作品タイトル不明
閑話 推薦
「セレスを生徒会長として推薦したい?」
「うん、そうなの!」
あの騒動から数日経ったある日、学校では生徒会総選挙に向けた準備が着々と進められていた。
書記や会計といったところはすでに立候補が出ているが、会長副会長はまだ出ていない。
あのような騒ぎがあった後でなりたい奴が少ないのも頷ける。
「セレスティーナさん、成績も凄く優秀だし、性格も……生徒会長凄く向いているって思ったんだ」
「大変光栄な事ですが、家のこともありますし、私はちょっと遠慮させていただいても良いですか?」
「あーそっか、無理強いはできないもんね」
そう言って彼女たちは引き下がっていく。
「大変だね〜セレスティーナさん」
「葛西さん……」
「確かに向いているとは思うけど、あの子のことを考えたらできないよね」
「まあ、そうですね。ああして推薦してくれる事はとても嬉しい事なのですが……やはり、家族が優先ですから」
そう言って微笑むセレス。
話題はすぐに移ろいでいき、いつもの他愛のない話に花を咲かせる。
時間は過ぎ、課業後帰宅の道すがら、俺たちは話していた。
「よかったのか?」
「何がです?」
「生徒会会長の話さ」
「珍しいですね、そのようなことを聞いてくるなんて」
「まあ、推薦されていたようだし、せっかくの機会だからと思ってな」
「ああ言った経験は王族時代に何度も経験しましたし、推薦自体は嬉しい話ですが、私は家族との時間が、カズヤさんとアリシアと渚沙との時間が何よりも尊く、輝いている時間なのです。皆まで言わせないでくださいな」
「……そっか」
俺たちは自然と手を繋ぎ岐路を辿る。
夕焼け空を作り出す太陽の光は暖かいが季節はまだ冬。凍てつく風が頬を撫でる。
セレスの体温が手を伝わり、俺の心までもを温めてくれる。
うん、今日も平和だ。