遊んでいるところを見ていると、小さな見物人たちがやって来る。

「あのお姉ちゃんすげー」

「俺あんな高く行ったことねぇ」

「私はあるわよ」

そんな声に微笑ましさを感じていると、満足したのか、アリシアが降りてくる。

「童心に帰るとはこういうことを言うんでしょうか、すごく楽しかったです」

「まだそんな歳じゃないだろうに」

そう言って笑っていると、先ほどの小さな見物人たちが声をかけてくる。

「お姉ちゃんスッゲー」

「よかったら一緒に遊ばない?」

「ええっと……」

渚沙以外だと久しい下級生との邂逅に様子を伺うアリシア。

そんなアリシアの肩を大丈夫だと言う意を込めてポンと押す。

「……はい、喜んで」

「やりぃ! 鬼ごっこしようぜ」

「増え鬼にしようぜ!」

「その増え鬼……?はどんな遊びなのでしょうか?」

「お姉ちゃん知らないの?しょうがないから私が教えてあげる!」

子供たちに囲まれて遊ぶアリシアの姿を見て、俺たちは口角が上がる。

しばらく彼らが遊んでいるのを眺めていると、みんながこちらに寄ってくる。

「どうした?」

「渚沙……赤ちゃんに興味があるそうで、よかったら会わせてみたいなと」

無理でしたら言っていただければと言うアリシアに俺たちは微笑みながら答える。

「アリシアが良いと判断したなら、良いんじゃないか? セレス」

「はい、みなさんこっちですよ〜」

セレスが子供たちを集めて、膝を突く。

「ちょうど渚沙が起きたところなんです。ほら、渚沙。お兄さんお姉さんですよ〜」

「わ〜」

「……ちっちゃい」

太陽光に目を細める渚沙は周りの様子を捉えたのか、キョロキョロと周囲を見渡す。

「あうあ」

「可愛いー!」

「あう……」

「赤ちゃんは敏感なので、大きな声はしーですよ?」

「ご、ごめんなさい」

「触っても、良いですか?」

「お手手洗ってきたら良いですよ」

そういうと、子供たちは手を洗いに走る。

その様子もなんだか可愛らしく、口角を上げる。

「洗ってきた!」

「ふふっ、ありがとうございます。それじゃあそーっとですよ?」

「うん!」

男の子がそっと渚沙の頬に触れる。

「あったかい」

「えうー」

「それに、ぷにぷに」

「私も触りたい!」

「順番ですよ〜」

子供たちが順繰りに渚沙と触れ合う。

最後の子になる頃にはちょっと嫌だったのか、怪訝な顔をしてその子の指を掴んだ。

「わわっ、掴んだ」

「思ってるよりも力強いでしょう?」

「いいな〜」

「ごめんなさい、渚沙も疲れちゃったので、ここでおしまいです」

「え〜」

「もっと赤ちゃんと喋りたかったぁ」

「ふふっ、ごめんなさいね? アリシアともっと遊んであげてくださいな」

「いいよー!次は缶蹴りしよ!」

子供たちの興味はすぐに別のに映る。

連れられたアリシアは子供たちからルールの説明を受けて、一緒になって遊ぶ。

それを眺められる日が来るとは、夢にも思っていなかった。

「お茶持ってきてたんです。よかったらどうですか?」

「頂くよ」

春の息吹を感じられる夕方。

今日も平和だ。