軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

138 今後の方針

嬉しそうなルーベウムを見て、ゼノビアがほほ笑んだ。

そして、俺を見て言う。

「教団にとって、かなりの打撃になったのは間違いないでしょう」

「まだ、情報収集と精査が済んでいませんから、油断するわけにはいきません」

ディオンがくぎを刺す。

「うん。わかっているよ」

「なら、良かったです」

ディオンも穏やかな表情をしている。

引き締めるために、あえてディオンはそう言ったのだ。

ディオン自身も大きな打撃を与えたことは、ほぼ間違いないと確信しているのだろう。

嬉しそうな弟子たちに俺は尋ねる。

「打撃を受けたと仮定して、教団がどういう動きに出るか。予測はできるか?」

「当分、しばらくはまともに動けないだろうさ。引きこもって守りを固めるんじゃないか?」

どうやら、レジーナは楽観的なようだ。

「引きこもることは考えにくい。勢力を回復させようと裏で動き始めるだろう」

ゼノビアはレジーナよりは、少し悲観的だ。

「ディオンとミルトはどう思う?」

「そうですね。油断はできないとは思います」

「俺は……。激しい攻勢に出る可能性すらあると思っていますよ」

弟子たちの中では、ミルトが一番悲観的なようだ。

「ミルト、どうしてそう思うんだ?」

「詳しい情報がないので、確信があるようなものではないのですが……」

「勘のようなものか?」

「そう考えていただいてかまいません」

「そうはいっても、全くの勘だけというわけではないのでしょう?」

ディオンが優しい口調で、ミルトに考えを話すように促した。

「枢機卿は最高幹部、最高指導者。跡を襲うため魔人どもが動き出すと考えるべきだ」

「枢機卿になるための功績をかせごうとするということかい?」

レジーナの言葉を聞いて、ゼノビアは首をかしげる。

「過去にも大幹部を仕留めたことはあったが、そのようなことは無かったと思うが」

「大幹部と言っても大司教だろう?」

「それは、そうだが……」

救世機関と教団との百年近い戦いで、枢機卿を仕留めたのは初めてのことのようだ。

「枢機卿と大司教は大きく違うと、俺は考えている」

「どういうことだい? そりゃ枢機卿の方が偉いけどさ」

「枢機卿より上の役職はないからな」

「ふむ?」

レジーナがまだわかっていなさそうだと判断したミルトが丁寧に説明しはじめた。

大司教が死んでも枢機卿がいれば、後任を決めるのはその大司教の上司の枢機卿だ。

だが、枢機卿が死んだ場合は指名する上位の者がいない。

「推測に過ぎないが……。恐らくは枢機卿同士が話し合って決めるのだと考えている」

「だろうねー、おれもそう思う」

「その場合は、どの大司教を枢機卿に上げるかは、政局になりうる」

自分の推薦した大司教が枢機卿になれば、その推薦者は教団内部での影響力を増すだろう。

それは三人の枢機卿全員が理解しているので、自分の息のかかった大司教を推すことになる。

「ほかの枢機卿を黙らせるためには、大司教に功績を上げさせるのが一番だろう?」

「……たしかに」

レジーナも納得したようだ。

枢機卿候補の大司教が救世機関の幹部を仕留めたら大きな功績となる。

賢人会議の者を一人でも殺すことができれば決定的だろう。

「だから、我らは特に気をつけねばならないと俺は思っている」

「勢力争いか。ふむ。確かにありうるだろうな。さすがはミルトだ」

俺が褒めると、ミルトは少しだけ照れたようだ。

自分の後頭部をワシワシと左手でかいている。

「ま、杞憂かもしれませんがね」

「警戒するにこしたことは無い。幹部たちにも警戒するように伝えねばな……」

「では、幹部たちへの連絡はゼノビアに任せます」

「それはいいけど、ディオンはどうするんだ?」

「私は教団内部の情報を探ってみましょう」

「じゃあ、おれは魔人が見つかり次第討伐かなぁ?」

戦闘力が高く、それ以外が苦手なレジーナにはそれが最適だろう。

「師匠は俺と一緒に調査をお願いします」

「わかった」

「いいなー。ミルトは師匠と一緒で」

レジーナがうらやましがっている。

「魔導師の特権だよ」

そしてミルトはどや顔していた。

その後、弟子たちは皆動き出す。

俺もミルトと一緒に、調査に入った。