作品タイトル不明
第166話 渚沙の風邪
翌日。渚沙の泣き声で目を覚ます。
病院で聞いた話、風邪を引いた赤子は夜泣きであったりぐずりやすかったりするらしい。
私はすぐに渚沙を抱き抱え、トントンと安心してもらえるようにする。
「大丈夫、大丈夫だからね。お母様が一緒ですよ」
暫くそうしてあやしてみるも、中々泣き止んではくれない。
「あれら、泣いちゃってたか」
「昨日の夜から不規則でしたから、風邪の影響でしょうね」
訓練から戻ってきたカズヤさんとそう話す。
体内で病原菌と戦っているのだからしょうがない。
魔術で治すこともできなくはないが、この子に免疫ができないことを考えると、得策ではない。
どうにか安心して眠れるように頑張って環境づくりをする。
「ふぇ〜ふぇ〜」
「大丈夫、大丈夫」
こうとしか言えない私が憎らしく思えてくる。
内心もやるものを感じていると、ふと、カズヤさんが魔力を掌に集め始める。
「何もやらないよ。ただ魔力を込めた手で撫でるだけ。渚沙は魔力から生まれたし、魔力に敏感のようだからこうすると安心できるかもって」
そう言って撫でるカズヤさんの真似をして私も魔力を掌に集めて撫でる。
すると、どうだろう。渚沙はだんだんと泣き止み、穏やかな顔をして寝息をたて始めた。
「凄いです、よく気がつきましたね」
「単なる思いつきさ。さて、今日は休むって連絡を入れないと」
寝室を出て家のリビングへ。
学校への連絡を済ませ、渚沙の元に戻る。
幸い寝起きは良かったようで、熱っぽい顔はしているが笑顔を浮かべてくれる。
「今日はお父様とお母様両方いますからね」
そう言って語りかけると渚沙は笑顔を見せてくれているような気がする。
「さて、今日は何をしようか」
「渚沙は病気なんですから、あまり激しい遊びはダメですよ?」
「わかってるさ」
ぷにぷにとほっぺたを遊ばせるカズヤさん。嬉しいのか口角を上げる渚沙。
「さてお薬飲みましょうね、渚沙」
早く治してみんなで遊びに行きましょう。ね、渚沙。