軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

64.予定通り?

サブリーダーから、魔界に張った結界の様子を聞いた。

結界は、無事に継続されているみたいだ。

ホッとしていると、続けて「他の6個の星にも、結界が張られ魔族達の住む環境が調いました」と。

それを聞きながら、顔が引きつるのが分かった。

勘違いしていた。

この呪界には、星が1つしかない。

だから、魔界も同じだと思い込んでいた。

神国に多数の星がある事は知っていたのに、どうして魔界は星が1つだと思い込んでたんだ?

確認は大事だな。

「お疲れ様。色々とありがとう」

本当に成功してくれて良かった。

他の星も問題ないようだし。

「いえ、そんなに大変ではなかったですよ。楽しかったです」

サブリーダーの言葉に首を傾げる。

結界を張って、魔族達を保護してきただけだよな?

「あぁそうだ。結界はちゃんと、魔族達を守れているのか?」

結界を張っても、守れなければ意味が無いからな。

「問題はありません。襲って来た魔神達を見事に防ぎました」

やっぱり、襲ってきたのか。

まぁ何度か襲って、攻撃が届かないと分かれば、いずれ諦めるだろう。

「そうか、分かった。ありがとう」

俺の言葉に頷くサブリーダー。

「あっ魔界ですが、オウ魔神が王となる事が決定しました」

えっ?

オウ魔神が、次の魔界王?

「本当に彼が、次の魔界王なのか?」

前に会った時に感じたけど、彼はそんな面倒事を引き受けるような性格ではないと思ったんだけど。

「はい。周りから強く希望されて、引き受けました」

周りから強く?

ん~、面倒だと無視をするか姿を隠しそうだったけどな。

「嫌がらなかったのか?」

「少し。ですが、魔族達の多くからオウ魔神を推す声が上がりましたので、諦めたのでしょう」

諦めたのか。

というか、諦めるほど多くの魔族達から声が上がったのか?

「オウ魔神は、魔族達から人気なんだな」

「全ての許可を、オウ魔神から貰いましたから」

えっ?

全ての許可?

どういう事だろう?

「魔族達は、主の張った結界にとても感謝しています。なので、主が作った我々の事もよく見ています。なので、我々が動く時に必ず許可を貰いに行くオウ魔神に注目が集まったのです。そして、的確な判断をするオウ魔神を、いつの間にか支持するようになりました」

あ~、これはもしかして。

サブリーダーを見る。

「魔族達を誘導したのか?」

俺の知っている魔神の中で、一番強い力を持っているのはオウ魔神だ。

でも性格は、たぶんかなりの面倒くさがり屋。

だから、何も無ければ絶対に魔界王になる事はない。

「簡単でした」

だから、外堀から埋めたわけか。

でも、そうとうな事が無いと引き受ける事は無いと思うけどな。

「ゴルア魔神を筆頭に、ボルチャスリ前魔界王を崇拝していた魔神達が、オウ魔神に忠誠を誓いましたから逃げられなく。いえ、快く引き受けてくれました。彼等は、俺とオウ魔神が親しいのを見て、主とも親しいと思ったようです」

……まぁ、オウ魔神が王になった魔界は、これからいい方向へ変わっていくだろう。

魔神力や闇の魔力が、変わる事が出来る力だと知っているしな。

うん、俺も彼だと安心して関係を築くことが出来そうだ。

「えっと。オウ魔神にお祝いを伝えてくれるか。『オウ魔神が魔界の王となった事をとても喜んでいます。これからも仲良くしていきましょう』と」

親しい感じで、俺が喜んでいる事が魔族達に伝われば、より一層オウ魔神を支持してくれるだろう。

そこに住む者達からの支持は、王にとってかなり強い力になるからな。

「トドメですね」

「えっ?」

今、サブリーダーから不穏な言葉が聞こえた。

「いえ、なんでもありません。絶対に伝えます」

「うん。宜しく。サブリーダーは、魔界での作業は全て終わったのか?」

結界の事が終わったら、もう問題は残っていないよな?

「これからは、魔界の食改革です!」

「…………はっ?」

食改革?

まぁ、前に話を聞いた時は、かなり凄い食生活だった。

だから、変えたくなる気持ちは分かる。

でも、魔界にあまり関わるのはどうなんだろう?

「それは、魔族達に任せた方がいいのではないか? こちらから色々押し付けるのは駄目だろう」

「それが、ボルチャスリ魔神と共に保護していた魔族達からの希望なんです。『もうあんな食生活に戻れない。だから助けて』と」

そういえば、保護した魔族達に料理を振る舞っていたな。

なるほど、いつもより格段に美味しい料理があると知ったら、戻れないか。

「それで主にお願いがあるのですが」

「うん、どうしたんだ?」

サブリーダーからのお願いは珍しいな。

というか、ゴーレム達からのお願い自体が珍しいか。

「魔界で育てられる野菜を作って欲しいんです」

魔界で育てられる野菜?

「新たに結界を張った星で、野菜を育てる計画中です。アリ達と蜘蛛達が、畑作りに力を貸してくれる予定です」

そうなんだ、知らなかった。

「ですが、その星で育てられる野菜がありません。呪界で育つ野菜なら、魔界でも育てられると思い実験したのですが、成長が途中で止まってしまうんです」

呪界の空気には、魔神力や闇の魔力が含まれているから魔界でも育つと思ったんだな。

でも、呪界で育った物には、神力や光の魔力も含まれている。

おそらくその力が、魔界とは合わなかったんだろうな。

魔界で育てるなら、神力と光の魔力を排除して育てた野菜が必要だなと思う。

「用意するのに、少し時間が掛るかもしれないけど、大丈夫か?」

野菜の種を、魔界の環境に少しだけ近付けた空間で育てて種を作る。

その種をまた魔界の環境にもっと近付けた空間で育てて種を作る。

これを繰り返せば、魔界の環境に耐えられる種が出来るはずだ。

上手くいくかは、分からないけど試すしかない。

「はい、大丈夫です」

「そうか。まずは、成長が早い野菜から試してみるよ」

1ヵ月で育つ野菜から始めてみるか。

と、その前に、野菜を育てる場所を作る必要があるな。

魔珠宝を作っている洞窟のような場所でも、野菜は育つかな?

洞窟に太陽の代わりになる光を作って……。

今考えている方法で上手く出来たら、魔界で種を変えていくことはできないかな?

呪界の限られた場所では多くの野菜を変えていくのに、かなりの時間が掛る。

野菜を育てる計画を立てている星。

その星に大きなビニールハウスのようなものを作って、呪界の環境を作って野菜を育てる。

いいかもしれないな。

まぁ、それも種作りが成功してからの話だな。

「お願いいたします」

嬉しそうなサブリーダーの頭を撫でる。

魔界との関係は、当分続きそうだな。

まぁ、ボルに会うために、5日に1回ほどの頻度で魔界から魔神達が遊びに来るから、今更だけど。