軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第154話 セレスの誕生日

朝、目が覚める。

日課の訓練が終わって部屋に戻ると、セレスが目を覚ました。

「おはよう」

「おはようございます、カズヤさん」

「それと、誕生日おめでとう」

「ふふっ、ありがとうございます」

そうして俺たちは自然と唇を重ねる。

「もちろんケーキがあるから、今日の夕ご飯はほどほどにしておいてね」

「まあ、嬉しいです」

そんな会話をそこそこに俺たちは朝食を食べにリビングへ向かう。

「お母様!お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう、アリシア」

家族3人での朝食。10年変わらない光景に俺はどこか温かい気持ちを抱く。

このままのんびりしていたいが、今日は平日。学校がある。

朝食を済ませた後、俺たちは学校に向かう。

ストーカーの一件があってから何か起こるかとヒヤヒヤしたが、今のところそれは杞憂のようで、いつもの日常が送れている。

さあ、今日も頑張ろう。

時は過ぎ、課業後。

俺たち3人は帰路に着く。

冬特有の冷たい風が頬を過ぎる中、家にたどり着く。

「おかえり〜」

「「「ただいま」」」

家に帰った後、普段なら家事をするセレスだが、今日は主役なのでお休み。渚沙と遊んで待っていてもらう。

「あう〜」

「ぷにぷにですね〜」

「あぶ〜」

「賑やかになったな」

「はい、本当に」

噛み締めるように呟く俺たちに母さんが明るく声をかけてくる。

「ご飯できましたよ〜」

ダイニングテーブルに並ぶ料理は6人分、山盛りだ。文字通り唐揚げが山になって置かれている。

「まあ、ご馳走ですね」

「当たり前じゃない〜セレスさんの誕生日なんですもの!」

「ちゃんとプレゼントもあるよ!」

「ありがとうございます」

「さ、食べようか」

皆のいただきますの声がリビングに響く。

賑やかな食卓では今日は何があったなどの他愛もない話で盛り上がり、山盛りだった唐揚げはみるみる減っていく。

「お待ちかねのケーキですよ〜」

そう言って母さんが持ってきたのはホールのマスカットが散りばめられているショートケーキ。さすがホールというだけあって豪勢に見える。

「すごいのを見つけてきたよな、アリシアは」

「このケーキはアリシアが?」

「その、駅前に新しくできたケーキ屋さんのものです。なかなか美味しいとの評判で」

「それは楽しみです!」

ケーキを皆で分け合い、共に食べる。味は素晴らしく嫌味のない甘味が口一杯に広がる。

「美味しいですね」

「本当ですか?よかった〜」

アリシアがほっと胸を撫で下ろしたところでもう一つのメインディッシュ。

「はい、セレスさん!誕生日おめでとう!」

唯がセレスに誕生日プレゼントを贈る。

「ありがとうございます!開けてみても良いですか?」

「もちろん!」

「では失礼して……」

両手に収まるサイズの可愛らしい紙袋の包装を解くと、中からオーガンシーのシュシュが出てきた。

「まあ、可愛らしいですね」

「セレスさん、髪留めは色々持ってるけど、シュシュをつけてるところ見たことなかったから、きっと似合うと思って」

「ありがとうございます」

早速つけてみるセレス。ハーフアップになった彼女の髪にグレージュのシュシュがよく映える。

「私からはこれよ〜」

母さんから小さな箱が送られる。中を開けると、クラシカルで可愛らしいハンドクリームが出てきた。

「保湿力が高くて香りも素敵なハンドクリームよ、水仕事をするセレスさんに合うかなと思って」

「ありがとうございます!大切に使わせてもらいますね!」

セレスは受け取ったプレゼントたちをそっと胸に抱く。

幸せそうな彼女を見て俺もまた頬が緩む。

「俺からはこれだな」

「お義父様まで、ありがとうございます」

父さんから送られたのは図書カード。以前最近の女子高生が何を好むかわからないと相談してきたが、これに落ち着いたらしい。

「好きな本を買うといい」

「ありがとうございます。お義父様」

続いて少々緊張した面持ちなアリシア。

「次は私、ですね。はい、お母様」

「これは……紅茶ですか?」

「はい、幾つか試飲させていただいた中で特に美味しかったものを選んでみました。気に入っていただけると良いのですが……」

ふわりとセレスがアリシアを抱いて言った。

「……嬉しいです。今度一緒に飲みましょうね?」

「……はい!」

破顔する二人に胸が温かくなる俺たち。

続いては俺の番だ。

「最後は俺だな」

「まだ戴けるのですか?」

「俺だけじゃないぞ?ケインからもプレゼントが届いている」

「まあ」

ケインからは本が数冊届いている。

どれもケインが読んで面白かった作品らしく、読書家な彼女はきっと気に入ることだろう。

「俺からはこれだ」

そう言って小さな箱を手渡す。

「まあ、可愛らしい時計ですね」

革製ベルトでケースが小さく、装飾があまり華美ではない普段使いできそうな時計。

以前カタログを見た時にビビッときた品だ。

「……つけてもよろしいですか?」

「もちろん」

彼女の腕に銀色の時計が映えて見える。

うん、やはりこれを選んでよかった。

「……嬉しいです。言葉では表しきれないほどに。みなさん、ありがとうございます」

たくさんのプレゼントを抱えながら彼女は朗らかに笑う。

普段とは違うちょっと特別な日。俺たち家族に笑みが灯った。