作品タイトル不明
閑話 思いもよらぬ指導
「貴女のお相手は私がしましょう」
いきなり巨大な魔道具を壊し始めた男を止める為に男に向かい思いっ切り踏み込んだのにそれ以上の速度で私と男の間に入って来るメイドに一撃をいれようとストレートを放つと手を添えるように差し出して左に捻っただけで私のストレートは逸らされた。
「どいて欲しいんだけど」
私がそう言うとメイドが口を開く。
「貴女の相手は私と言いましたよ?丁度手が空いているのでお相手します」
その言葉にさっきより力を込めて踏み込みメイドの懐へと入る・・・な!!
「ぐふっ!」
懐に入ったと思ったら逆に懐に入られてメイドに右胸を突き飛ばすように押されては胃から空気が抜けて変な声が出た。
「中々反応がいいですね」
当たる前に左手を右胸とメイドの掌の間に挟んでダメージを軽減できた。
「強いわね」
メイドから視線を逸らさずにそう言うとメイドが微笑みながら口を開く。
「貴女も中々ですよ?」
これは勝てない・・・と思いながらも引く事は出来ないから何か勝てる方法はないかと考える。
そんな私を見て何を思ったのかメイドが口を開く。
「いい物をお見せしましょう」
「は?」
いきなり放たれたその言葉の意味を理解しようとしたときに・・・メイドが私の目の前に立っていた。
「っ何を?」
いきなり目の前に現れたメイドを見てバックステップをして距離を取ると・・・また目の前に現れる。
それを見て更にバックステップをすると今度は最初の時みたいに動かずにこちらを見ている。
「しっかりと見なさい」
そう言った後に私の前に立ち私をじっと見るメイドに何がしたいのかと困惑する。
「もう一度言います・・・しっかりと『見なさい』」
その言葉に私はメイドの動きを見逃さないように見つめる。
踏み込みは・・・・私と同じ?それなのに何故そこまでの速度が出るの?と思っているとメイドが更に同じ事をやってくれたので観察すると動く寸前メイドの両肩の服が揺らめくのが見えた。
「そういう事!!」
私はそれを見て同じように踏み込み足の裏から【エアインパクト】を打ってすぐに今度は両肩から後ろに向けて【エアインパクト】を打つ。
それによって加速し踏み込むスピードが数倍速くなった。
「それでいいのです」
満足したように頷くメイドを見て私は首を傾げる。
「なぜ指導してくれたの?」
その言葉にメイドが微笑む。
「先程私の相方が言ったように私達は貴女達と争いに来た訳じゃないからですよ、それに私も接近戦が得意なのでつい・・・・ね」
私はその言葉に何を言えばいいのか分からずにただ立っているしかなかった。
「帰りますよミズキ」
メイドは執事からそう声が掛かり一度執事のほうを見てから視線を私に戻し微笑む。
「励みなさい、そうすれば貴女はかなり強くなる」
そう言った後に私の前から姿が消えて執事の横に立っていた。
そして・・・・執事と共に姿を消した。
「リア」
あ然と壊された魔道具を見つめるリアにそう声を掛けるとリアが私に視線を向けて悲しそうな顔で口を開く。
「私の魔道具が壊された!!」
いやいやいや!!
「違うでしょリア?これは貴女の物じゃないわよね?」
悲しむリアを落ち着かせながら私は心に誓う・・・・今度あのメイドに会った時は決して負けない・・・と。