作品タイトル不明
第167話 回復
そのまた翌日。
昨日とは違い渚沙の機嫌が良い。
検温してみると平熱。薬のおかげか熱は引いてくれたようだ。
「良かった」
この一言に尽きる。
しかし、念には念を入れて今日も休みを取り、渚沙と共に過ごす。
「んく、んく」
ミルクを与えてみるとこちらもいつも通りの量を飲んでくれる。
ミルクの後には薬を。また皺を寄せながらもしっかりと薬を飲んでくれる。
「よく飲めましたね」
「あい!」
笑顔満点に声を上げる渚沙。昨日とは比べ物にならない元気さに人体の神秘を感じつつも私もまた笑みを浮かべる。
朝の支度を終え、渚沙と一緒にアリシア、唯、お義父様を見送る。
アリシアは特に名残惜しそうにしていたが、昨日の今日だ、気持ちもわかる。
「さて、今日は何をしましょうか」
「渚沙の体調を考えたら外に行くのは無しだな」
屋敷のリビングで渚沙を囲んで話す。
「そうだ、ケインが新しい絵本を持ってきてたな」
「そうでしたね、確か音がなる絵本でしたっけ」
ケインが持ってきてくれた本というのは、ボタンを押すと音楽が流れるというもの。
音を楽しむ事がメインなので絵本の中身は歌詞になっている。
「渚沙? このボタンを押すとお歌が流れるんですって、楽しみですね」
カズヤさんが胡座をかき、その上に渚沙を載せる。一緒になって絵本を楽しむ体制だ。
「そら、一緒に押してみようか」
ボタンを押すとこの世界の住人なら誰もが知っているような童謡が流れる。
「おお! びっくりしたね」
音楽が流れると渚沙はびっくりしたような表情を見せる。その後も目を細めるなど渚沙形に楽しんでくれているようだ。
「これなら俺も知ってるぞ、――〜」
音楽に合わせてカズヤさんが歌う。私も合わせて歌ってみると、渚沙はキョトンとした様子を見せ、でも両手を振ると言った動作でリズムを取っている。
「ふふっ、楽しいですね、渚沙」
「元気になったもんな」
元気になった我が子と共に過ごすちょっと特別な休みの日。
今日もまた平和だ。