作品タイトル不明
第180話 星の話
星が瞬く夜。俺たちは屋敷の中庭で満天の星空を眺めながら杯を交わす。星見酒と言ったところか。
「すごいねお兄! こんなに綺麗にたくさんの星が!」
「この屋敷を覆う夜空は今の日本、なんならうちの空を写してる。だが、空気はこっちのほうが澄んでいるからな。綺麗に見えるだろ?」
「ちょっと自慢げですね、カズヤさん」
「自分の家なんだ。自慢もしたくなるさ」
こちらでいう芝生に皆が集まる。
父さん、母さん、唯にアリシア、眠っているが渚沙も。
誰かが言い出したわけではなく、なんとなく星が見たくなり、こうして皆で夜空を見上げる。
「……未成年飲酒を咎めるべきなのか?」
「中身27なんだから許してよ」
「そう言えばさ、セレスさんって何歳なの?」
「あら、女性に年齢を聞くのはよろしくないですよ?」
「同じ女の子だから良いじゃん! だって見た目高校生か大学生……お兄みたいに神様に体縮めてもらってたりする?」
「それはトップシークレットです」
「え〜」
そんなことより星を見ましょう、そう言ってセレスは話題を逸らす。
「セレスさん、星座ってわかるの?」
「授業で習う程度なら。こちらの世界の星座はあまり詳しくありませんね」
「やっぱり違うの?」
「ええ、こちらで言う北極星は南にありましたから」
興味深そうに返事をする唯。
「じゃあ、今日は私が先生だ! 星座を教えてあげる!」
「まあ、嬉しいです。唯先生」
得意げにした唯は一点を指差す。
「見える?あそこに星が三つ連なっているの。東からアルニタク、アルニラム、ミンタカ。あれがオリオン座のベルトなの」
「お前、いつの間にそんな知識を」
「昔ちょっと星に興味があってさ」
そう言いながら唯は解説を続ける。
「なるほど、神話の英雄が星座になっているのですね」
「異世界ではそうはなってなかったの?」
「向こうの世界で星は、魔術を行使する中で重要な位置付けでした。なので過去の高名な魔術師の名前がついても、英雄の名前がつくことはありませんでしたね」
「そうなんだ、やっぱり星詠みって大事なんだ」
「もしかしたら、向こうの世界でカズヤさん、星座になっているかもしれませんね」
「え、俺が?」
「だって、世界を救った英雄が異世界に帰った。星に帰るなんて言い換えもできますから、もしかしたらあるかもしれませんよ?」
「なんか、やだなぁ……変な脚色されてそう」
「ふふっ」
そんな話をしながら夜は更ける。
途中雲が出始め、お開きになるまで。俺たちは星見酒を楽しんだ。