軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と傘。

そうしてメイプルがジャングルから遠のいているうちにイベントは終了した。

結局メイプルがもう一度ジャングルへと戻ることはなかったのである。

そうしてイベントも終わって小休止、といった雰囲気が漂っているギルドホームにメイプルはいたのだった。

「気づいたらイベント終わっちゃってた……でも、もう一回行くためのアイテムを取るのも大変だったし、いいかな」

そうしてメイプルが次は何をしようかと考えていたところで、入り口からサリーが入ってくる。

メイプルが小さく手を振ると、サリーはそのままメイプルの方へと歩いてきた。

「どう、メイプル。ジャングルでの成果はあった?」

私はそれなりに成果はあったかな、とサリーは付け加える。その表情はなかなかいいものを手に入れたという風である。

「うーん……そんなになかったよ。途中からは普通にこの階層を探索してたから」

「あー、まあ行くにも準備がいるから……なら、こっちでは成果はあった?」

「それならあったよ!」

メイプルが何かを手にしたことを示すようににっこりと笑って返事をする。

「お、どんなの?」

「玉座!」

「玉座……もう一回言って?」

「……?玉座!」

「そっかあ……」

サリーはそれだけ言うとメイプルが座っているソファーの隣に座った。

サリーはイベントの方へ力を入れていたため、メイプルと顔を合わせるのは少しばかり久しぶりといったくらいである。

メイプルが言った玉座についてや、サリーがジャングルで見たあれこれなど話題には事欠かない。

二人がそうして話を続けるうちに話題は変わって、次の階層の話となった。

「イベントも終わったし、また少ししたら階層が増えるかもしれないね」

「そうだねー、次はどんなところかな。綺麗なところだったらいいなあ」

メイプルはまだ見ぬ景色に想いを馳せる。

それは綺麗な海だったり、静かな森だったり、賑やかな町だったりした。

「だから、ここでやり残したことはやって……それで次に行こう?」

「やり残したこと、って何だっけ?サリー」

「ほら、メイプルがまだ行ってない場所。ゆっくりと雨が降ってくるところ。アレ、クリアしておこうよ」

サリーが言うゆっくりと雨が降る場所、それはクロムとカスミが見つけていた場所である。

サリー曰く、既に攻略情報も上がっており、得られるものも分かっているとのことだった。

「サリーは雷のところも行ってないんじゃないの?」

「まあ、私は今回はいいよ。メイプルが教えてくれたスキルにもあんまり惹かれないし」

「そっか。じゃあ……行く?」

「うん、準備して雨エリアに行こう」

こうして、二人は雨の降るエリアへと向かうこととなった。

二人がギルドホームから出ようとして、扉に手を伸ばしたところで丁度その扉が開かれた。

「お、メイプルにサリー。どこかへ行くのか」

そこに立っていたのはカスミである。

特に目的もなかったが、とりあえずギルドホームへとやってきたのだった。

「私達はゆっくりと雨が降る場所に行くよ。前にカスミが教えてくれたところ!」

「ああ、あそこか……そうだな、良ければ私もついて行っていいか?」

丁度いい機会だと思ったカスミは二人にそう尋ねる。

メイプルとサリーにそれを断る理由などなく、結局三人で向かうことになった。

「えっと、カスミ。持ってる?」

「いや、まだだ。イベントに集中していてな」

「……?」

メイプルは二人が何のことを話しているのかと首をかしげる。

そんなメイプルを見てサリーから突然問題が投げかけられた。

「ほら、メイプル。雨が降っている時に使うものといえば?」

「えっと……か、傘?」

メイプルが自信なさげに答える。

「そう、正解!あのエリアに行くために大事なアイテム」

「だから私達は今から傘を買いに行くんだ。店の位置は知っている」

案内するようにカスミとサリーが並んで先頭を歩き、メイプルがその後をついて行く。

そうして三人は傘が売られている店へとやってきた。

店内には所狭しと傘が並んでおり、種類や色、大きさまで様々である。

「えっと、どれにしようかな」

「どれでも効果は同じだからねー」

「うん、分かった」

メイプルはそう言って店の中を歩き回り、あれでもないこれでもないと傘を見ていく。

「私はこれにしておくか」

「シンプルなのでいいかな」

カスミは暗めの赤の唐傘を、サリーは服と同じような青色の傘を購入した。

「メイプルは……いた!って、何それ?」

メイプルがその手に持っていた傘は、全てのパーツがふわふわとした雲でできている傘だった。

「ここ限定だって!」

「そういうのに弱くない?」

「うっ……まあ、そうだけど。でもちゃんと傘として使えるから、ほら!」

メイプルは雲の傘を広げて、頭の上でくるくると傘を回している。

「まあ、売っているということは使えるんだろう。問題ないさ、多分な」

メイプルのこととなると何事も断言し辛くなるカスミだった。

とにもかくにも、三人はそれぞれ傘を手に入れて雨が降るエリアへと歩いて行ったのである。