軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第169話 生徒会副会長の主張

「おいおいなんだよ今のは」

取り残された生徒たちは口々にそんなことを言った。

突然このようなことを言われては仕方ない。何人かの生徒が担任の先生に話を聞いているが、先生も知らないと答える。

一体全体どういうことなんだ。

皆が混乱しているところ、先ほどの副会長がうちの担任の先生に何かを耳打ちする。

「……え?」

「お願いしますね?」

先生も困惑顔のままだが、先生は俺たちに声を掛ける。

「羽鳥夫妻、新生徒会がお前たちの用があるようだ」

「……? なんでまた」

「いまいちよくわからんが……今の生徒会では何を言ってくるかわからん。気をつけろ」

先生は何か言われてもそれになんの拘束力もない事、そしてそれを拒否しても構わないことを伝えてくれる。

「まあ、行くだけ行ってみますよ」

「連中は生徒会室で待っているそうだ。再びとなるが、気をつけろ」

「ありがとうございます」

そうして俺たちは生徒会室へ向かう。

全校生徒の半数以上が立ち寄ったことのない部屋であろうそこはなんだか異様な雰囲気を醸し出していた。

ノックをして返事を待つ。

「どうぞ」

「失礼します」

教室の中に入ると件の生徒会副会長が中央に座し、その両脇に他生徒会役員であろう生徒が座っている。

「遅かったですね」

「色々ありまして」

「まあ、いいでしょう。要件は単純ですから」

「はあ」

妙に強気な生徒会副会長は言葉を続ける。

「羽鳥和也さん、セレスティーナ・ヴィ・ハトリ・ユグドラシアさん、お二人は結婚されているそうですね」

「ええ、そうですが」

「率直に申し上げる。別れていただきたいのです」

この人は今何を言ったのか、一瞬理解に苦しんだ。

しかし反芻して確認しても生徒会副会長は別れろと言ったことに変わりはない。

「何を言っているのか理解に苦しむのですが、なぜそのような言い出したかお教え願いたい」

「学生とは勉学に努める者。恋愛に現を抜かす、あまつさえ結婚だなんてそのような不埒な真似は許されていいはずがないのです」

本当に何を言っているんだこの人は。

俺が唖然としているとセレスが聞いた。

「私たちの結婚は法的に認められたものであり、尚且つ学校からも理解を得られているものです。どんな権限があってそのようなことを口にしていらっしゃるのですか?」

「学校側としては認めたことはありません。ただ事後報告で結婚したと通達があったのみです。それを理解が得られているだなんてよくもまあ言えたものですね」

だめだ。話すことができない。

この少しの会話でそれを勘づいてしまった。

頭が痛いとはまさにこのことか。

「改めて言わせてもらおう。俺たちの関係は法的に認められたものであり、何人にも揺るがされないものだ」

「私は常識の話をしているのです。学生での結婚などあり得ないでしょう」

「実際ここにあり得ているのだがな」

「ともかく、今後の学校運営のため、お二人には離婚していただきます。いいですね?」

「承知しかねる。なぜ学校運営に離婚が必要なのか、また何の権限を持ってそのような発言をしているのかはっきりして頂きたい」

「なぜこんな簡単なことがわからないのですか……」

こっちのセリフである。

「一生徒として言わせて頂こう。この国は民主主義だ。特定の人物が信任を得て長になる。それはこの生徒会でも同じだ。この場合信任を得ていたのは前生徒会長であり、あなたではない。よって代理して施策を執り行うのなら選挙などの方法を用いて全校生徒の意思を取った上で行っていただきたい」

「副校長から支持をいただいておりますその点は問題ないかと」

「問題大有りだ。聞く話、他教師への通達も行われていなかった様子。推測するに副校長の独断だったのではないか?」

「立場が上のものが判断する話です。あなたには関係がない」

「であれば我々の離婚の話も関係ないだろう? それに、上の立場がどうなどというのであれば校長はどうした?」

「校長は今出張に出掛けている。関係ない」

「関係ないわけがないだろう。自らが担当する学校の運営に関わる問題だ。まさか上に伺いを立てる前に施策を打ったなどではあるまい」

俺の言葉に生徒会副会長は黙る。

まさか、本当に独断で行ったのか?

「この件は校長に確認させていただく。もっとも、仮に校長がこの施策に同意していようが、我々の関係には手を出させない」

そういうと生徒会副会長は黙ったまま。

「……俺から言いたいことは以上だ。失礼する」

そう言って俺たちは生徒会室を後にする。

俺たちが部屋を出た後に何かしらの声が聞こえた気がするがきっと気のせいだろう。

「……何だかすごいことになりましたねぇ」

「本当にな」

ふっと肩の力を抜き息を吐く。

「でも、カッコよかったですよ」

「子供相手にムキになっている大人気ない大人じゃなかったか?」

「いえ全然、守ろうとしてくださりありがとうございます」

自然と手を繋ぎ指を硬く結ぶ。

「……さて、急ごうか。あまり時間を与えたくない」

「はい、そうですね。お手伝いいたします」

「頼む」