軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48.認めると……。

空を見上げると、一気に上空に飛ぶ。

今日は誰も付いて来ないように言っておいたので、護衛は無しだ。

「かなり上まで来たな」

視線を下に向けると、家が小さく見えた。

森を見ると、遥か遠くまで見渡せる。

「もう少し上まで行ってみようかな」

体をぐっと上に押し上げるイメージを作ると、体は上空へと飛び上がる。

「止まる」と意識しない限りは、止まる事なくずっと上がり続ける事が出来る。

「あれ?」

見えた風景に慌てて「止まる」と意識する。

どうやら、宇宙という呼び名でいいのかは不明だが、地上からの光が届かない場所まで来てしまったみたいだ。

「気圧とか、この体には全く関係ないんだな」

周りは夜空のように星が煌めいている。

アイオン神が言っていたが、この星に見える物は全て俺の意志1つで新しい世界になるらしい。

そして新しい世界の管理者を俺が指名する事で、新しい神が誕生する。

神達の世界で言うと、俺が創造神で管理する者が一般的な神かな。

神に一般的という言葉を使っていいのか不明だけど、別の言い方は知らないし。

星が煌めく上空を見回す。

「沢山あるな。まぁ、今のところ星は星のままで」

いつか、魂の数がこの世界だけでは収まり切れなくなったら、新しい世界の事を考えよう。

今はまだ、新しい世界を作る必要は無いので気にしない事にする。

あの日、なんとなく俺はこの世界と俺の関係を認めた。

いや、何か違うな。

ん~、「ようやく混乱した頭が整理出来、世界の王だとしっかり認識した」というのが正しいかもしれない。

この世界を助けるために命を掛けた。

正直、俺は死ぬのだと思った。

でも、目が覚めた。

それだけでも驚いたのに、世界は大きく変わっていた。

しかも俺がこの世界の王だという、ありえない言葉を聞いた。

前の世界からこの世界に飛ばされて、生きる事に重点を置いて来た。

仲間が出来て、その仲間を守るために力を使った。

それぐらいなら、なんとか受け止められた。

でも、目が覚めたら世界の王。

「さすがに一般人として生きてきた俺が『世界の王』なんて、すぐには受け止められないって」

まぁ、自分が混乱している事に気付いていなかったけどな。

でも一つ目達をはじめゴーレム達は、気付いてくれていた。

そして、俺がゆっくり受け止められるように待っていてくれた。

まぁ待っている間に、色々とやらかしていたけど。

でもそれも全て、この世界を守ろうとしての行動だ。

そう、守るための行動なんだけど……ちょっと想像を絶するほどに行動力があり過ぎて、報告を聞くたびに唖然とした。

まぁ俺も、彼等のする事に間違いはないだろうと、詳しく聞かずに許可は出したけど。

ただ……うん。

今更、何を言っても手遅れだ。

それにこれからも、彼等が自由に動けるように許可を出すんだろう。

なぜなら、彼等が俺やこの世界の不利益になるような事はしないと信じているから。

「さてと、始めますか」

目を閉じてゆっくりと、世界と意識を同化していく。

ゆっくりゆっくり、何かが俺の中に流れ込んでくるのが分かる。

どれぐらいの時間が経ったのか、不意に終わったと思った。

目を開けて、自分の手を見る。

いつも見ている手だ。

「特に何も変わらないな」

俺がこの世界の王だと理解した次の瞬間、何をすべきか自然と理解した。

それは、自分自身の完全な 神化(じんか) 。

だから、それを実行してみたのだが……何かが変わったのだろうか?

「んっ?」

全身を見るが、特に変わっていない。

羽でも生えていないかと、背中を後ろから見ても変化は無い。

まぁ当たり前だ。

羽があるのは天使だ。

「覚悟したのに、見た目に全く変化が無い。力の方にも、特に気になるところがない。もしかして失敗したのか?」

正直、神化するのを少し迷った。

今までの神達を思い出して、あんな者達になりたくないと思ったからだ。

でも、神化しておいた方がこの世界を守れると分かったので、実行した。

で、結果。

失敗したかもしれない。

マジか。

もう一度、自分の姿を目の前でくるくるしながら確かめる。

「んっ?」

どうして俺は、自分の全身が見られているんだ?

それに、背中を真後ろから見ているのはおかしくないか?

……後ろを振り返る。

もちろんそこに、誰かがいるわけでは無い。

前を向き、視界に入る全身の自分の姿を見る。

その隣には、後ろ姿の自分もいる。

同時に2つの映像を見ているのに、不思議な事に違和感がない。

「これって、神化が成功したって事か?」

少し考えて、各国の王とリーダーを意識する。

すぐに4つの映像が同時に、浮かび上がる。

「ははっ、凄いな。全く混乱することなく、同時に映像の内容を理解している」

映像を消して、ため息を吐く。

神って凄いんだな。

今までも、見ようと思った場所を見る事は出来た。

複数同時に確認したこともある。

でもそれは、映像の内容を1つ1つ見て理解していた。

今のように、同時に理解する事は無かった。

それが、苦も無く出来た。

「やっぱり神という存在は、それだけ凄いのか」

……そうでもない神もいるけどな。

いや、俺は彼等より力が上か?

そういえば、リーダーから面白い話を聞いた。

俺が世界の王と認めた事で、この世界は「呪国」から「呪界」となったそうだ。

どういう事か聞くと、世界が認めるほどの力を持ち、その力の持ち主が多くの者達から支持され、そして力の持ち主が世界の王だと理解すると、世界が安定したという事で「呪界」として認められるそうだ。

これは、記憶装置に表示される文字が変わるらしい。

神国は、創造神の覚悟の無さと支持がかなり弱くなっているせいで「国」。

魔界は、魔界の王に集まる支持の多さと弱まってもまだまだ力があるため「界」らしい。

ただ王の力がかなり弱くなったので、そろそろ「国」に変わる可能性があると聞いた。

「誰が、その判断をしているのか気になるところだよな」

神が、力を光と闇に分けた時も、一方の力が強くなりすぎるのを防いだ存在がいるような気がした。

今回も、何かの存在を感じる。

この世界、姿は全く見えないが強い存在がいると思う。

それに、意志があるのか無いのかは分からないけど。

「まぁ、その存在に触れない方がいい事は分かる」

さて、帰るか。

皆が、心配しているだろうからな。

―神国 創造神視点―

不意に巨大な力を感じた。

同等、いや私よりはるかに強い力の存在。

「とうとう……」

傍にいたフィオ神を見ると、薄っすら笑みが浮かんでいるのが分かった。

あぁ、なるほど。

とうとう、呪神が誕生したのか。

神達が生み出した「呪い」。

それらが生み出すさまざまな「負」を受け止め、慰め、そして、その存在を「ある」とした者。

「凄い力だな」

「そうでしょうね。多くの者達が「神」として彼を崇めているので」

フィオ神が何処か遠くを見る。

「それほど多いのか?」

「えぇ。彼の治める世界の9割ほどでしょうか。いや、もっとかな?」

そんなに?

「凄いな」

それほど多くの者達から認められた存在が神となった。

もう、あの世界を「ないもの」としては、決して扱えない。

「はぁ、神達は……」

「一部は暴走するでしょうね」

あぁ、どうすればいいんだ。