作品タイトル不明
第172話 学年末考査の足音
騒動がありつつ、いつもの日常に戻った俺たち。
春休みの足音が聞こえてくる今日この頃、教室で俺たちは昼食を取っていた。
「いやあ、色々あったけど、なんとかなってよかったよ」
「そうだな」
今日食事を共にしているのは葛西さんと遼。まあ、いつもの面々だ。
机をくっつけ、各々弁当を広げている。
「渚沙くんも元気になった事だし、今度また遊びに行ってもいい?」
「ええ、渚沙の体調も安定していますし、全然良いですよ」
「やった!」
「すっかりはまったな、葛西さん」
「何言ってんの中島くん! 赤ちゃんだよ! 可愛いじゃん!」
「まあそれには同意するが」
力説する葛西さんに頷く遼。
「来てくれるのは嬉しいが、その前に学年末考査があるからそれが先だな」
「あ〜! 忘れてたかったのに!」
春休みと同時に近づいてくる学年末考査。うちの学校は二月下旬に執り行われる。
「ちゃんと準備してるのか?」
「俺はまあボチボチ」
「私は……セレスティーナさん助けてえ!」
「またお勉強会しましょうね」
「ありがとうセレスティーナさん!女神!」
ヒシッとセレスの肩を掴んで感謝する葛西さん。
俺もうかうかしていられない。しっかり準備しないと。
「カズヤさんもお勉強会、しましょうね」
「……助かる」
そんな話をしながら昼休みは過ぎていく。
◇
帰宅後、屋敷のリビングにて。
今日は気分を変えてリビングで勉強している。
理由はもちろん学期末考査だ。セレスに勉強を見てもらいながら進めていく。ちなみにセレスは渚沙と遊びながら俺の勉強を見てくれている。
「そこの英文は過去形が用いられているので――、英文は流れで理解してその後単語にクローズアップすると楽ですよ」
「う〜ん、それが難しい」
「大丈夫です。ゆっくりやっていきましょうね」
そんな会話をしているとアリシアが勉強道具を持ってこちらにやってくる。
「お勉強中に失礼します。お母様、私も教えてほしいところがありまして……」
「もちろんいいですよ。こちらにいらっしゃい」
「ありがとうございます!」
家族3人が勉強道具を広げ、勉強をする。
そこで、ふと気になったことがある。
「セレス、セレスの勉強時間ってちゃんと取れているか?」
「私ですか?」
「そうでした、私たちが教えてもらっていて、お母様の勉強時間を奪ってたりしませんか?」
「全然大丈夫ですよ。勉強は学校でしていますから」
「え、それで足りるのか?」
「王族として一通りの教育を受けていますので、あとはそれの当てはめですから」
「かといって、数学以外応用なんか聞かないと思うが……」
国語は日本語、英語は言わずもがな。社会に関しては仕組みから違う。
いくらセレスが王族として教育を受けていても参考にならないことが多いと思うが……
「似通っている部分は割とありますよ?それに学校でしっかりと勉強していますから大丈夫です」
そう言って笑う彼女はかつて賢姫と呼ばれていたことを思い出す。
魔術だけではなく、王族としての手腕、あらゆる分野に精通した知見。王族だから尾鰭はつくだろうと誰もが言った。けれど、こうしてその片鱗を見るとそれらは真であると気付かされる。
「さて、お勉強の続きといきましょうか」