作品タイトル不明
第175話 髪
「ねえセレスティーナさん、いつも思ってたんだけど、髪の毛って何か特別な手入れしてる?」
平日、学校の教室にて。
いつものメンバーで他愛もない話をしていたとき、ふと葛西さんが、そんなことを言い出した。
「特別な手入れですか?」
「だってセレスティーナさんの髪、すっごく綺麗なんだもの。何か特別な手入れしてるのかなぁって」
「ありがとうございます。特別な手入れですか、シャンプーとトリートメント、ヘアオイルぐらいですよ?」
「嘘……私たちと同じ手入れでどうしてこんなに差があるの!」
葛西さんたちは自分たちの髪の毛とセレスの髪をしきりに見比べる。
「セレスさんちょっと触ってみて良い?」
「えっと……」
セレスは一瞬こちらをみてから、答えた。
「良いですよ」
「やったっ!――すごい、指通りまで違う」
「え、私も触ってみていい?」
「ええ、もちろん」
「どれどれ……って、ほんとだ……全然違う」
二人は自分の髪とセレスの髪を交互に触れて比べる。
「二人の髪も十分綺麗だと思うけどな」
「全然違うよ?だって、セレスさん、こんなに長いのに枝毛だってないし」
「和也くんも触って良いから、比べてみて」
「……じゃあ、失礼して」
触ってみると案外違いを感じる。
優劣をつけるわけではないが、個性を感じることはできる。
「みんな綺麗だと思うけど、確かに違うね。みんな違って感じる」
「あ!思いついた。和也くん、今みんなの髪を触れたよね?目隠しして、誰がどの髪か当ててもらおう!」
「え、わかるかなぁ」
「じゃあセレスティーナさんの髪かどうかを当てるだけで良いからさ」
「それなら……まあいいか」
そうして俺はタオルで目隠しをする。
魔力波で形などがわかる、イルカの超音波みたいなこともできるが、もちろん今回はそんなことはしない。
「じゃあ、これを当ててみて」
言われた通り、優しく髪に触れ、感触を確かめる。
特段引っかかりを覚えることはなく、スッと指は通る。だが、若干カールを感じる。
「これは二子山さんの髪かな?」
「せいかーい」
「よくわかったね、じゃあ次だよ?もしかしたらおんなじ髪かも」
そんな風に笑いながら、次の髪を俺の手に乗せる。
するりと指が通り一切の引っかかりなく指は抜ける。
何度も感じたこの感触、間違うことはない。
「これはセレスだな」
「……正解です」
「よかった」
「なんかつまんないの」
「まあ、夫婦だもんね。流石にわかるか」
そんなことを言いながら過ぎる時間。
今日もまた、平和である。