作品タイトル不明
860.フリーズブルーム
厄介な性質は持っているが、そこまで強敵ではない。
フリーズブルームの花の部分に魔力が集まり――氷の弾が発射される。
「【枯れ枝の盾】!」
俺は素早く右手を出し、空中に木の盾を生み出した。
大した防御力はないが、自動的に敵の攻撃を防ぐ魔法だ。
フラワージェネラルの弾だと貫通するが、この氷の弾であれば、問題なく耐えられるはず。
バキィッ!
冷気の塊が木の盾に直撃し、木の盾が砕け散る。
しかし氷の弾は防ぎ切った。
さらに広間の奥から氷の弾が発射される。
「とうっ!」
ナナが華麗に槍を振り回し、氷の弾を打ち落とした。
「せえい!」
しかし一番すごいのはやはりステラだ。バットを振るい、氷の弾を打ち返す。
氷の弾はフリーズブルームの花に見事、命中した。
「フラワーアーチャーっぽい姿ですからね、これで……!」
フリーズブルームがよろめく。
「いや、コイツは確か……」
フラワーアーチャーなら、花の部分に攻撃すれば倒せる。
しかしフリーズブルームは……違ったはずだ。
よろめきからフリーズブルームは体勢を立て直し、こちらに進んでくる。
俺は前世の記憶を辿っていく。
「そうだ、後ろの球根を破壊しないと効果がない!」
「ええっ!?」
白い雪で視界が悪くて見えないが、あのフリーズブルームは球根と繋がっている。
細い根が伸びており、その奥にある球根を破壊しないとダメなのだ。
「コイツらが来た先に大きな球根があるはずだ!」
ナナがステラに目配せをする。
「どうする? 僕たちで行く?」
「そうしましょう! 少しの間、お任せしていいですか!?」
ベテラン冒険者だけあって、素早い判断だった。
「わかった! 俺は盾があるから大丈夫だ!」
フリーズブルームの花に再び魔力が集中する。
また氷の弾を発射する気だ。
ステラとナナが走って奥に回り込もうとする。
位置関係が変わったことで、フリーズブルームの攻撃がこちらに向く。
「【枯れ枝の盾】!」
これはそれほど強い魔法ではないが、連続発動が可能だ。
俺の目の前に三個の木の盾が生み出された。
フリーズブルームが氷の弾を発射する。
木の盾は自動的に弾の軌道上へとすすっと動き、攻撃を受け止める。
とはいえ、木の盾は一発攻撃を受けると壊れてしまうが。
「時間稼ぎには最適だな」
【枯れ枝の盾】は初級の植物魔法、俺の周りしか守れない。
この世界ではゲームの中より人間の魔力が少ないため、燃費は悪いが……。
鍛えた俺の魔力なら、安全に攻撃を引き受けられる。
ステラとナナの姿はもう見えないが、きっとうまくやってくれるだろう。