作品タイトル不明
閑話 落ち着いてのお茶会
「なるほど、そのようなことがあったのですね」
夕方、屋敷にて。
ケインと共に午後のティータイムとしゃれこんでいた。
因みに、渚沙はというと、下半身を馬の状態にもどしたケインの背で遊んでいた。半分本物のお馬さんごっこである
。更に因みに魔術でしっかりと保護されている。
「今日は中々の騒ぎだったよ」
「それだけのやり取りを一日で行ったのですから、そうでしょうね」
俺はカップをテーブルに置いて背もたれに体を預ける。
「しかし、その校長というのは優秀なようですね。即応性と傾聴力そして行動力がある」
「そうだな。向こうなら文官としてそれなりの地位を築いていたかもしれないな」
話が長いだけの人かと思っていたが、今日の行動を見て評価が変わった。教師らしさと文官としての有能さを併せ持っている。
「しっかし、疲れたな」
「国家の重要会議や調印式、パーティーをはしごしたあなたがですか?」
「それらとは別種の疲れだよ、これは。セレスも今日はお疲れ様。書類とても助かったよ」
「いえ、私もこの生活を守りたかった一身だったので。……でもありがとうございます。カズヤさんもかっこよかったですよ?」
「世辞でもうれしいよ」
「まあ、本心ですよ?」
小さな口でラスクを頬張るセレスは不満げな表情を見せる。
「して、今後は生徒会総選挙が行われるのでしたな」
「ああ、この時期にやるのは異例だけどな。けど、良い落としどころだったように見える」
「危険な思想を排除し新しい風を吹き込む。少々強引な手にも思えますが、感化されやすい年頃の子を相手にするのならこのぐらいがちょうどいいでしょう」
「ま、生徒会と言っても向こうよりもやることや権限は少ないんだけどな」
イースガルドの世界の学院は、市井の者を除くと貴族籍を持つ子供たちが多く通っていた。
貴族政と世襲制が主だったかの世界では、政を勉強する場が必要になってくる。
各家でも教育されているだろうが、学校でもそれは必要だ。その機会として生徒会が設けられている。
学校という領地を経営し、生徒という領民を相手にする。
もちろん各家立場もあるのでここまで思い切ったものではないが、日本の生徒会に比べ、権限や活動の自由度は高い。
「それでも経理や事務仕事といったところは今後に生きてくる経験になると思いますよ」
「それはそうだな」
「いっその事、隊長が立候補してみては? 見事な統治をなさると思いますが」
「いやいや、ないな。渚沙もいるのにそんな面倒事はごめんだね」
そう言って俺はまた紅茶を口にする。
ああ、今日も平和だ。