軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第184話 異界での戦い

「どうする」

「いや、教主様の命は」

どよめく騎士たち。

そんな騎士たちに活を入れる指揮官と思わしき人物は言った。

「……勇者には最大の敬意を払おう、しかし! 教主様の命令は絶対! 私は今修羅になろう!」

そう言って指揮官は懐からなにやら禍々しい気配を醸す杯を取り出した。

「サティ教国の騎士たちよ聞け! 我らは神の名のもとに異界の戦士を打ち倒す! そして! これより我らは真の使徒とならん!」

そう言って彼は杯の中身を溢す。

赤黒いそれはドロリと溶けだし、騎士たちを包んだ。

「HAHAHAHAHA」

「??!!!!??!!」

真紅の鎧は黒くなり、その黄金は光を鈍らせ、騎士たちは人ならざらぬ言葉を発した。

「ケイン、あれは……なんだ」

「推測でしかないですが……神具かもしれません」

「旧神の道具か、また禍々しい物を」

神具、それはかつてイースガルドを弄んだ旧神が遊びで創造し、人々に与えた道具。

その大半がろくでもないもので、大戦の時も神具使いに手を焼いたことがある。

サティ教国はその旧神を崇めるものが主体となっている国で、積極的に神具を収集していた。

大半が収集し崇拝する目的だったため、使うなんてことは無かったが、まさかこんなことをしでかしてくるとは。

「お前たち! 何が目的だ! 俺を連れ戻すことが目的ではなかったのか!」

「我らが教主様は神託をお受け取りになっタ。かつての神の道具、勇者を連れ戻せト。出来なけれバ破壊せヨと」

「寄りにもよって隊長を道具扱いとは……楽に死ねると思うなよ!」

騎士たちは先ほどの整った動作とは異なり、まるで魔物の様に襲い掛かる。

「くっ!……騎士としての矜持を捨てたか!」

ケインの声にも人ならざる鳴き声で返す騎士たち。

「もういい。説得は無理だ」

「ですが隊長! こちらの世界に来てまで殺生なさる必要は……!」

「家族を守るためだ。その為なら俺は喜んで罪を重ねよう」

「隊長……!」

ケインは人化していた足を解き、ケンタウロスとしての姿に戻る。

そして剣を収め、弓を引く。

「では、露払いを」

「ああ、頼む」

詠唱を始めるケインと対照的に俺は再び剣を構え直し、襲ってくる騎士……いや、魔物たちと相対する。

「――ッ! 我が名はケイン! ケイン・アルベルト! この世ならざる人類よ、異界の地で死に果てる栄誉を与えよう!」

<ユル・トロイヤス>

ケインの放つ渾身の一射は空気を破り、大地を抉るように敵を薙ぎ払う。

ケインの魔術のおかげで敵の大多数は蒸発した。

……後は俺が片付けるだけだ。

「カズヤさん! 私も一緒に……」

「ダメだ。セレスの時空魔術は要だ。魔術の維持だけに注力してくれ」

「……また、一緒には連れて行ってもらえないのですか?」

「分かってくれ、セレス」

「……酷い人。ご武運を」

剣を手に、俺は魔物たちを薙ぎ払う。

早く決着をつけるために。

そしてどうか、この戦場を家族が見ていないことを願って。