軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

137 ルーベウムの戦功

俺たちとルーベウムの話を大人しく聞いていたミルトが言う。

「ルーベウム。その気配察知能力と気配を隠す能力ってのはどういう技術なんだい?」

ルーベウムは真剣に考えた後、首をかしげた。

「きゅるー、わかんない」

「……そうなのか」

ミルトはとても残念そうだ。

「ルーベウムの気配察知と隠す能力は、生まれつきの能力だろう? 説明は難しいだろうさ」

「確かに師匠のいうとおりかもしれませんね」

「ルーベウムさん。少し私たちに研究させてもらえませんか?」

「ディオンがいうなら、いいけど。きゅる。でも、痛くない?」

「もちろんです」

レジーナが俺とルーベウムを撫でまわしながら、うんうんと頷く。

「気配を隠す能力はともかく、気配察知技術はどでかい課題だよなー」

「そうなの? きゅる」

「はい。諜報部門は教団の動きをなかなか察知できませんでしたからね」

テイネブリス教団の気配を隠す能力に、救世機関の気配を察知する能力が負けたということ。

諜報部門の統括であるディオンは危機感を覚えて当然だ。

「これまではこんなことは無かったのか?」

俺が尋ねると、

「はい、もちろんです」

ディオンがそう答えると、ミルトやゼノビア、レジーナも頷いていた。

「私たちが教団相手に有利に戦いを進められた大きな理由は情報ですから」

今回の大規模攻撃に対して、救世機関は完全に後手に回っていた。

押し返せたのは、敵にとって想定外であるルーベウムの移動速度のおかげである。

加えて、弟子たちの戦闘力が教団の想定以上だったのも大きいだろう。

「それに師匠の存在も大きかったですよ」

「ああ、ディオンの言うとおりだな。敵にとっては全く想定外だっただろう」

「今後も師匠は教団に存在を察知されないようにした方がいいかもしれないですね」

ディオンとゼノビアがそんなことを話している。

それには俺も同意だ。

俺を含めた生徒たちの存在は教団に知られない方がいい。

そんなことを話していると、机の上にあるお菓子をとりながらレジーナが言った。

「それにしても、運が悪かったね」

「なにがだ?」

「ミルトがたまたま出かけたときと、教団の大攻勢が重なるなんてさ」

「………………」

全員が固まる。

お菓子をもぐもぐしていたレジーナが首をかしげる。

「なに? おれ、なにか変なこと言った?」

レジーナはわかっていなさそうなので、俺が師匠として教えることにする。

「あれ自体、敵の陽動だよ」

「そうなの?」

「ああ。陽動にまで引っ掛けられたから、ディオンは危機感を持っているんだよ」

「……そうだったのかい」

レジーナは、もっぱら戦闘担当なので仕方がない。

戦闘力は随一だが、策をめぐらせたり、破ったりするのは苦手なのだ。

「でも、教団は亜ミスリル鉱を掘ってることを知られたくないんじゃないの?」

「そんなことは無いだろうさ」

「師匠、どういうこと?」

「えっとだな。亜ミスリル鉱が重要だと気付けたのは枢機卿のコアが手に入ったからだ」

枢機卿のコアが手に入らなければ、亜ミスリル鉱を注目することは無かった。

採掘行為も、ミルトをおびき出すための単なる陽動だと考えただろう。

そして、枢機卿は戦闘には参加する予定もなかった。

実際、救世機関の諜報部門も戦闘部門も気付けなかった。

それどころか、賢人会議のメンバーであるレジーナやゼノビアも気付けていなかったのだ。

俺もルーベウムに教えてもらって、初めて気付いたぐらいだ。

敵の隠ぺい魔法は、ほぼ完ぺきだった。

「ルーベウムの存在が、教団にとって想定外過ぎたんだよ」

「きゅる?」

知らなければ、ルーベウムの鋭い気配察知能力を想定するのは不可能だろう。

「そっかー。さすがルーちゃん」

レジーナに褒められて、ルーベウムが照れていた。

「本当に枢機卿を発見したルーベウム、そして枢機卿を倒した師匠はお手柄ですね」

「まあ、最大の功績はルーベウムだな」

「……きゅる」

「枢機卿を倒した後、近くに潜んでいた敵の諜報部隊を見つけたのもお手柄だ」

「確かに師匠の言う通りですね」

俺の言葉にディオンが同意する。

敵の諜報部隊に気づけたのもルーベウムだけだった。

「全て情報を持ち帰られていたらと思うと、ぞっとします」

「そして情報を持ち帰らせなかったことは、教団にとっての痛恨事ですね」

ディオンとレジーナの言うとおりだ。

情報を持ち帰られていたら、これからの戦闘状況が大きく変わっただろう。

もちろん、救世機関にとって不利に、教団にとっては有利にだ。

「さすがはルーベウム。本当にありがとうございます」

「ありがとう。私たちの生徒たちの命も間接的に沢山救ったと言っていいだろう」

ディオンとレジーナに褒められて、ルーベウムの照れも最高潮だ。

「きゅるるる~~」

嬉しそうに尻尾を細かく素早く振って、俺の太ももをペシペシと叩いていた。