軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

135 弟子たちとの情報交換 その2

「それは俺が倒した魔人のコアだな。とても厄介な魔人だった」

「はい。このコアには異常な点がいくつもあります」

ミルトの目の下には隈が出来ていた。

恐らくあれから夜通し解析していたのだろう。

ミルトは弟子たちのなかでも、肉体年齢が最高齢なので心配になる。

「……ミルト、大丈夫か?」

「はい。まったくもって。心配してくださってありがとうございます。師匠」

そういって、ミルトは微笑んだ。

そして説明を再開する。

「このコアには新技術が使われています」

「どのような技術なんだ?」

ミルトの説明によると、このコアは魔人自身の元々の肉体そのものらしい。

肉体を縮め、そぎ落とし、魔石とそれに付着した肉片だけにしたのだ。

そこに別の魔人の魔石を埋め込み魔力タンクとしているようだ。

「このような肉体にする目的は何だと思う?」

「やはり最大の利点は急所が無くなることでしょう」

ミルトも俺と同意見のようだ。

「魔力タンク機能も厄介だけど、急所がないことの方が厄介だよなー」

レジーナは自分もお菓子を食べながら言う。

俺はミルトに尋ねる。

「確かに急所の分離は厄介だが、魔人を獣の眷族にするより厄介とは思えないが」

「確かに純粋な戦力としては獣の眷族化の方が厄介でしょうね」

ミルトは俺の意見に同意した。

急所を突き止めさえすれば、倒せるのだ。

面倒だが攻撃力的には魔人の範疇である。

だが、獣の眷族テイネブリスの尻尾となれば攻撃力も防御力も跳ね上がる。

「敵の目的はなんだ?」

「それについては私が説明しましょう」

そう言ったのはディオンだ。俺は黙って先を促す。

「このコアの魔人は、テイネブリス教団の大幹部。枢機卿です」

「……そうだったのか」

道理で強かったはずだ。

「はい。お手柄ですね、師匠。こいつが攻撃の総指揮をとっていた大将ですよ」

ディオンは嬉しそうににこりと笑った。

俺の倒した魔人が、強かったのに隠れていた理由もわかった。

指揮官が前線に出るわけにはいかない。だから隠れていたのだろう。

「ところで……。テイネブリス教団において枢機卿っていうのは、どのくらい偉いんだ?」

俺はテイネブリス教団に関してはあまり知識がないのだ。

「枢機卿は、テイネブリス教団において最高位の職ですよ」

ディオンは枢機卿のコアを指さす。

「こいつを入れて、テイネブリス教団には枢機卿は四匹います」

「いや正確には『四匹いた』だね! 師匠が倒してくれたから、今の枢機卿は三匹だよ」

そういって、レジーナが嬉しそうに俺の頭をワシワシと撫でる。

それから、詳しくない俺にディオンは丁寧に説明してくれる。

テイネブリス教団の最高意思決定機関が枢機卿団。

その枢機卿団を構成しているのが、枢機卿を名乗る四匹の魔人である。

今は一匹死んだので三匹の魔人が枢機卿団のメンバーだ。

加えて、枢機卿の下に大司教や司教などの幹部がいる。

そして、テイネブリス教団の、ほぼすべての幹部は魔人らしい。

「今回の敵の大侵攻に加わった魔人十二匹と獣の眷族五匹は、こいつの配下でしょう」

「そうか。枢機卿だから、眷族にはならなかったということか」

「恐らくは師匠のおっしゃるとおりでしょうね」

ディオンは俺に同意してくれたが、レジーナはよくわかっていないようだ。

俺の頭を右手で一層激しくワシワシしながら、左腕で俺のお腹辺りをぎゅっと抱く。

「えっと、師匠。つまりどういうことなんだい?」

「最高幹部ともなれば司令塔だ。指示を出すのに獣の眷族は向かない」

「言葉を話せないから?」

「そうだ。身振り手振りも難しいだろうしな」

俺が出会った獣の眷族は皆言葉を話していない。

獣のように「GUURUU」などと吠えるだけだ。

戦闘力は高くとも、そうなってしまえば、指揮は取りにくい。

「そっかー。そう言われたらそうだね」

そしてレジーナは少し考える。

「指揮を執りにくいってのはわかったけど、獣の眷族って知能自体はどうなの?」

「はっきりとは分からないですね」

「ディオン、勘でいいから予想を教えて」

「少なくとも魔人状態から賢くはなっていないと思いますね」

それからディオンは色々な例を挙げてそう思った理由を教えてくれた。

戦いの際の引き際や連携の仕方などから、ディオンは判断したようだ。

「俺もディオンに賛成だ」

「私も同意見だ」

ミルトとゼノビアもディオンに賛同する。

それを聞いてレジーナも納得したようだ。

「賢くならず、言葉も話せないなら、枢機卿が獣の眷族にはならないのも当然だね」

「それに比べてコアを体外に出すのは理にかなっているということだな」

指示も出せる。知能も落ちない。

本体であるコアからの魔力供給を減らせば、気配を隠すのにも適している。

コアは小さいので隠す方法はいくらでもある。

戦闘力も、ただの魔人に比べて高くなるし、急所を隠せるので死ににくくなる。

「本当に厄介です」

ディオンの言葉にミルトがうなずいた。

「それについて、俺からも報告があるんだが」

そう言いながら、ミルトは先ほど置いたコアの横に、別の鉱石を置いた。