作品タイトル不明
第11話 ショッピングモール
よく晴れた次の日、朝食の準備を手伝った後、出かける準備をする。
今回の目的地は最寄り駅から数駅離れた場所にあるショッピングモール。
駅までは母さんが車で駅まで送ってくれたが、そこから先は社会勉強も兼ねて電車での移動だ。
「車もそうでしたが電車もすごいですね、こんな鉄の塊がたくさんの人を乗せて素晴らしいスピードで走っています!」
「しかも庶民が簡単に買える値段設定。異世界、凄いです」
俺たちからしたら当たり前の事でもセレスたちには新鮮に映るようで、車内や車窓を見て回る。
「これから行くショッピングモールというのはどんな場所なのですか?お父様」
「服屋だったり帽子屋だったり宝石店、八百屋とかとにかく色んな店が一ヶ所に集中している場所だよ」
「昨日聞きましたが、すごい発想ですね。これだったら一ヶ所に行くだけで複数の買い物が済んでしまうのですから」
程なくして目的地に到着。休日なのでそれなりに混んでいるが、俺からすれば許容範囲内。
ゆっくり店を見て回れるぐらいの混み具合だ。
「まずは服屋だな。と言っても二人はどんな店かわからないだろうからぶらぶら見てまわって決めようか」
服屋が多くある階層を重点的に歩いて回り、気になった店に入ってみる。まさにウィンドウショッピングだ。
「このお店行ってみても良いですか?」
セレスが指さしたのはどちらかといえば大人寄りのデザインが中心になっている店。しとやかさの中に可愛さがあるようなイメージだ。
「もちろん」
何点か服を見繕って試着してみる。動線の整備などはこちらの方が良いもの、根本はどちらの世界も変わらない。
と言っても、戦後はオーダーメイドで服を用意していたのだが。
「カズヤさん、これなんてどうですか?」
試着して見せてくれたのは、トレンチスカートをよりカジュアルにしたデザインのスカートにトップスはキャバリア・ブラウス。彼女の凛とした佇まいがさらに強調されて美しい。
「すごく似合ってるよ、俺の語彙力がないことが悔やまれるね」
「そのお言葉だけで十分ですよ」
「お母様!いつもより凛々しいお姿、すごくお似合いです!」
「アリシアもありがとう」
どうやら購入を決めたらしいので商品を受け取る。まだしっかりと貨幣を理解できていないかもしれないという理由で今日の支払いは全部俺が行うのだ。
次はアリシアの番だ。
アリシアが選んだ服はセーラーブラウスにツータックパンツといった組み合わせ。アリシアの透き通った優しさが見てとれる。
「パンツを履くのに慣れませんが、どうですか?」
「アリシアもすごく似合っているよ。俺はやっぱり語彙を勉強してくるべきだね」
「服の色がアリシアと良く合ってて似合っていますよ」
「ありがとうございますお母様、お父様!」
アリシアもこの服で決めたらしい。二人分まとめてお会計に持っていくとちょっと驚く金額がそこに現れる。
――服って高いんだなぁ
ちょっと勉強になった半日だった。
◇
その後も店を周り、部屋着をもう何着か買った。
それなりの額の買い物をしたと思うが、向こうでの貯蓄があるので無問題。頑張って戦い抜けて良かったと思える。
「良い時間だし、お昼ご飯にしようか」
「そういえばこの場所には飲食店も入っているんでした、本当にすごい場所ですね」
時間が丁度昼時なのでフードコートもレストラン街も混んでいることだろう。
どうしたもんか……。そういえば回転率の良い店があったはず。
「大衆食堂みたいな場所ならすぐに食べられると思うけど、どうする?」
「私は大丈夫ですよ」
「私も大丈夫です」
そうして俺たちが向かったのは回転率が高いと噂のファミリーレストラン。
10分ほど待てばすぐに席に案内された。
料理を頼んでも15分すれば全ての注文品は届いた。
「すごく効率化されているんですね、異世界すごいです!」
全てに目を輝かせるアリシアを見て疲れないかちょっと心配になる。
けれど、楽しんでいるのなら止めるなんてことはしない。
「それじゃいただきます」
合掌し、食事に手をつける。
二人の所作の美しさに目を目を奪われつつも俺も食事に手をつける。
ファミリーレストランが一流レストランに早変わり。それもそうだろう。セレスは王族でアリシアはその娘だ、一流のテーブルマナーを習得している。
「これってどのくらいの値段なんですか?」
「全員分で銀貨1枚行く行かないくらいかな」
「それでこのおいしさ、異世界、すごいです」
本当に一挙手一投足に反応してくれるから案内していてとても面白い。ファミレスの料理を楽しみつつ、午後の買い物の英気を養うのだった。