作品タイトル不明
■15.魔界の精鋭部隊『七星』!!
魔界には『 七星(ななほし) 』と呼ばれる、魔王直属の部隊が存在する。
魔族の中でも際立った強者として選ばれた七名の魔族であり、七星という名称は魔王が格好いい部隊名アンケートを城内で募って決定した。
そして今、魔族の恐るべき精鋭たる七星が勢揃いして――否、ヴァルディを除く六名が、魔王城の会議室にて円卓を囲んでいた。
『砕氷』カルドロ。
『雨天決行』ヤンヤン。
『踊り蠱毒』ピトフィ。
『人形劇』ギギ。
『次回予告』フレン。
『万能メイド』オールワークス。
以上六名の前に広げられているのは、軍議用の地図や重要な書類。
ではない。
お菓子とジュースである。
「こないだヴァルディの奴が『絶対泣かす』って聖女を捕虜にしたらしいぜ」
「えー? 無理じゃね? あいつ火竜の本能で迎撃とか防衛の場合は容赦ねえけど、それ以外じゃ弱い者虐めできねえだろ?」
「むしろ捕虜の世話焼き始めてそうっていうかぁ」
「あり得るのだぞ。なんだその痩せた身体は! 食え! 話はそれからだ! みたいな」
「ははは、さすがにそれはないでしょう」
「オールワークスより皆様に報告。本日ヴァルディ様が、捕虜様と思しき可憐な女性を木陰の下で組み敷いているのを目撃しました」
――にこやかに談笑していた彼らは、最後にもたらされた情報で俄かにざわついた。
「展開が早くないかヴァルディ!?」
「まだあいつ子どもだよな!? えっ竜の発情期って何歳で来るんだっけ!?」
「あらヴァルディったら大胆だわぁ」
「待つのだヴァルディ恋というものは文通から始めるものだぞ」
「そんな馬鹿なつい最近まで魔王様の膝に乗せてもらっていい子いい子されながら飴舐めてて僕が『君いくつ?』って聞いたらドヤ顔で指二本立てて『みっちゅ』って答えていたあのヴァルディが」
「補足。その状況に至る直前、ヴァルディ様は捕虜様と思しき可憐な女性に木陰の下で組み敷かれていました」
「なっ」「は?」「あらぁ」「おお」「えっ!?」
先月「フロギア王国より侵攻あり」の報告を聞いた時よりも遥かに動揺していた七星の彼らは、その補足情報でさらに混乱した。
「聖女が先に手ぇ出したの!?」
「肉食系女子、いや、肉食系聖女だったのか!?」
「聖女サマったら積極的なのねぇ嫌いじゃないわぁ」
「さすが魔界に侵略戦争を仕掛けてきたガッツのある聖女は違うぞ」
「なんてことだ許さないぞヴァルディ僕も清楚な乙女に組み敷かれてみたい」
「追加情報。ふたりはそれ以上の戦闘行為には及ばず、武力ではなく話し合いで解決した模様。その後ヴァルディ様は捕虜様をお姫様抱っこし、移動を始めました。方角的に花畑へ向かったものと推測します。以上」
最後にもたらされた情報に、彼らは一拍置き、声を揃えて言った。
「デートだ!」