作品タイトル不明
1話 転生令嬢は冒険者になる
突然ですが、私は転生者です。
日本で過ごした記憶があるまま、赤子ちゃんに転生していました。
転生した先は、子爵家。
私はカーマイン子爵家の次女、エリアナ。
私の家族を紹介します。
父は、ギルベルト
(白銀の髪色で瞳は薄い翠眼)
母は、エリザ
(水色の髪色の、瞳は桃色)
姉は2歳上で、マリナ
(薄い緑の髪色に瞳は薄い黄色)
そして私は、白銀の髪色に瞳は薄い桃色。
我が子爵家の血筋は色素が薄い。
社交場では〈妖精一族〉
そう呼ばれる程の儚く美しい容姿をしている。
家の歴史は現王家よりも古い。
国中の貴族全ての中で1番古い家柄だったりするけれど、代々の当主は権力に興味がなく領地領民と家族のみを大切にする変わった家であった。
私も転生者なのもあるせいか、権力に興味など全くない。
私が興味ある事は、この不便な生活を改善する事のみ。
何とかしたいが、まだ私は10歳。
転生者とバレるにはまだまだ早い⋯⋯。
転生者なんて事がバレたら、高位貴族か王族に強制的に婚約者にさせられるかもしれない!
なので、大人しく過ごす事にする。
前世からの勉強好きが功を奏し、幼少期から読書家だった。
沢山の知識を詰め込み、私は12歳になるまで領地領民を豊かにする為の案を練りあげる。
魔法がある世界に転生なんて、最高です!
前世、異世界冒険の小説をどれだけ読んだか!
転生してくれた神様に感謝する。
剣と魔法の腕を磨き上げ、やって来ました。12歳!
誕生日の次の日には、冒険者ギルドの門を叩いた。
そう!12歳にならなければ、冒険者登録が許されないのだ。
私はソロの冒険者として登録した。
自分の容姿が良いのは自覚しているので、揉め事は避けたい。
容姿を隠そうとしたが、犯罪を防ぐ為に隠蔽魔法をかける事は禁じられていた。
ならば、ソロで活動し女性からの敵対心をなるべく少なくしたかった。
幼いながらも整った容姿のせいで、男性からの誘いが絶えなかった。
男性からのパーティーの誘いは全て断る。
ソロでの活動と、男性とは組まない事を固く心に誓う!
初の討伐依頼を受け、勢いで森へと向かった。
転生チートもあり、討伐は簡単に行くと思っていたけれど⋯⋯。
本には無かった魔物のリアルな姿に驚いた。
斬れば血が出る。
当たり前だけど、本には書いてなかった!!
甘ちゃんな考えだった事を痛感する。
泣きながら討伐をした⋯⋯。
やらなければ、自分が死ぬから⋯⋯。
魔物を回収して、ギルドに戻った。
受け付けのお姉さんが私の泣き顔に気が付いて、「おかえりなさい。頑張ったね。」
そう声をかけてくれた。
お姉さんの胸の中に飛び込み泣きじゃくった。
それから、受け付けのお姉さん達にはとても可愛がってもらった。
女性冒険者からの嫌がらせも、男性冒険者からのしつこい勧誘も、お姉さん達のお陰で回避出来た。
私は無事にランクを上げていった。
14歳になり、私は最年少でAランクになった。
家族からは好きにして良いと許可があり、私は貴族としての役割より領地を守る冒険者の道に行く決心をする。
領地は魔物の森に少しだけ隣接する為、魔物が出れば私が討伐に向かった。
父は、領民が魔物を討伐するのを良しとしない。
大切な領民を危険に晒すのを嫌うのだ。
必ず、冒険者に依頼して領民達が無事にいる事を優先した。
我が父ながら、尊敬する人だね!
冒険者に依頼すれば、高額な報酬を払わなければならない。
子爵家が余り裕福ではない理由の一つはそれね。
それなら、私がやれば良いのよ!と、考えた。
初討伐は散々だったけど、領民の為にと数をこなせば慣れてきた。
15歳になったある日、ギルドに寄り依頼が無いか掲示板を確認していると、背後に誰かが立った。
何か声をかけられた気がするが、気の所為と放置する。
悪意が無いようなので、振り返りもせずまるっと無視をした。
受け付けのお姉さんの所に移動して、
「高ランクの依頼は今日はないの!?」
お姉さんに聞いてみた。
「んー。エリアナちゃんが狩り尽くすから、今は落ち着いてるわ。高ランクの依頼が来たら、回すわね!」
「わかったわ。宜しくお願いします。」
手を振り、帰ろうとしたら腕を掴まれた。
咄嗟に身体強化をかけ、体を捻りその手から逃れた。
相手を見ると、同じくらいの年頃で顔立ちの整った青年がいた。
(あれ?どこかで見たような気がする⋯⋯。)
「さっき掲示板で声をかけたけど、無視されたのでついね。ごめんね。」
軽く謝るが、気に入らない。
顔が良ければ何をしても良い訳では無い。
「私は貴方を知らないし、知る気もないわよ。じゃあねー。」
ギルドをさっさと出て、邸に帰って来た。
「おかえりなさい。今日は依頼無かったの?」
姉のマリナが声をかけてきた。
大好きなお姉様に抱きつき、さっきのムカつく話しをした。
「女性の腕を掴むなんて宜しくないわね。
エリアナは美しいのだから、強くても気を付けないと駄目よ!」
優しいお姉様こそ心配です!!
「お姉様こそ心配ですが、お義兄様がいるから安心ね!」
お姉様は頰を染め、コクリと頷いた。
お姉様は昨年、幼馴染の伯爵令息と婚約した。
両方が嫡子だった為に、諦めていた婚約だった。
でも、「私が領地を継ぐから、婚約すれば?」
そのエリアナの一言で、婚約が決まった。
お姉様の役に立って喜ぶ私。
家族や領民の幸せが、私の幸せなのよ!!
暫くは依頼が無かった為、ダンジョンに挑戦しようか悩んでいた。
ギルドの受け付けのお姉さんに相談しよう!
早速ギルドに向かった。
「エリーお姉さん。相談があるけど聞いてもらえる?」
「私で解るなら良いわよ。」
カウンター越しに話しを始めた。
「最近は高ランクの依頼が無いでしょ?ランクも上げたいし、稼ぎたいからダンジョンに挑戦しようか悩んでいたの。」
「でも、ソロは登録してもらえないし。こんな容姿だからパーティー入って揉めるのも面倒臭いの⋯⋯。」
お姉さまは私が領地の為に稼ぎたいのも、揉め事を嫌う事も知っている。
「そうね⋯⋯。高ランクパーティーを紹介出来なくもないけど、エリアナちゃんには危険かなー。メンバーがね⋯⋯。」
2人で、悩んでいたら。
「私とパーティー組みませんか?」
振り向くと、この前の男性がいた。
「貴方はパーティー組んでるの?」
とりあえず聞いてみる。
「私はソロです。ダンジョンに行きたいとは思いますが、なかなかね⋯⋯。」
(同じ悩みかな!?綺麗な顔立ちだし⋯⋯。)
「貴方は貴族よね!?しかも所作から、高位貴族。私は下位貴族なの。
関係の無い男女がパーティーを組む。しかも身分差がある。無理。」
顔をお姉さんに戻して、お礼を伝える。
「高ランク依頼をもう少し待ってみるね。森に討伐に行ったりして頑張ってみる。」
伝えるだけ伝えて、またも男性を無視してギルドを出る。
残された男性に、
「エリアナちゃんが気に入りましたか?セドリック様。彼女は手強いですよ。家族と領民以外に興味がないので。」
「領民を大切にする貴族か⋯⋯。その為に自ら動く。かなりタイプです。身分差なんて、どうにでもなりますしね!」
ニッコリ微笑まれたお姉さんの背中に悪寒が走ったのは言う迄も無い。
(エリアナちゃん。ヤバい相手に好かれちゃったわね⋯⋯。)
エリアナの無事を祈るお姉さんだった。
ダンジョンを諦めた私は、毎日森の奥に討伐に出かけた。
自分自身のせいで、魔物がいない⋯⋯。
狩りすぎた⋯⋯。
この一年、依頼を沢山こなしたのでとりあえずの貯えは出来てはいる。
でも、姉に持参金を沢山持たせたい私はまだまだ稼ぎたかった。
前世の知識を使い、売りたい物は沢山ある。
せっかく転生したなら、お約束の前世知識で稼ぎたいのだ!
でも、我が家は商会を持っていないし商会を立ち上げて、下手に前世持ちとバレたら困る。
悩みながら森から帰って来た。
何だか邸が騒がしい!?
バタバタする使用人達を横目に、自室に戻ろうとしたら
「エリアナちゃん。良いところに。」
母が少し慌てて声を掛けてきた。
「とりあえず、着替えてきてちょうだい。」
メイドに引き摺られながら、ドレスに着替えさせられ客間に連れて来られた。
そこには両親がいたが、向かいに座る男性を見て驚いた。
そこにいたのは、ギルドで会った青年だった。