軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

136.見つからない。

「はぁ」

アルギリスを探し始めて今日で20日目。

成果は無し。

神国の全ての星を調べ、隅から隅まで捜しまくった。

なのに、アルギリスの力を見つける事が出来ない。

「どうしてだ? なぜ、見つからない?」

必ずどこかにいるはずなんだ。

もしかしたら移動しているのかもしれないと、途中で呪界と魔界を調べたりもした。

でも、やはり何も見つける事が出来なかった。

「何か見落としているんだろうか?」

3つの力を持ち、既に死んだ存在。

その力は世界を越える事が出来るが、アルギリス自体が越えられるかは不明。

オウ魔界王が襲われた時も、アルギリスは神国にいた。

ロープが創造神の住む建物まで力を追ってくれたから、これに間違いはない。

やっぱり、アルギリスは神国にいる可能性が高いよな。

それなら見つけられない原因は、結界のような物で守られているから?

でも結界は、力を流すとその部分だけ流れが変わるから気付くはずだ。

もしくはアルギリスの力がそうとう強く、俺の力では捉えられない。

でもこの場合、襲われている神達が無傷というのが気になる。

だから、これも違うと思うんだけど。

「駄目だな。気分転換でもするか」

そういえば、最近はアルギリスに掛かり切りで皆とあんまり話が出来ていないな。

……寂しいな。

「よしっ。今日は帰ろう」

記憶装置の空間から家の玄関に移動すると、畑の方から賑やかな声が聞こえた。

不思議に思いながら畑に行くと、野菜の収穫をしている皆が見えた。

「今日の朝、最後の収穫があると言っていたな」

「お帰りなさい」

「ただいま」

俺を見つけたリーダーが、傍に駆け寄ってくる。

それに笑みが浮かぶ。

「今日は、ゆっくり出来ますか?」

心配そうに俺を見上げるリーダー。

ここ数日は睡眠時間を削って調べていたから、心配されているようだ。

「うん。今日はもう調べない事にしたんだ。そうだ。俺も収穫に参加してもいいかな?」

「大丈夫ですか?」

顔色でも悪いのかな?

まぁちょっと、体が重いかな。

「ヒール。うん、大丈夫」

魔法で体の疲れを取ってリーダーを見ると、呆れたようにため息を吐かれた。

ははっ、次は帰ってくる前にヒールを掛けよう。

覚えていたらだけど。

「ゆっくりした方がいいのでは?」

やっぱり言われてしまった。

でも、

「気分転換がしたいんだ」

とりあえず、このどんよりした気分を変えたい。

それには、皆と一緒に頑張るのが一番だと思うんだよな。

「分かりました。こっちです」

俺の言葉にリーダーは頷くと、子アリ達と子蜘蛛達がいる方を指した。

「ありがとう」

リーダーと一緒に畑に向かうと、仲間達から次々と声が掛かる。

その大半が心配するものだったので、小さく笑ってしまう。

俺としては無理をしているとは思っていなかったが、周りからはそう見えたのかもしれない。

気を付けないとな。

「主! 見て! 見て! 巨大なじゃがいももどき」

俺が手伝う予定の畑に来ると、子蜘蛛が自分より大きなジャガイモに似た野菜を持ち上げた。

その大きさに少しハラハラする。

「落としたら大変だから、持ち上げない方がいいぞ」

「大丈夫!」

そう言うと、子蜘蛛は少し離れた場所にいた子アリに、そのジャガイモもどきを放り投げた。

「えっ?」

ジャガイモもどきは、子アリの上に落ちる……事なく、子アリが前脚で受け止めた。

そして、また違う場所にいる子アリに向かって放り投げられた。

「もしかして、そうやって運んでいるのか?」

「うん。さっき見つけたんだけど、この方法が一番早く収穫出来るんだ」

あっ、他の子蜘蛛や子アリ達が真似をし始めた。

畑の上を舞う、巨大なジャガイモもどき。

「俺、収穫を手伝えるかな?」

「……大丈夫です」

リーダー、その間は何?

「他の場所に行きましょう」

それは、この畑で俺に出来ることは無いという事だよな。

でも、その通りだ。

「そうだな。他の場所を手伝うよ。皆、頑張って」

ジャガイモもどきを放り投げている子達にエールを送ってから、違う畑に向かう。

「放り投げられない野菜がある畑に行きます」

「ははははっ」

イチゴのような果実の生っている畑に来た。

ここでも、子アリ達や子蜘蛛達が収穫をしているのが見えた。

でも、さすがに柔らかい果実を放り投げて収穫する事は無いだろう。

「俺も手伝うよ、宜しく」

畑の通路にあるカゴを取って、畑の中に入る。

「主。濃い赤色の果実を収穫するんだよ」

濃い赤色。

「分かった。ありがとう」

教えてくれた子蜘蛛にお礼を言って、周りを見渡す。

それにしても、凄くいい香りだ。

ちょっと、つまみ食いしたくなるな。

「あっ、これでいいのかな?」

周りで生っている果実の中で、一番濃い赤色だ。

「主、これをどうぞ」

「んっ」

農業隊の1体が、俺に赤色の丸い何かを差し出した。

受け取ったが、これが何か分からない。

「これは?」

「この大きさより大きく、この色より濃い色を収穫して下さい」

あっ、なるほど。

先ほど見つけた果実と受け取った物を見比べる。

「これは収穫していいみたいだな。ありがとう。これは、分かりやすいよ」

「いえ。では、お願いします」

同じ物をリーダーに渡すと、農業隊は収穫したイチゴもどきが集められている場所に向かった。

「さて、頑張ろう」

見本となる物と果実を見比べながら、次々と収穫していく。

微妙な色や大きさの時は、ちょっとリーダーに相談しながら。

「ふ~、カゴが一杯だ」

立ち上がって腰のあたりを叩く。

収穫する時は中腰だから、これがつらいな。

カゴを持って畑を出ると、農業隊がいる場所に行く。

「ありがとうございます」

カゴを受け取った農業隊は、綺麗な形の物と歪な形の物を分け始めた。

まさかそんな事をしているとは思わなかったので、少しビックリだ。

「歪な形の方はどうするんだ?」

「こちらはジャムやジュース用です」

あぁ、煮詰めたり潰したりするから形なんてどうでもいいもんな。

隣の形が揃っている方を見る。

「こっちは?」

「焼き菓子や飾りに使います」

焼き菓子?

あっ、イチゴもどきの焼き菓子にも綺麗な形の物が使われていたな。

そしてあれは、凄く美味しかった。

今日イチゴもどきを収穫したという事は、あの焼き菓子が出て来るのでは?

それは、楽しみだ。

「主?」

「なんでもないよ。もっと収穫を頑張って来るな」

新しいカゴを持って畑に戻る。

「手伝いに来たよ~」

子供達の声に視線を向けると、元気な姿が見えた。

今日の授業は終わったのかな?

「主だ!」

風太の声に、手を上げて応える。

「今日の授業は、終わったのか?」

「うん。収穫のお手伝いも重要だから、今日は早く終わって収穫を手伝うんだ」

「そうか。一緒に頑張ろうか」

「うん」

風太がカゴを取りに行くと、その後ろを風太のミニチュアがふわふわと付いていく。

今日ものろくろちゃん達が一緒のようだ。

「んっ?」

なんだろう?

今、何か気になったような。

……のろくろちゃん?

風太の傍を飛ぶ、風太の姿をした小さいのろくろちゃんを見る。

「呪い?」

あっ、そうだ。

呪い達が集まっていた空間。

あれは神国に繋がっていた、異空間だ。

「もしそんな空間を、アルギリスが作れるとしたら?」

ロープが声に関係する力を追ったのに見失ったのは、空間を越えられたからなのでは?

「もう一度、神国を調べ直さないと」

俺の作った記憶装置のある空間と呪界は繋がっている。

空間を作った者以外が見つける方法は、微かな力の揺れだ。

ただ、本当に小さな揺れだから見つけられる可能性は少ないと、空間を作った時に知った。

「見つけられるかな?」

あの大きな神国で小さな力の揺れを。

「んっ? 違う。調べるのは創造神の住む建物だけでいいかもしれない」

声に関係する力を追っていた時に、創造神の建物から出ていたとロープが言っていた。

つまりあの場所に、アルギリスが作った空間に繋がる場所があるかもしれない。

「主?」

「えっ?」

風太の心配そうな表情が俺を見ている事に気付く。

リーダーもその横で俺を見ている。

「ごめん。さぁ、収穫しようか」

今日はもう調べないと言ったからな。

うん、今日はゆっくり過ごそう。

明日から、かなり集中しないと駄目だろうし。