軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

21.婚約発表*5年前

会場に入る前、ウィル様と手を握りあって気合を入れる。今までで一番人がたくさんいるもの。緊張しちゃうわ。

今回招待したのは伯爵家以上。

王妃様主催のお茶会は、婚約者候補も側近候補もある程度選定されるまでの期間限定だった。どちらの候補も、残念王子ってバカにしなかった者から選ばれたのよね。

だから……初めて見た人は噂と違っていることに、久々に目にした人はウィル様のビフォーアフターに、私達が会場に入った瞬間目を見開いて驚いていた。

ふふん。ウィル様は頑張ったんだからねっ!

「ディア、ありがとう」

「??」

何に対してのお礼か分からず、首を傾げてしまう。

「ディアのお陰でみんなを見返せたよ」

ウィル様が見返せたと胸を張っているのが嬉しい。だってそれって自信がついてきたってことでしょ?

「ざまあみろです!」

「ふふ。威張ってるディアも可愛い」

「///」

もうっ。可愛いって言われると、赤くなっちゃうからやめてよねっ。

実は王子殿下達の中で一番最初に私達の婚約が決まった。その理由は大人の事情が色々と絡んでいるからなんだけど……招待した令嬢達が私を睨んでくるんですが。なんなら他2人の婚約者候補に残っている令嬢も。

お祝いを言いながらも自分の娘を勧めようとする人だっているし。

あなたもあなたも、ウィル様のことを残念王子って言ってたの忘れてないからねっ!

まだぽちゃっとしてるけど、側妃様に似て可愛いってようやく気付いたの? バカじゃないの。ウィル様は昔から可愛かったです~!

私……性格が悪くなりそうだわ。

「はぁ。。」

「疲れちゃった?」

「私達の婚約発表なのに、邪魔をしようとする人が多くて悲しいのです」

のも本当だけど……イラッとするのに何も言い返せないってフラストレーションがたまるのよ。私、今でももちろん一夫多妻は反対なので。

いーってなる!

「本当だよね。ディアはもう僕のなのに」

「えっ?」

「ち、違うのっ!?」

「違いません! そうではなく……」

私じゃなくってウィル様目当ての人が多いんだよ?

「何人も我が娘も~って……」

「あぁ。あれは第二王子って肩書に対して言ってるだけだよ?」

違うと思います。

絶対、ウィル様の魅力に今更気付いた令嬢が、父親にねだったんだと思う。

「ウィル様を好きになっちゃった人がいるかもしれません」

「そう? 仮にそうだとしてもどうでもいいかな。僕はディアに好きになってもらいたいから///」

「……はい///」

2人して真っ赤になっていたら、少し休憩してきなさいと隣りにいた側妃様が会場から出してくれた。

ま、一通り挨拶は終わらせたしね。

腹の探り合いは大人達に任せ、私達は手を繋いでいつものユリ園に向かう。

初めて来た時よりもさらにユリの花が増えたこの場所を、いつの間にかユリ園と呼ぶようになったの。

ユリの香りが、ささくれた私の心を癒やしてくれる。

「あれ? 誰かいますね」

「本当だ」

ユリ園の先に男の子がしゃがみこんでいる。パーティーを抜け出したのかな?

「疲れちゃったんですかね?」

「……僕が声をかけてもいいと思う?」

「もちろんです。椅子があるところへ案内しましょう」

顔は見えないけれど、後ろ姿でも泣いているのが分かる男の子。私達の婚約発表のパーティーが、彼にとって嫌な思い出になってほしくない。

「だ、大丈夫……?」

「っ! 殿下!? 申し訳ありません。僕、じゃなくて私、迷ってしまったようでして……」

絶対違うよね。会場、ユリ園から近いし。涙の跡残ってるし。

「あのっ、む、無理しないで……?」

「ありがとうございます」

男の子の顔を確認後、頷きあった私とウィル様。実は私達、彼とはどこかでお話したいと思っていたの。こんな絶好のチャンス逃すわけにはいかない。

「第二王子殿下、メープル嬢、改めてご婚約おめでとうございます」

「ありがとう」

「ありがとうございます」

少し3人で話そうと、彼を近くのガセボに案内した。

「名前でいいよ」

「ありがとうございます。ウィルハルト殿下、私のことはぜひキースと」

「分かった」

伯爵令息である彼、キースと話したかった理由。それは……

砂糖よっ!