作品タイトル不明
第179話 テレビゲーム
夕方、家のリビングにて。
「どうしたんだ唯、そんな古いゲーム機持ち出して」
「学校でさ、このゲームの話になってさ、なんだか懐かしくなって」
そう言って唯は古いテレビゲームをリビングのテレビにそれを繋ぐ。
「お兄、久しぶりに対戦しない?」
「いいけど、お前このゲームで勝てた事なかったろ?」
「いいじゃん! 久しぶりなんだから楽しもうよ」
「いいけど、すこしだけだぞ?」
そう言って俺たち二人はテレビの前に肩を並べて座る。
こうして座るのもなんだか懐かしい。
俺には遠い昔に感じる。
あの頃よりも成長しているせいか、ちょっと狭い。
「負けても文句言うなよ?」
◇
「お兄……」
対戦ゲームを数戦やった後、唯は感想を漏らす。
「こんなに弱かったけ?」
「……久しぶりだからだ」
「うそだ、全然反応出来てないじゃん」
結果は俺の全敗。昔はあんなに得意だったゲームがこんなにも下手になるなんて……これが老いか。
「おかしいんだ、全然反応してくれない」
「お兄。それ、敗者の言い訳だよ」
「いや、本当にそうなんだって!」
「確かに古いゲームだし、今のに比べたら応答速度遅いだろうけど、そんなに変わらなくない?」
いやいやいや、と言い訳している時にセレスがやってくる。
「何をやってらっしゃるのですか?」
「あ、セレスさん! ちょっと前のテレビゲームだよ。対戦するやつ」
「そう言えば私、ゲームってやったことがないですね」
「えー! そうなの!? この日本に生きててそれは損だよ!」
「え、そんなにですか?」
「もちろん! ほら、下手くそなお兄はどいたどいた! セレスさんこれがコントローラーで移動は――」
唯がセレスに遊び方をレクチャーする。
何度か練習して習得できたのか、唯と対戦することに。
「ちゃんと手加減するからね!」
「お手柔らかにお願いしますね」
そうして始まった対戦。
「あれ?中々動きませんね?」
「セレスさん、長押しで動くよ」
「あ、なるほど」
◇
「……負けちゃいました」
「すごい、初めてだ……負けようとして負けれないの」
「あれなんですね、コントローラーというのは入力するのにコツがいるのですね」
セレスはコントローラーをしきりに動かすも、中々上手く操作できない。
不思議がっていると、ケインが渚沙と共に家のリビングに顔を見せる。
「おや、ゲームですか」
「ケイン」
「私達がゲームする時は気を付けなければいけませんよ? 私達の感覚ではゲームに入力されませんから」
「どういうことだ?」
ケインが言うには、俺たちの感覚でコントローラーを操作しても、中の電子入力がそれに追いつかないとのこと。
「じゃあゆっくりめにやればいいのか?」
「そうですね。ざっと丗分の一程度にしていただければ良いかと」
「なるほど、分かりました。唯さん、もう一戦いいですか?」
「え? もちろん!」
◇
「うそ……」
「……勝てました!」
「よかったなセレス」
呆気なくセレスは勝利を掴んだ。
「うそでしょ……? 最初は手を抜いてたとはいえ、途中から本気だったよ? 特殊コマンドもつかったのに、基本コンボだけで負けた……?」
「ありがとうございます、楽しかったですよ」
「う、うん!またやろうね!」
次やるときはパーティーゲームにしよう。
そう心に決めた唯であった。