軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2話 婚約者は転生令嬢を逃さない

「エリアナ、こちらに座りなさい。」

父に促されて隣に座る。

男性に視線をやると、ニッコリ微笑まれた。

かなりの美形だから、笑顔が眩しい!

「こちらは、セドリック・ハーマン公爵令息だよ。今日はエリアナに用件があり来られたようだ。」

(用件とは?まさかパーティーの話かな?)

「私の名前を伝えたのは初めてですね。私はセドリックです。エリアナ嬢の事は以前お声がけする前から知ってました。」

「今日はエリアナ嬢に、婚約の釣書を持って参りました。私と是非婚約をしていただけないかと。」

「‥‥‥‥。」 なぜ??

キョトンとする私に、父が話しかける。

「エリアナの好きにして良いからね。セドリック殿には申し訳ないが、我が家は政略的な婚約をすることはない。エリアナの気持ち次第ですので。」

「無理強いは、お断りですよ?」

父のニッコリ顔は美しいさが増すからか、圧が凄いのだ。

「勿論です。権力を使い婚約するならば、私がここに来る必要はないのですから。」

「私はエリアナ嬢に納得してもらい、お互いの合意があった上で婚約を結びたいのです。」

セドリックの言葉に父は満足したのか、

「後は2人で決めなさい。」

と、母を連れて退出して行った。

(この人と婚約?無理じゃない?身分も容姿も優れた人だし、女性とか煩そう。

絶対に揉めたくないし⋯⋯。面倒臭いなぁー。)

色々考え、不機嫌丸出しの私に気が付いたセドリックが声をかける。

「エリアナ嬢は婚約自体を避けられていますか?」

「んー。姉が嫁ぐので私がこの家を継ぐことになります。後継を産む事も私の役目なのも理解してます。」

「ですが、今はまだ自由でいたい。私がやりたい事は沢山あります。婚約者に使う時間が無駄だっ⋯⋯。」

余計な言葉に気が付いて、手で口を塞ぐ。

(無駄っていっちゃった⋯⋯。公爵令息に無駄って言っちゃったよー⋯⋯。)

手を膝に置き、姿勢を正しながら視線をスーッと窓にずらして、考えるふりをしながら。

「コホン。婚約者に使う時間が無いからですね。」

ニッコリ❀

(誤魔化せたかなぁー。)

ブッ⋯⋯。

「アハハ!こめん⋯⋯。それで、誤魔化せたつもり!?無理でしょ!」

セドリックがお腹を抱えて笑い出した。

「が、頑張ったもの!!」

良くわからない反論をする私に、目尻に涙を浮かべたセドリック様が視線を向けた。

「エリアナ嬢は、可愛いね。」

優しい笑顔にドキリとする⋯⋯。

セドリック様は息を整えて、真面目な顔つきになる。

「貴族としての役割りを理解し、自ら領民を守る姿に私は尊敬するよ。

確かに、贅沢をするのも民にお金を回す役割として貴族にはある。だが、頭の悪い贅沢には軽蔑しかない。」

「ギルドのお姉さま方に聞きました。エリアナ嬢は、商会を必要としていますね?

我が家は商会を持ってますし、エリアナ嬢の名前を出さずに商会に関わる事も出来ますよ?」

ニッコリ微笑まれる。

(ニッコリに続く言葉は、婚約をすれば⋯⋯。ですよね?!

でも、いつかは誰かと婚約をする。それなら、少し知ってる人の方が良いのかも⋯⋯。)

ウンウン考える。

よし!!

「私の本音を話してもいいですか?それを聞いても怒らないと、約束してくれますか?」

セドリック様に私の本音を聞いてもらい、それを聞いてどうするか決めてもらう。

「解りました。」

「私はこの家が領地が大好きです。父が民を守る姿勢も、とても尊敬しています。民を守る為ならお金を躊躇なく使う。その考えが私は大好きです。」

「貯えが欲しいなら、自分で稼げば良い。お金は自分で作り出す。それが私の考えです。

今は冒険者がメインですが⋯。いつか自分の考えてある商品を売り、領地を発展させたいのです。だから、婚約者がいたとしても時間がおしいのです。」

セドリック様は真っ直ぐ私の目を見て話しを聞いてくれる。

真面目な方だと、それだけで解る。

「エリアナ嬢の考えは、解りました。

ならば、尚の事私と婚約してはどうですか?」

「エリアナ嬢の考えを否定しません。むしろ、その考え方は好ましい。

我が家の商会を自由に使えますよ?

それに、私にとって喜ばしいのは婚約者としての時間は無駄にはならない事です。」

お出かけやお茶会を私が無駄って思うのに?

不思議そうに見つめると、

「だってエリアナ嬢と会う時間を、ダンジョンや討伐依頼にすれば良いだけでしょ!?

普通の婚約者同士よりも、楽しいでしょうし沢山2人で居れますしね!」

(ん?それだと、婚約者としての時間を全て自分の時間に充てれる⋯⋯。効率的に!)

「でも、何だか全部私に良い事ばかりな気がする⋯⋯。」

「私は、貴女と婚約出来るだけで良いのです。私が持つ物で貴女と婚約出来るなら幾らでも使ってくれて構わないのですから。」

(なぜそこまで私との婚約に拘るのか、不思議でならない⋯⋯。)

「私とはギルドで会う前から知っていたと言ってましたよね?

聞いて良いなら、知りたいのです。」

セドリック様は少し考えてるようだった。

「お話しても構いませんが、話し終えるまで黙って聞いて頂けますか?」

(静かに、黙って聞きなさい!って、事ね!)

「解りました。」

「エリアナ嬢がギルドに初めて来た時に、私もあの場にいたのです。

学友達と、ギルドに討伐隊依頼を受けに来ました。

はっきり言って、私はつまらなかったのです。学友達と言っても、気が合う訳でも無いですし⋯⋯。」

「ギルドを見上げ、握り拳を作り緊張感を漂わせた貴女が私は何となく気になりました。見た目で判断するならば、依頼に来たのだと思いました。」

「依頼ならば、私が受けようと思って付いて行きました。しかし、まさかの冒険者登録でした。」

私は当時を思い出し、小さく頷いた。

「貴女はワクワクした様子で討伐に向かわれましたね。この街のギルドは高ランク向けですので、薬草採取などのクエストはありません。

私は貴女が魔物を討伐出来るとは思いませんでした。」

「泣きながらも討伐をする貴女に、私はとても感動しました。その姿に、私は貴女に恋をしたのです。」

セドリック様は、私の瞳を覗き込むかの様に顔を近付けた。

「貴女のその瞳に、私を捕らえて貰いたかったのです。」

「貴女の事は、申し訳ありませんが色々と調べさせて貰いました。

貴女の事が知りたかったのもありますが、貴女が初討伐の時に言った言葉がいくつか気になったのです。」

「貴女は、転生者ですね。」

「⋯⋯。」(バレた⋯⋯。)

「大丈夫ですよ。学友達の中に2人程、転生者がいますので。」

(え⋯⋯?)

開いた口がふさがらない⋯⋯。

クスクス笑いながら、セドリック様が私の頰を撫でた。

「転生者って、そんなにいるものかしら?」

「あの人達は目立ちたがりですからね。

どの国も転生者を欲しています。自分から話して、褒め称えられる事に喜ぶ人種です。」

「でも、貴女は違った。転生者である事を隠し、ひたすら領地領民の為に行動をする。

転生者の名を使えば、商会だろうと何だろうと手に入れられた筈です。

何故隠すのですか?」

「⋯⋯。」(言っても良いのかな⋯⋯。)

「何を言っても怒りませんよ?」

「転生者だとバレたら、王族とか高位貴族に縛られるかな?って⋯⋯。」

気不味そうに、セドリック様をチラリと伺った。

「こんな風に婚約を迫られると?」

ふと、今の状況を考えてみると答えが出た。

「セドリック様は少し違うかな。私を転生者と知っても無理に婚約を迫らなかったし。きちんと向き合ってくれているわ。」

よし!と、腹を括る。

「私が優先するのは、この領地です。領民や家族が幸せになるのが1番の願いです。その為には、何でもする覚悟があります。」

「セドリック様は公爵令息です。

我が家は子爵です。私は嫁ぐつもりはありませんよ?婿に来て頂けるならば、婚約をお受けし⋯⋯っ」

話しの途中ではあるが、セドリック様が私の手を取り捲し立ててきた!!

「私は嫡男ですが、父には貴女が婚約を受けてくれたならば、弟が後を継ぐと話しをつけてあります。

勿論、弟にも話しを通してあります。」

「ですので、エリアナ嬢。

私と婚約していただけますか?」

真剣な眼差しで、私の瞳を覗き込む。

「はい。お受け致します。宜しくお願いします。」

ペコリと頭を下げると、優しく抱きしめられた。

「本当に嬉しいです。こちらこそ、宜しくお願いします。」

体を離し、お互いペコリとお辞儀をする。

(何となく気が合うかも!?)

エリアナはそんな感想を持った。