作品タイトル不明
859.氷の敵
ステラが叫ぶと同時に、氷の弾が飛んできた。
「いきなり攻撃か!?」
握りこぶし大の氷の弾がステラの元へ降り注ぐ。
だが、ステラは反応していた。
「ていっ!」
華麗に身をひねり、ステラは氷の弾を回避した。
一瞬、ひやっとした。
その間にも広間の奥から魔物がゆっくり近づいてくる。
しかも一体だけじゃない。地響きとうすぼんやりとした影からすると、複数いる。
「迎え撃ちますっ!」
俺も素早く、事前に決めていた指示を出す。
「ララトマ、イスカミナ! コカトリスと後ろへ!」
「は、はいですー! ぴよちゃんー!」
「もっぐー!」
コカトリスが素早く反応する。
「ぴよよー!」(ほいほーい!)
「ぴよぴー!」(こうたいこうたいー!)
地下コカトリスたちがララトマとイスカミナを胸毛に収納し、後方に移動する。
これで彼女たちの危険は大きく減った。
ナナがお腹のポケットから、するすると身の丈ほどの槍を取り出す。
てってれー。そんな感じでナナが槍を掲げる。
「めらめら槍~」
「おお、燃えてる……!」
ナナが取り出した槍は、刃先から赤い炎が燃え上っている。
火の属性を持つ魔法具か。この状況にぴったりだな。
地響きが大きくなるとともに、白いもやの先から魔物の姿が見える。
俺たちの身長の約二倍ほどの巨体だ。
凍りついた体に巨大な白い花が咲いている。
その姿を見たステラとナナが一瞬、動きを止めた。
「なにあれ?」
「わたしも知りません! アイスゴーレムに似ていますが……!」
戸惑う二人だが、俺には前世のゲームで見覚えがあった。
「あれは……フリーズブルームか」
「フリーズブルーム……!?」
どうやら聞き覚えがないらしい。
フリーズブルームはゲームの期間限定イベントで現れた、植物系の魔物だ。
戦えた期間が短かったので、ゲーム内でも極めてレアな魔物だった。
厄介な性質は持っているが、そこまで強敵ではない……はずだ。