作品タイトル不明
861.ぴよキャンセル
「ゆっくりね!」
「せーい!」
ドッゴーン!
白い雪の向こうから轟音が聞こえてきた。
ちょっと前、ブルーヒドラと戦った時に聞いたような……。
「大丈夫か!? 轟音がしたが!?」
「問題ありません! ちょっと段差を越えるのに、シュートしただけなので!」
何を? そう、きっとナナをだ。
あの着ぐるみで段差を登るのはキツいかもと思ったが。
まぁ、それはそれとして。
フリーズブルームの花はまだこちらを向いている。
「来いっ……!」
「「ぴよー!」」(とつげーき!)
「えっ!?」
いきなり俺の後方から、三体の地下コカトリスが飛び出していった。
「ちょっ……!」
コカトリスは頑丈だ。この氷の弾でもダメージは受けないだろう。
ちらっと後ろを見ると、残り二体のコカトリスはララトマとイスカミナを守っている。
手が空いているコカトリスが突っ込んできたのか。
「ぴよー!」(とびげりー!)
「ぴよよー!」(つっつきー!)
「ぴっぴよー!」(ちょっぷー!)
三体のコカトリスはそれぞれ、フリーズブルームに攻撃を仕掛ける。
「いや、そいつらに攻撃は――」
コカトリスは猛スピードでフリーズブルームに激突する。
フリーズブルームはよろめくが、それだけだ。
さっきのステラの弾き返しと同じで、目立った損傷はない。
フリーズブルームの花にまた魔力が集中する。
「……撃ってくるぞ!」
「「「ぴよ!」」」
ぺちー! コカトリスたちが魔力の集まった花を羽でビンタした。
そう、三体のコカトリスが三体のフリーズブルームの花をビンタしたのだ。
「んっ?」
叩かれた瞬間、フリーズブルームの花から魔力が散った。
フリーズブルームはまた体勢を崩すが、すぐに立ち直る。
「また魔力が集まるぞ……!」
「ぴよ!」
ぺちちー! ふたたびコカトリスがフリーズブルームの花をビンタする。
そうするとまた花から魔力が消え去った。
「んっ? もしかして……」
コカトリスが攻撃するたび、花の魔力が散っているな。
どうやら羽ビンタで完全に魔力がなくなるようだ。
そして攻撃態勢が崩れて、元に戻る。
そんな感じだ。だが、それはつまり……。
「氷の弾が……ずっと撃てない?」
ぺちぺちぺちんー!
何回花に魔力が集まっても、コカトリスはビンタでキャンセルしていった。