作品タイトル不明
第170話 校長との問答
早速俺たちは動いた。
まずは事の顛末を担任の相川先生に伝える。
「わかった。今事の次第を校長に伝えたところだ。すぐに来てくれるそうだ」
「それは助かります。俺たちが動くことは少なそうですね」
「だが、実際に話した君たちの意見は重要だ。どこかで話を聞かせてもらうかも知れない」
「全然大丈夫ですよ」
そう言って俺たちは席に戻る。
話かけてくれる同級生にそこそこに話をしながら書類を認める。
書類というのは先ほどの会話の議事録のようなものだ。
どういった会話をして俺たちはどういった思考でそう発言したのかを伝えるためだ。
こういった書類作成はどうにも苦手で、セレスにお願いする形になってしまう。
いや、俺もできるんだ。
だが、完璧以上の書類をパソコンがないあの世界で仕上げてくるのだから、適材適所というやつだ。
セレスがペンを持ち、サラサラと文字を書いていく。セレスらしい温もりのある綺麗な字だ。
特務親衛隊時代、セレスは俺の補佐官的な立ち位置で仕事を共にした。
武官としてはケインが、文官としてはセレスといった形だ。
なので公式文書を認める機会が多く、その腕は各国王族閣僚各位を唸らせるほどだ。
「カズヤさん、これでどうでしょう?」
セレスが書き上げた議事録兼報告書のようなものを確認する。
「……うん、さすがだねセレス。これで良いと思う」
「ありがとうございます」
そうして一息ついたところ、先生から校長先生が戻ったことを伝えられる。
早速、先生と共に校長室へ。
「失礼します」
「羽鳥夫妻だね。噂は予々聞いているよ。もちろん、いい意味でね。いやあ、悪いね。こんな話題で呼び出して」
「いえ、大丈夫です」
「体育館での一件はある程度話を聞いているよ。けど、現場で実際に聞いた君たちの意見を聞きたい」
俺たちは何があったかそしてどうなったかを事細かに説明する。
「こちらがそれらを纏めたものになります」
「すごいね君、こんなものまで用意するとは」
「用意してくれたのは妻です。礼ならどうぞ妻に」
「拙いものですが、参考になれば幸いです」
「いやいや、手書きでここまでのものを作るのは大したものだよ。絶対今後生きると思う」
「ありがとうございます」
「さて、これは大いに参考にさせてもらうとして、今回の件についてだ」
そうして本題に入る校長先生。
「結論から言うと、恋愛禁止、またバイト禁止などに関しての禁止令は一歳出していない。学生たちには様々な環境で成長してもらいたいからね」
「それは……よかったです」
「そして今回の一件は、副校長と副会長の独断行動だと思ってくれていい。副校長は古臭い節があるからね。この一件、あとは任せてもらっても良いかい? こんな事態にしてしまい不甲斐なく見えるかもしれないが、これまで通りの学校生活を約束しよう」
「万事お任せいたします。俺たちは普段通りの生活が送れればそれだけで十分です」
「君は大人びていると言われないかい? 驕らず、謙虚だ。それもまた素晴らしい事だが、もっと学生らしくしても良いのだよ?」
「……努力してみます」
「別に悪いと言うわけではないさ。日常とは不安定で尊いものだからね」
情報共有は終わり、軽い雑談をした後、俺たちは退室する。
後は大人たちに任せよう。