軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19.欠片発見!

洞窟で魔石に溜めた魔神力を放出しようとした時、いつもとは違う力を感じた。

「なんだ?」

感じた場所は、洞窟の天井付近。

見上げると、魔神力の影響で生まれた青い煙が渦を巻いているのを7個確認できた。

「どれだろう?」

青い煙が作る渦を1個、1個確認していく。

「あった。あれだ」

7個ある内の1個。

他の渦とは明らかに違う、強い力を感じた。

「もしかして、ついに欠片が生まれたとか?」

地上からジッと渦の中心を見るが、くるくる回っている青い煙のせいで見えにくい。

でも、煙の隙間から、何か小さな塊が見えたような気がする。

たぶん。

「近くで確かめてみるか」

数回深呼吸して気持ちを落ち着かせると、魔石を手に握りしめたまま上空に向かって浮き上がる。

近付いた瞬間に消えたらショックなので、力に変化が無いようにゆっくり、ゆっくりと上昇する。

渦を巻く青い煙に触れない距離で止まると、中心部分を観察する。

「あっ、欠片だ……やった! 欠片が出来た」

まだ本当に小さい塊だけど、欠片が確認できた。

「まだ小さいのに、かなり強い力を感じるな」

ただオアジュ魔神の話では、欠片が出来ても全てが魔珠宝になる事は無いらしい。

だから、目の前の欠片が魔珠宝になる確率は低いだろう。

でも、この場所でも欠片が出来る事が分かった。

このまま魔神力を溜めていれば、いつかは魔珠宝が出来るかもしれない。

諦める前に、欠片が出来て良かった。

「とりあえず、今日の分の魔神力を放出するか」

地上に降りると手に持っていた魔石から魔神力を放出する。

空いた時間に、溜めた俺の魔神力を

オアジュ魔神と彼の妻、マカーシャに確認してもらったが、かなり濃度の高い魔神力らしい。

この魔神力なら、欠片が安定したら魔珠宝になるのは早いかもしれないと言われた。

ただ、欠片が安定するのが難しいらしいが。

「よしっ、全部放出完了」

空になった魔石を肩から下げたバッグに入れる。

今日のノルマは全て終わり。

「さてと、俺も外の討伐に参加するか」

農業隊のナインが、新しく出来た森を隅々まで調べて分かった事は、魔物の異常な数。

そして、俺の家がある森でも魔物の数が異常に増えている事が発覚した。

このままでは、森から魔物が溢れてしまう可能性があるらしい。

原因は、ナインとリーダーが調べたが不明。

俺は、俺が持つ混ざり合った力のせいではないかと思っている。

ただし、それが正解だという証拠はない。

そのため、可能性の1つに留まっている。

でも、この世界は俺の力とヒカリの力で回っている。

だから、俺の力が変わればこの世界も影響を受けるはずだ。

洞窟から出ると、ダイアウルフの3匹が近づいて来た。

今日の護衛達だ。

「討伐に行ってくれてもよかったんだぞ」

フェンリルの次に狩りが好きな種だ。

きっと我慢をしているはず。

「我々は主の護衛です。傍を離れる事はありません」

ダイアウルフはフェンリルと違って真面目だ。

フェンリルなら、すぐに狩りに向かうはずだ。

まぁコアにバレたら怒られるので、すぐに駆け付けられる場所での狩りになるだろうけど。

「そうか。俺達も討伐に参加しようか」

おっ、3匹とも尻尾の振りが凄いぞ。

やはり我慢していたんだな。

「行こうか」

魔物の気配が濃い場所を探しながら、森を駆ける。

さすがに数が多いだけあって、すぐに見つかったな。

「我々が行きます」

ダイアウルフの言葉に、手を振って見送る。

彼等の狩りが気持ちよく終わるように、傍で見守っておこう。

傍を離れると気にするだろうから。

森に意識を向ける。

すぐに頭の中に、森を上空から見た映像が浮かび上がる。

「やっぱり魔法を使わなくても見られるようになってるな」

これがこの世界の王になったという事なのか。

魔法を使用しなくても、この世界を「見たい」と思うだけで全てを見る事が出来るようになった。

「まぁ、便利は便利だけどな」

ただ、周りからは見えないので映像の感想を口に出すと異常に見えてしまう。

という事で、目の前の空中に映像を移動するように意識してみる。

「ははっ。これも思うだけで出来るのか」

小さくため息を吐くと、気持ちを切り替えて仲間の位置を確認していく。

まずは俺がいる新しい森、次に家のある森を見ていく。

「怪我を負った仲間はいないな」

良かった。

「それにしても、魔物が多すぎるだろう」

上空から見た森。

魔物が走り回っている姿が見えるが、本当に異常だ。

ナインの調べでは、魔物が一気に増えた原因は成長速度が異常だからだそうだ。

魔物は俺が知っている動物と同じで、出産から1年から2年かけて大人に成長する。

それが今は、凄いスピードで大人になるみたいだ。

ナインが確認したところ、早い魔物では生まれてからたった24日で大人になったらしい。

さすがに異常だ。

オアジュ魔神が管理している畑と同じなのだろう。

森に力が余っているせいで、畑の野菜に影響を及ぼした。

きっと魔物も、森の余った力が影響を及ぼした。

「本当に制御しなくていいのかな?」

俺は飛びトカゲに、「世界に垂れ流している俺の力を、制御した方が良いのか?」と聞いた。

俺の力が世界を動かしているのなら、制御すれば森に余ってしまう力を減らす事が出来ると思ったからだ。

でも飛びトカゲは、俺の言葉に首を横に振った。

今は俺の力に合うように世界がゆっくり変化しているので、それを止めるとどこかに負荷がかかるらしい。

つまり、流れに任せる方が世界にとってはいいという事。

とはいえ、上空から見た魔物数に、それが正しいのか不安な気持ちになる。

「あっ、ダダビス達だ」

今日の討伐は、教師達の護衛で来たダダビス達も参加している。

目が覚めてから少し距離を置かれていたが、最近は元の距離に戻って来た。

それが結構、嬉しい。

「特訓の成果か。彼等の動きが以前よりかなり良いよな」

特にダダビスとギルス。

この2人は、かなり強くなっているように感じる。

まぁ、見た目も変わったもんな。

「まさか、体が大きくなるなんてな」

筋肉に厚みが増したからなのか、全体的に大きくなっていた。

彼等の腕を見て、自分の腕を見て何気に悲しくなったのは秘密だ。

「あっ、魔法攻撃だ」

映像を見ていると、ギルスが魔法を使って攻撃を始めた。

それを見た他の獣人達も魔法を使いだした。

俺は知らなかったが、この世界は魔法が消えかかっていたそうだ。

原因は、多くの魔力がこの世界を動かすために使われ、魔法に使う魔力がどんどん減っていたため。

そのせいで、魔法で出来る事は年々減っていたらしい。

ただそのお陰で、魔導師達の技術は向上したようだが。

だが今は、この世界には魔力とは違うが力が溢れている。

結果、魔法を使える環境が整いつつある。

まだ完全ではないが、もう少しすれば多くの者がまた色々な魔法を使えるようになるみたいだ。

ちなみに、ダダビス達が既に攻撃魔法を使えるのは、俺の傍にいたから。

俺からは、世界に垂れ流している力の数倍強い力が出ているそうだ。

あっ、魔物が俺の方に来た。

「よしっ、やるか」

今日はとにかく魔物の数を少しでも減らさないとな。