軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ロキ、先頭を歩き始める

ロキが戻ってきたことに、最初に気づいたのはラディンだった。

森の奥から、気配が近づく。

ラディンはゆっくりと顔を上げた。

闇の中から、小さな影が現れる。

「……見つけたのか?」

低い声で、ラディンは問いかけた。

ロキは迷いなくラディンの前まで来ると、胸を張るようにして鳴いた。

「おん」

どこか誇らしげな声だった。

ラディンはしゃがみ込み、ロキの身体をじっと見た。

昨夜まで痛々しく残っていた傷。

だが――今は、綺麗に塞がっている。

血の跡も、腫れも、ほとんど残っていない。

ラディンは一瞬だけ目を細めた。

……リリアーナだな。

誰が治したのか、考えるまでもない。

ラディンは小さく息を吐くと、ロキの頭を撫でた。

「良かったな」

ロキは嬉しそうに目を細めた。その様子を、エドモンドが静かに見ていた。しばらくして、口を開く。

「遠くはないようだな」

その声に、ラディンは頷いた。

「そうだな」

そしてロキをもう一度見た。

「ここから先は、ロキに頼む」

ロキは耳をぴんと立てた。

「わおん」

さっきより、少し高い声。

任せろ、と言っているようだった。

ローデンは、何も言わずにその様子を見ていた。ラディンがロキに話しかけ、ロキがそれに応える。

まるで、昔からそうしてきたかのような自然さだった。

……どうして、見つけたとわかるんだ?ローデンは眉をわずかに寄せた。

ロキはただ戻ってきただけだ。それなのに、ラディンもエドモンドも、迷いなく状況を理解している。

そして――ロキの身体。

……もう、怪我は治ったのか?ローデンは無意識にロキを見つめた。魔獣とは、そんなにも回復力が高いものなのか。

わからないことばかりだった。

そして、もう一つ。この先、リリアーナ達を見つけたとして――どうするのか。

相手には、あの巨大な熊の魔獣がいる。

あの圧倒的な力。先日、刃を交えた時の感覚が、まだ身体に残っている。

……勝てるのか?いや、それ以前に。戦う算段はあるのか。聞きたいことは、いくらでもあった。

だが――。ラディンも、エドモンドも、あまりにも落ち着いていた。当然のように話し、当然のように次の行動を決めている。

その空気の中で、ローデンは口を開くことができなかった。

ただ黙って、二人と一匹の様子を見つめていた。

翌朝。

三人は、ロキを先頭にして森へと踏み出した。ロキの足取りに、迷いはない。

低い茂みを抜け、木々の間をすり抜けながら、一直線に進んでいく。

エドモンドの熱も、すっかり下がっていた。

顔色はまだ万全とは言えないが、足取りはしっかりしている。

しばらく進んだところで、ローデンはエドモンドに身を寄せ、囁くように声を落とした。

「……策は、あるのか?」

エドモンドは視線を前に向けたまま、淡々と答えた。

「弓で狙って錯乱させる。隙を作るんだ」

そこで一拍置き、続ける。

「――あとは、何とかなるさ」

ローデンは思わず顔をしかめた。

……大雑把すぎる。良いのか、それで?

いや、良いわけがない。相手は、あの巨大な熊の魔獣だ。森の中で遭遇した、あの圧倒的な力。

怖くないのか。一度、負けているのだぞ。

人だけが相手なら――ローデンだって負ける気はしない。剣で遅れを取るつもりはなかった。

しかし。あの熊だけは、違う。

ローデンはちらりとエドモンドを見た。

エドモンドは何も言わず、歩いている。迷いのない背中だった。

……なるようにしか、ならないか。ローデンは小さく息を吐いた。

それ以上、考えるのをやめた。