軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

133.アルギリスとは。

パネルについている信号が受信を報せる。

オウ魔神とも創造神とも会う予定が無かったので不思議に思いながらボタンを押し通信を開いた。

「急にすまない」

パネルの向こうに創造神の姿が映し出される。

「俺は大丈夫だけど……創造神は大丈夫なのか?」

映し出された創造神の顔色が悪い。

それに、表情もかなり戸惑っている。

これは、何かあったな。

確か今日は、3つの魔石に入れた力を元に関連する情報を探ってもらっていたな。

何かを見つけたのか?

「大丈夫だ。あの3つの力を持っている者を見つけた。アルギリスという男性なんだけど」

アルギリス。

リーダーを見るが、首を横に振られた。

リーダーは、中級神以上の神達の名前を全て覚えている。

それなのに知らないという事は、3つの力を持っているのに下級神なのか?

「彼は既に死んでいるんだ」

「えっ?」

「呪界王には、『光の魔力』と『闇の魔力』を作りだした人物と言った方が分かるかもしれない」

アルギリスは、双子の父親という事か。

それなら死んでいて当然だな。

そうとう昔の人物だ。

「アルギリスについて調べたんだが、昔の事過ぎてなかなか情報が集まらなくて、今もまだ情報を集めている最中なんだ。今わかっている事は、アルギリスが……多くの者を集め、彼等から魂を取り出し闇の魔力を排除する実験を行っていたという事。そして、その実験がある程度成功していた事。そして光の魔力だけになった魂を、取り込んでいたという事」

んっ?

魂から闇の魔力を排除?

しかも光の魔力だけになった魂を取り込んだ?

魂を取り込んだら、どうなるんだ?

「そして双子は、そんな父親を止めるために戦い、死んだ事」

あれ?

闇の魔力を持つ弟を殺そうとして、双子に反対に殺されたはずでは?

「アルギリスに心酔していた弟子が、アルギリスの死後に双子が悪いという情報を流したようだ。でも、双子を知っている者がその噂を否定。時間と共に、今伝わっている情報になって行ったんだろう」

「そうか」

まずは……。

「魂を取り込むとどうなるんだ? 記録装置にはその結果まで載っていたのか?」

「あぁ、魂が持つ力をそのまま利用できるようになるみたいだ。アルギリスはかなりの力を得たとあった。ただし、副作用があったんだ」

副作用?

「アルギリスは、光の魔力だけを増やすつもりだったんだろう。光の魔力だけにした魂を取り込んだんだからな。でも、ある時一気に闇の魔力が彼の中で膨れ上がったんだ。増えた光の魔力と同じ量の闇の魔力が体内で暴れたため、長い間痛みに苦しんだと書かれてあった」

「アルギリスは光の魔力だけになっていなかったのか?」

双子を実験台にして成功したのだから、すぐに自分で行いそうだけどな。

「双子の成功は、ほとんど奇跡だ。当時の記録を読んで分かったんだが、双子と同じ実験をされた者達は、全て失敗して死んでいる。そして双子も、長い間苦しんだ記録が残っていた。それを見ていたアルギリスは、危険だと判断して自分では行わなかったんだろう。とはいえ、いずれは自分の中から闇の魔力を取り出したかったんだと思う。アルギリスは、自分に心酔していた者達に実験を継続させていたからな」

子供が苦しんでいるのを見て判断か。

本当に最悪な親だな。

「双子の実験が奇跡的に成功した頃、闇の魔力を排除した魂を取り込んで力を強化する方法が何度も成功した記録があった。アルギリスは危険性の少ない方法で、まずは光の魔力を強化する事にしたみたいだな。まぁ、副作用があるとはその時は知らなかっただろうから」

光の魔力を増やしたら、闇の魔力まで増えて苦しんだ。

自業自得だな。

「あっ」

そうか、光の魔力と闇の魔力だ。

神力や魔神力に似ているのは、2つの力が光の魔力と闇の魔力が変化した力だから。

でも呪力に似た力は、どうやって手に入れたんだ?

「記録によれば、アルギリスを止めようとした双子との戦いは、神国全体を巻き込んでかなり激しかったようだ。一時期はアルギリスが有利だったんだが、神国にいる多くの者が双子に協力。数年続いた戦いは、アルギリスを殺した事で決着。ただ記録装置には『アルギリスの肉体は滅んだ』と、書かれてあるんだ。まるで魂は滅んでいないと言われているように感じたな。あっ、そうだ。アルギリスを殺したのは、実際には双子ではなかったんだ。まぁ、双子と戦って弱っていたために殺されたと言えるけど」

神国の多くの者達から支持を受けた双子。

その双子に、結果的に殺されたアルギリス。

そして肉体は滅んだという記録。

「そういう事か」

アルギリスの魂は、呪いになったんだ。

呪いが生まれる条件に、魂が生前持っていた様々な感情が影響を及ぼすというものがある。

アルギリスは子供に戦いを挑まれ怨み、怒り、憎しみなど負の感情に囚われていたはず。

そしてアルギリスは、自分の子供を実験台にするぐらいだ。

多くの者を、私利私欲で死に追いやっただろう。

そのせいで、多くの者から怨みを買った可能性が高い。

つまり死んだ時には、魂に多くの怨みが絡みついていたはずだ。

生前の負の感情が、魂に絡みついた怨みに力を与えて濃くする。

怨みが濃くなりすぎると、魂はその怨みに完全に囚われてしまい消滅が出来なくなると聞いた。

魂にとって消滅は最後の赦し。

その最後の赦しが無くなったアルギリスの魂は、呪いに落ちた。

「えっ? 何か分かったのか?」

不思議そうな創造神に頷く。

「俺の予測だから真実とは限らないが、アルギリスは呪いになったんじゃないか?」

「あっ……確かに条件が揃っている気がする」

「記録装置に、アルギリスが呪いになった記録は無かったのか?」

俺の質問に首を横に振る創造神。

「記録には、何も。というか、その当時には『呪い』というものは存在していなかったと思う」

あぁそういえば、最初の頃は正体不明の力として結界を張って追い出したんだっけ。

「呪いではないとしても、呪いに似た何かに変わったんだろう。まぁ、証拠も何も無い。ただの俺の予想だけどな」

ただ、間違いないという変な自信がある。

この感情が、何処から生まれているのか分からないから、少し気持ち悪いな。

「いえ、たぶん合っていると思う。創造神として、そう感じる」

まさか創造神も同じ感覚になっているとは。

これは世界の王だから、感じられる感覚なのだろうか?

「呪界王?」

「あぁ、悪い」

今は、そんな事はどうでもいいな。

重要なのは

「呪いに似た何かに変わったアルギリスを探さないとな」

「うん」

創造神の表情を見る。

話をしたことで気持ちが落ち着いたのか、顔色が元に戻っている。

「創造神」

「はい?」

「神国を、俺が直接調べる許可が欲しい」

創造神やロープにお願いするより、自分で探したい。

おそらくその方が早く見つかる気がする。

「どうぞ」

「えっ……周りに相談しなくていいのか? 例えばガルアル神とか」

簡単に許可を出し過ぎだろう。

「おそらくガルアル神に言っても、同じ反応だと思う」

「そうか?」

「うん」

ん~、まぁ信用してもらっている事にするか。

「明日から神国に来てくれるのか?」

いや、どうしてそんなに嬉しそうなんだ?

「違う。呪界から神国を『見て』調べるよ」

「見て?」

創造神に頷く。

「呪界から、神国を見る事が出来るみたいなんだ」

まだ、どこまで干渉出来るのかは調べていないけど。

「そうか」

どうしてここで残念そうな表情なんだ?

「とりあえず、明日から、アルギリスを探すよ」