作品タイトル不明
第164話 解決
学校が終わり、帰宅している最中、俺はふと妙な気配を感じた。
「セレス」
「はい」
俺たちは目配せをした後、人気のない道へと進む。
その気配は俺たちの誘いに乗り、着いてくる。
まるで俺を敵視するような視線、やはり狙いはセレスか。
俺たちは魔術で姿を隠し、また別の魔術で俺たちの姿を作り出し、前を歩かせる。
この魔術は一方向からでなければ意味がないが、今回は背後にいることが確定しているので問題ない。
俺たちは息を潜め、後を付けてくる人物を待つ。
暫くしてコソコソと歩く人物が現れた。
その男の肩に俺は手を掛け言った。
「そこまでだ」
「え? え?」
男は困惑の表情を浮かべる。まあそれは当然だろう。目の前を歩いていた人物が背後に立っているのだから。
「どんな要件があって俺たちの後を付けていたんだ?……いや、それは関係ないな。警察に突き出そう」
「え、警察!? それは困る!」
「だったらなんでこんなことをしたんだ」
「貴方は、以前私に告白をしてきた方……ですよね?」
よくよく見れば男は俺たちと同じ制服を着ている。
「……っ! 覚えてくれていたんですか!」
「えっと、正確に言えば今の今まで忘れていたのですが……なぜこのようなことを?」
「……好きなんです」
男はポツポツと言葉ではなく単語で告げる。
要はセレスは本当は男のことが好きなはず。きっと脅されているに違いない。その証拠を押さえなければ。と、いうわけらしい。
「それで病院に行ったところを写真に撮ったわけですか」
「なぜそれを学校に送るなんて真似をしたんだ」
「……正しい大人に裁いてもらうためだ」
バツが悪そうに顔を背ける男。
「お前も薄々わかっているんじゃないか? セレスは……」
「そこから先は私が」
「わかった」
「誤解を招かないために簡潔に申し上げます。私は貴方を好きではありません。これ以上の迷惑行為はやめてください」
「…………」
セレスがそういうと俯く男。何も喋らず、動くこともしない。
後に、男は警察に連行される。
未成年なので大した処罰は受けないだろうが、接近禁止令ぐらいは出るだろう。
◇
俺たちは一旦学校に戻っていた。
もちろん用事はストーカーの件だ。
「そうか、あいつが……」
「彼はもう警察の方に引き渡させてもらいました」
「ああ、それでいい。上は何か言ってくるかもしれないが、それが正しい判断だ」
「学校としては彼を停学処分にするぐらいが限度だろう。もちろん警察の判断を踏まえた上だが……なんにせよ解決してよかった」
「はい、先生も協力してくださりありがとうございました」
「いや、私は当然のことをしたまでだ。もっとも、あまり力にはなれなかったがな」
「いえいえ、味方がいると分かるだけで心持が楽でした。ありがとうございました」
そう言って俺たちは学校を出る。
これで平和になる。
そう安堵した今日この頃であった。