軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

134.変わりだす神族。

今日からアルギリスを探す予定だったんだけど、予定変更。

今日は、神族主催のお茶会に参加した。

「招待に応えていただきありがとうございます」

神族の代表として、ポリアが俺に頭を下げた。

リーダーが教えてくれたが、ポリアはピスリアリ神の補佐をしているらしい。

「こちらこそ。招待をしていただきありがとう」

今日の朝、リーダーが招待状を持って来た。

それがこのお茶会へのものだった。

招待状には「神族達は変わろうと思います」と書かれてあった。

何となく不安を覚えて招待に応じたんだけど、いつもより多い神族に少し圧倒されている。

「それで、神族達は何をしようとしているんだ?」

神族達が暴走するとは思わない。

でも神に反発して、殺される事になったら大変だ。

神と神族の間には、どうしても越えられない力の差がある。

今の創造神なら、愚かな判断はしないと思うけど、全ての神が同じだとは思えない。

そして、何かあった場合に神族全員を助けられるかも分からない。

「はい。私達はこのお茶会で、色々な事を学びました。それで気付いたんです。個々でいると力が弱いと。だから、神族達だけの団体を作る事にしました」

なるほど。

というか、神族達が集まれなかったのは神達による妨害があったせいなんだけどな。

彼等も、団体になると面倒な事になると分かっていたんだろう。

「それはいいと思うけど、神達に邪魔をされないか?」

神達の妨害行動を色々聞いているから、心配だな。

「私達もそれが心配だったので、まずは仕えている神の派閥内で集まる予定です」

そういえば、神には派閥があったな。

えっと……あぁ、思い出した。

落ち神のいた派閥と、今の創造神が属していた派閥。

あとは、2つに属していない神達が集まっている派閥だったな。

あっ!

ポリアが補佐しているピスリアリ神は、落ち神が作った派閥の現トップだ。

「この場合、集まっていても仕事の事だと誤魔化せますので」

「そうだけど、いつかはバレるだろう?」

最初の頃はいい。

でも、何度も集まっている事が知られたら、目を付けられるかもしれない。

「はい。だからある程度の人数が集まったら団体として、創造神やトップの神達に認めてもらおうと思います」

隠し通すのは無理だと分かっているんだな。

だから、公表して創造神やトップの神達に認めさせる。

創造神が認めた物を、表立って排除は出来ないだろうからいいとは思う。

でも、それだけでは心配だな。

「団体は、派閥を守るために作ったと公表する予定です」

「派閥を守る?」

「はい。創造神が認めたとしても、おそらく妨害して解散させようとするはずです」

神達の傍にいたから、彼等の行動はよく分かっているみたいだな。

「なので、神達が大切にしている派閥を利用します。仕える神の大切な物を、私達も守りたいと言えば……単純な神が多いので騙せるでしょう。実際に、公表したら暫くは守るために動く予定ですし」

単純、か。

しかも「守っている」と思わせるための行動まで起こすとは。

魔界に落ちた神族達が、いまだに帰っていない事も含めて。

「ははっ。神族達は強くなったな」

俺の言葉に、恥ずかしそうに笑う神族達。

最初の頃の神族達は、神の顔色を窺って怯えていた。

だから無理だと分かっていても、命令だからと呪界に何度も侵入しようとした。

それが今では、神達が大切にしている派閥を利用しようとしている。

あの真っ白な顔色で震えていた者達と、同じだとは思えないな。

「あの場所があったお陰で、私達は変われました」

あの場所?

ポリアの言葉に首を傾げる。

「神から呪界に侵入しろと命令された時、とうとう死ぬんだと思いました。でも、死ぬ事なく神国に戻されました」

罰を与えるつもりで、地下に作った保管場所までの罠と同じ物を作って、そこに誘導したけどな。

「何度侵入しても、気付いたら神国にいるんです。不思議でした」

一時期、本当に毎日、毎日来ていたよな。

「そんなある日、トレント達が私を見て果物を持って来てくれたんです」

そんな事があったんだ。

「その前日に仕事が遅れたせいで色々あって、食事が出来なかったんです。お腹が空いてふらふらだったから、その果物が凄く美味しかったんです。果物を持って来てくれた時は、ちょっと毒の心配をしたんですけど」

まぁ、その心配はするだろう。

侵入した先で敵に果物をプレゼントされて、何も心配しなかったら、そっちが問題だ。

「よく食べたな」

毒の心配をしたのに。

「あっ、えっと……毒が仕込まれていても良いかと思って」

それはつまり、死んでもいいと思ったのか?

ポリアを見ると、少し困った表情をした。

「テーブルで果物を食べていると、顔だけは知っている神族が連れて来られて、目の前の椅子に座ったんです」

ポリアの隣で、小さく手を上げる神族がいた。

もしかして、彼が目の前に座った神族かな?

「無言で果物を食べていると、なぜかどんどん料理が運ばれてきて。気付いたら椅子に座っている神族も多くなっていて。皆、無言で食べました」

周りに気を配る余裕が無い状態か。

それにしても、皆が無言で食べたんだ。

その光景は、ちょっと怖そう。

「神国に戻される時、リーダーが『またどうぞ』と言ってくれて」

リーダーを見ると、満足気な雰囲気を感じる。

「で、甘えて次の日も、次の日もお邪魔しました」

それは、知らなかったな。

そしてあの場所って、罠のあった空間の事か。

「同じテーブルを囲む神族達と少しずつ話をするようになって、少しだけ救われた気持ちになりました。そして呪界王と初めて会った日、まっすぐ目を見て怒ってくれたんです」

怒って?

えっ?

どうしよう、全く思い出せない。

「私達の話を聞いた呪界王は『そんな馬鹿な奴に、身を削って仕える必要なんてない。お前たちは、もっと怒っていい』と」

確かに。言った記憶がある。

でも俺としては、怒ったのではなく当たり前の事を言っただけなんだけどな。

それにしても今考えたら、あまりに無知だったよな。

神に攻撃されるかもしれないのに「怒れ」なんて。

「気が楽になりました。私達も怒っていいんだと言われて」

ポリアを見ると、嬉しそうに笑っているのが見えた。

「当たり前の事なんですが、私達には許されないと思っていたので」

ポリアがそう言うなら、良かったのかな?

「そういえば呪界王が来た日から、森のような空間から今の形に変わりましたよね?」

「あぁそうだな」

庭に咲く花を見ながらのお茶会スタイル。

まぁ、今のように庭も広大ではなくもっとこぢんまりしていたけどな。

それにあの日俺は、森に来たつもりだったから、その変わりようにビックリしたんだよな。

リーダーは、俺の反応に嬉しそうだったけど。

「今の綺麗な庭も好きですが、前の森のような場所も好きです。あの場所が、私達が変わり始めた場所なので」

そんなに大事に思ってくれているんだ。

あの場所は、呪界に入る者達を捕まえるために作った空間なのに。

「あっ、話がずれてしまいましたね」

「悪い。俺のせいだな」

強くなった事が嬉しくて、つい言ってしまったから。

「あの、呪界王から見て創造神はどんな方ですか?」

ポリアを見ると真剣な表情をしている。

「私達神族は、創造神を見かける事はあっても、気安く話せる存在ではないので」

「大丈夫だ。しっかりと話せば、団体を作る許可は下りるから」

創造神が許可を出さないと、神族達の計画は潰える。

だから創造神を知っている俺から、どんな神なのか知りたいみたいだな。

でも今の創造神なら、大丈夫。

ポリアを見て頷くと、ホッとした様子を見せた。

「創造神に話すぐらいには、集まってきているのか?」

「はい。このお茶会に参加している神族達を中心に、密かに集まって来ています。皆、呪界王に感謝しているんですよ」

「俺に感謝? 別に何もしていないだろう?」

「神族達が変われたのは、呪界王と呪界の者達のおかげです。集まっている神族達は皆、そう思っています」

えっ、そうなんだ?

もしかしたら、神国を見られるようになったのは、神族達のその感情が影響しているかもしれない。

それだったら、こちらこそ「ありがとう」だな。