軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と玉座。

結果など既に見えていたのである。

絶対の守護となる白い翼を輝かせ、二人を連れてメイプルは進む。

光の矢はその歩みを止めるには至らず、ゆっくりとしかし確実に距離は詰まっていく。

そうして辿り着いた王の足元でメイプルは二人の準備を促した。

「はい、少し待っていて下さいね」

ユイとマイがそれぞれアイテムをいくつも使っていく。

その度に体から赤いオーラが溢れ出したりなどして、つまりは攻撃力が上がっていった訳である。

最後に二本目の大槌を装備して二人の準備は完了した。

「あーそうだ!【鼓舞】!」

メイプルが第二回イベントで手に入れたまま、ほとんど使う機会がなかったスキルである。

これによりユイとマイの【STR】と【AGI】が一時的ではあるが20%上昇した。

この二人の【STR】が20%上昇すればそれだけで、赤い石を投げていたメイプルでは比較にならないだけの上昇値が見込める。

駄目押しの支援が乗って、とうとうユイとマイは二人で、文字通り王を叩き潰しに行く。

「「【ダブルストライク】!」」

正しく轟音と呼べるような音が片手の大槌ごとに二回、二人合わせて八回響き、ボスはそれっきりだった。

光の王の体を形作っていた光が霧散してキラキラと消えていく。

それらは三人に降り注ぎ、それぞれにスキル取得の通知が届いた。

「やった!ふふーん!そっちだって二人、天使を呼んだんだからこれで同じ条件だからねー。っとスキル確認しないと」

メイプルはそうしてスキルを確認する。

【天王の玉座】

スキル発動後、スキル解除または戦闘不能になるまで玉座に座っているものへのダメージを20%軽減。毎秒HPを2%回復する。

半径三十メートル以内にいる自分を含めた存在の【系統:悪】のスキルを使用不可にする。

「あー……これのせいってことだね」

メイプルは今回苦戦したスキル封印の原因がはっきりとしたことで納得した。

これがあったためにメイプルの多くのスキルが無力化されたのである。

「使ってみようかな……【天王の玉座】!」

メイプルがそう言うとメイプルの真後ろで光が収束し、あの大きな玉座と同じ意匠の、メイプルに合ったサイズまで小さくなった玉座が出現した。

メイプルが恐る恐るそこに座ると地面を這うように白い輝きが伸びていく。

また、ほんの僅かではあるものの、体の表面を覆うように光の膜ができていた。

メイプルの背中の翼は光の王がそうだったように、するりと背もたれを通り抜けて後方で輝いている。

「おおー……いい……綺麗だし」

メイプルも好き好んで封印されるようなスキルばかりを手に入れた訳ではないのだ。

そんなスキル溢れる中、ただ純粋に綺麗なエフェクトと見た目を持ったこの玉座は、メイプルの中で使いたいスキルの上位に入ったのである。

それが攻撃性能を落とすとしてもだ。

玉座に座りにこやかにして足をパタパタさせていたメイプルにユイが話しかけた。

「メイプルさん?えっと……それは?」

「ん、あれ、二人はこのスキルじゃないの?」

「はい。さっきボスが使っていた光の矢を放つスキルでした。【STR】が関係しないので多分私達は使えないと思いますけど」

それを聞いてメイプルは少し考えた。

スキルが違う理由は何なのか。

そして、一番もっともらしいと思えたのは今現在も発動中になっており、天使の翼を授け続けている【身捧ぐ慈愛】である。

「途中であの王様も羽付いてたし……これかなあ。条件書いてないや」

メイプルは玉座から立ち上がり二人を連れて帰ろうとした。

すると、メイプルを覆っていた光の膜は消え、地面を這う光も無くなった。

「あっ、そっか。座ってないとだめだったっけ。とりあえず、二人とも帰ろっか」

「「はい!」」

「ん……?いや、ちょっと待ってね?」

二人を誘い帰ろうとしたかと思えば、メイプルは歩き出そうとした足を止め口元に手を当てて考え事を始めた。

少し経って。

雷の落ちる中、地面を白い輝きで染め上げながら空を飛ぶ、玉座を乗せた大きな亀がいた。

「シロップ?重くない?」

メイプルが玉座を運ぶシロップに声をかける。

シロップの背中で顕現した玉座はきっちりとシロップの上に乗っている。

現状、シロップに数値上の負担は一切見られなかった。

「当分はこんな感じでシロップと一緒にいようかなあ。うん、それがいいかも!」

「メイプルさん、そろそろ雷地帯を抜けますよ」

ユイが指差す先には白い雲が見え始めていた。

「うん、そうだね。この後はどうするの?」

「えっと……私達は一度レベルを上げようかと」

マイが言うには、まだレベルが本来この層にいる基準レベルに達していないとのことだった。

「一撃で倒せるくらいでないと、私達は生き残れませんから」

「んー。私もレベル上げないとなあ。最近してなかったかも」

そんな話をしながら。

玉座を乗せたシロップは通常フィールドへと入っていった。